■■【経営コンサルタント竹根の起業日記】 七月十二日 経営コンサルタントと学歴


 
 【小説・経営コンサルタント竹根の起業日記】は、10年のサラリーマン生活をしてきた竹根好助35歳の経営コンサルタントとしての独立起業日記です。
 これから経営コンサルタントとして独立起業しようと考えている人の参考となることを願い、経営コンサルタントとしての実践を経験的に語るつもりです。

【 注 】
 ここに記載されていることは実在の企業とは何ら関係ありません。


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 七月十二日 経営コンサルタントと学歴

 昨日知修塾であった大関というアラサーの男性彼メールが来た。彼は、東京の西にある国分寺市が勤務先である。精密加工の典型的な中小下請け企業の社員である。高校を卒業してから約十五年勤務しているが、産業の空洞化で仕事が年々減少、一時は七〇人くらいいた社員も今では二十五人程になってしまっているという。
 彼は高卒の学歴しかなく、それでも経営コンサルタントをやれるのか気になりながら、誰にも相談をかけられないでいる。昨日、なぜか私に声をかけてきた。年が近いこともあるのかもしれない。
 私は、経営コンサルタントのバイブルを読むことをすすめることにした。
 その中の一節、「経営は心でするもので、頭でするものではない」「経営コンサルタントはプロフェッショナルであるので、学歴が第一義ではなく、実力と実績が重要」ということを教えてやった。
 今日の経営士ブログは、福岡にある鎮国寺というお寺さんの写真華掲載されていた。聞いたことのないお寺さんであるが、立派である。経営コンサルタントというのは、日本全国あちこちを訪問する機会があることが、このブログから推定される。 鎮国寺 ←クリック

七月十一日 塾員登録

 早いもので、もう第二木曜日、知修塾の日である。終業後、会社を出て日本経営士協会研修室のある飯田橋に向かった。
 知修塾コーディネーターの笹本先生が声をかけてきた。塾員登録をしたかという確認である。私は、素直に、先輩の前で講師を務めるなんて十年早いと思いますと返事をした。すると彼は、「知修塾のコンセプトをきちんと理解していますか?」と聞いてきた。
 ウェブサイトで見た知修塾の説明を思い出しながら、自分なりに説明をしようとした。だが、なかなか上手に説明できない。
 笹本氏は、ニコニコとしながら「頭でわかっていても、いざ言葉にしようとするとうまく表現できないものです」と切り出しながら、経営士・コンサルタントにおける表現力の重要性を話してくれた。そして、知修塾では、会員誰もが上手に自分の考えや意見を述べられるようにするのが知修塾の目的であるとわかりやすく説明をしてくれた。
 相手の言葉で、相手が理解できるように話をする大切さと難しさを痛感した。
 塾員登録をすることにより、知修塾では講師を体験することができるという。講師をやらされるのではなく、自分のために講師体験を積むのだと、非常に説得力のある説明であった。
 さすが知修塾のコーディンテーターを担当するだけあって、説明が上手だとお礼を言うと、耳元で「理事長の受け売りです」と謙遜していた。
 一昨日、疑問に思った、クライアントが問題解決したときに、手土産や食事を提供することがあるのか、その時にどう対処したら良いのかを笹本氏に話した。
 ひとによって対応は異なるだろうが、笹本先生の場合には、アポを取るときに要件を事前に確認し、仕事でやったことなので御礼のための訪問は断るそうである。
 笹本先生は、「来月、理事長による営業・マーケティング講習会が開催されるが、出席すると良いですよ」とアドバイスをしてくれた。
 あの、学者風前としている理事長と、営業・マーケティング講習会とがなんとなく結びつかなかったが、その落差のようなモノが、大きな興味となった。よし、出席しよう。


七月十日 三分で収益性が落ちていることを見抜く

 部下から新規取引先の取引開始是否の相談があった。
 その中に決算書が三期分含まれていた。今までなら、決算書を見ても、数字の羅列にしか見えなかったが、経営士補資格取得講座の財務講習で、決算書の見方の基本的なポイントを教えてもらっていたので、怖くはなかった。
 講師は、経営士でもあり、税理士でもあると言っていた。
 収益性を見るのに、一般的には経常利益で見るが、営業利益を見ると、その企業の営業力である収益性がわかるという言葉を思い出した。三期の営業利益を見ると売上は伸びているのに営業利益額はあまり変わらない。すなわち、利益率は低下していることが解る。
 その間、数分のことであるが、「収益性が落ちている会社だね」と一言言うと、部下はビックリしたような顔で私を見た。
 「さすがは課長ですね。そんなことが短時間にわかるのですか。すごいですね」とお世辞を含めた言葉であることがわかっていながら、鼻が高くなった。


七月九日 コンサルタントの成功と御礼

 五月月末に、取引先の知人で、文具店を営む人が訪問してきたことがある。その店主とあうことになっていた。
 十一時半という変な時間帯のアポイントであったが、約束の時間にやってきた。相談を受けた、買い受けた前店主の未払い費用の問題が解決したのでそのお礼だという。手土産を持ってきて、さらには昼食に招待をしたいという。
 しかし、これは法務部の応援を得てのアドバイスで解決すたので、私の功績ではない旨を伝え固辞した。手土産だけでも受け取って欲しいというので、御礼を言って、それを法務部へ持っていった。
 経営コンサルタントになってからも、このようなことがあるのだろうか、その時に経営コンサルタントはどのように対処するのだろうか、と思った。


七月八日 課長の貫禄

 毎週月曜日の朝礼で、経営コンサルタントのバイブルにありました「具体的な行動方針・方法論をともに明確にし、その実施および進捗管理を支援する」という、経営コンサルタントの業務一環を説明する文章をもとに、課長として演説をぶった。
 朝礼が終わると、係長が寄ってきて「最近の課長は、実務に直結する具体的な話が多くなりましたね」と耳元でささやいた。
 経営士補になったことで、自分が変化していることが確実な事実だと、ニンマリしたくなった。
 ニンマリしていただけでは自己満足であるので、具体的に進捗管理をどのようにするのか、Excelをいじりながら検討した。

七月七日 認識のづれ

 今日は七夕である。昼食はファミレスでということになった。
 どうしても昨日のことが気になり私は本屋さんに行きたいので、いつも日曜の朝にスーパーへ妻と同行する時間までには戻る約束で外出した。ところが、日曜のために近所の本屋が休みで、駅近くまで足を伸ばすことにしたので、スーパーに出かける時間まで戻れないとメールを入れた。
 すると折り返し「今日は、買う物が少ないので、十時四十五分に、いつものスーパーに行って、靴屋さんに寄ってから、ファミレスで会いましょう」というメールが返信されてきた。
 十時四十五分にファミレスで会うというのも、昼食にはちょっと早いし、本を探す時間も少ないので「十一時十五分にファミレスで」とメールを返した。
 本屋で本を探していると、妻彼でわがかかってきた。
 「十一時十五分では早すぎて買い物ができない」という趣旨である。
 十時四十五分を、十一時十五分に繰り下げたのだから、時間が足りないわけはないはずだと言い返すと、時間が足り内の一点張りである。
 そこでようやく気がついた。妻のメールにある十時四十五分というのは、スーパーへ出かける時間のことで、私はそれをファミレスで会う時間と捉えたという、行き違いである。
 結局十一時三十分に、ファミレスであることに落ち着いた。
 時間的なゆとりができたので、ゆっくりとファミレスに向かいながら、昨日の「共通目標・共通認識」のことを考えた。
 妻と会う時間が共通目標ではなかった、すなわち時間は同じでも認識が異なったのだ。
 なるほど! 昨日の疑問が、妻との認識の連れで解決できた!!
 思わず苦笑いが出てきた。すれ違った中年の女性が、気味悪そうに私をよけながらすれ違っていった。



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