■■【ヨーロッパ経済の読み方】EUとのEPA交渉協議が続行 時系列的に見ると理解が深まる
最近の経済ニュースのエッセンスを、独断と偏見でもってまとめてみました。
■ EUとのEPA交渉協議が続行 2013/07/04
TPP交渉と並んで大きな地域連携とみられているEPA(経済連携協定)ですが、日本が所定の譲歩をしなければ打ち切るというEU側の強気の中で進んできました。
EPAは、日本とEU(ヨーロッパ連合)が、貿易や投資の自由化を目指しています。EU側は、日本に対して、いわゆる「非関税障壁」として、自動車の安全基準や、食品と医薬品の規制緩和を求めています。
両者の隔たりは大きく、協議を続行することになりました。
日本政府には、国民の安全を確保するためにも、安易な妥協をして欲しくありません。
◆ 日本とEUとのEPA本格議論始まる 2013/06/26
グローバル経済の昨今、TPPを始め、国を超えた連携がいろいろと進んでいます。
その一つにEU(ヨーロッパ連合)との貿易自由化を目指す、EPA(経済連携協定)の交渉が、日EU完で進められています。
関税の削減や撤廃、投資に関する規制の緩和など、個別の分野ごとの本格的な議論が始まりました。
日本はEUに対して、自動車や液晶テレビなどの工業製品に掛けられている関税の撤廃に期待しています。一方、EUは日本に対して、日本国内の自動車の安全基準や食品の表示などに関する規制が厳しすぎ、いわゆる「非関税障壁」になっているとして見直しを迫っています。
EUは、強気で、日本側の非関税障壁撤廃に向けた取り組みが不十分だと判断すれば、交渉を1年で打ち切る姿勢です。
日本の安全基準の厳しさは、日本国民を守るために重要なことです。日本には、譲歩をして欲しくないですが、EUも簡単には納得しないでしょう。
両者が、自分達の立場に固執しすぎると交渉はご破算になると思います。
◆ 中英通貨融通協定 2013/06/25
日韓が通貨融通協定を結んでいることをご存知の方も多いでしょう。
中国人民銀行とイギリスの中央銀行でありますイングランド銀行との間で、必要な際には中国の通貨・人民元とイギリスのポンドを、互いに融通し合う通貨スワップ協定が締結されました。
融通枠は、人民元が2000億人民元(3兆円)、ポンドが200億ポンドとし、これにより金融危機などで外貨の確保が困難になった場合に実施されます。
例えばイギリスが通貨不足を生じた場合に、イングランド銀行が人民元を中国側から借り受け、自国の金融機関に供給できるようにできます。
この協定により、ロンドンにおいて人民元の市場の流動性が高まり、海外決裁における人民元が、これまではドル・円・ユーロの3本建てであった中に加わってくることになります。
◆ ユーロ圏で直接銀行支援合意 2013/06/23
単一通貨ユーロを導入するユーロ圏各国の財務相が集まって、ルクセンブルクで会議を開きました。
ユーロ圏で作る基金「ESM(ヨーロッパ安定化機構)」を使って、経営が悪化した銀行に対して、政府を通さず直接資金を注入する新たな仕組みについて協議しました。
経営難に陥った銀行にユーロ圏で作る基金から直接、資金を注入して支援する新たな仕組みについて、拠出できる総額を600億ユーロ(日本円でおよそ7兆7000億円)としました。来年後半からの運用が開始されることを目指すと、大枠で合意しました。
また、運用開始前に経営が悪化した銀行に資本注入するかどうかは、加盟国政府の要請に基づいて個別に検討することになりました。
すでに政府を通じて支援を受けているスペインの銀行についても将来、この仕組みを使うことができるようになります。
EUは、この仕組みによって銀行の救済のために公的資金を投入し、財政が悪化するという悪循環を断ち切ることができるとしています。ただし、前提条件となっている域内の銀行の監督業務を一元化するための仕組みについては最終的な合意に至っていません。
このことから、運用開始までに時間がかかることが懸念されます。折角良い仕組みを作ろうとしても、自国の事情を優先して、総論賛成各論反対というのでは、何も決めないのと同じことと考えます。
◆ オランド仏大統領が初訪日 2013/05/02
フランスのオランド大統領が、2012年5月の就任以来、初めて6月6日から3日間の日程で、国賓として日本を訪問する予定です。滞在中、天皇陛下と会見するほか、安倍総理大臣と首脳会談を行う方向で調整中です。
EPA(経済連携協定)などの経済問題をはじめ安全保障やテロ対策などの幅広い分野で、日本とフランスの関係の強化を目指す方針です。
フランスとしては日本市場の一層の開放を求め、フランス企業による鉄道事業への参入などを目指すものとみられます。文化や安全保障、また、ことし1月に起きた「アルジェリア人質事件」を受けたテロ対策など、幅広い分野で関係強化を目指すでしょう。
サルコジ前政権が巨大市場としての中国を重視したのに対し、オランド政権は共通の価値観を持った日本との関係を重視する姿勢を打ち出しています。今回の訪問はその重要な一歩と位置づけてよいでしょう。
◆ なぜEUは日本との経済連携協定に踏み込めないか 2013/03/27
ようやく改善の兆しを見せていたEU経済やユーロ信用不安問題ですが、キプロス問題で再び波紋が広がっています。
アベノミクスで”ゆけゆけドンドン”と元気な日本政府はTPPに踏み切り、EUとの連携も積極的に模索をしています。
EU(ヨーロッパ連合)としては、世界第3位の経済大国である日本との間で、貿易とサービスの自由化を目指すEPA(経済連携協定)になぜ踏み切れないのでしょうか。
EPAが締結されれば、医薬品や食品などを日本向け輸出が約30%増えると試算されています。その効果として、EUのGDP(域内総生産)が1%近く押し上げられ、40万人の雇用創出に繋がることが期待できます。
交渉が始まって1年以上になるにもかかわらず、EUは躊躇しています。
その理由は、自動車業界の反対です。その点はアメリカのTPP反対論者と共通しています。
信用不安の影響で、EU域内での販売台数が低迷している自動車業界は、日本車が押し寄せてくることが必定とみて反対しています。
日本では乗用車への関税は、既にゼロです。EPAを結んでも自動車の輸出の伸びに期待が持てないからです。一方、EUは乗用車に10%の関税を現在かけていますので、それを撤廃しなければなりません。益々、日本車の輸入が増え、日本側に有利となるとみているからです。
それだけではなく、今年6月に、EUとアメリカとの自由貿易協定に向けた交渉が始まる見通しです。EUは、アメリカとの交渉の進展や成果を踏まえて、日本側に強い態度で対応を迫ろうという腹づもりがあるのです。
市場開放は、世界経済の活性化にもつながります。自由化を見直すいわゆる「セーフガード条項」を協定に盛り込むという方法もあります。”聖域”を作るなど本来の目的とは多少ずれても、現実性を重視するという方法も考えられます。
EUは、ヨーロッパ経済が信用不安から抜け出し、力強い成長を取り戻すためにも自由貿易協定を積極的に進め、貿易を拡大すべきでしょう。
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