インタビューは4月10日夕方に行い、その時点の情報に基づいている。


【西浦博(にしうら・ひろし)】北海道大学社会医学分野教授

厚生労働省のクラスター対策班 専門家


〜以下、インタビュー記事引用BuzzFeed〜

医療と性風俗には残念ながら介入ができないと仮定して、一般の人口でそれを補填して、二次感染の平均値を1より下げるにはどれぐらい必要か見て、正確に言うと79%という数字が算出されました。

こういうのを「伝播の異質性」というのですが、人は社会で同じようには振る舞わないのです。一般企業の人も、個々人で同じ仕事をしていても、友達の多さや交流の活発度は違います。

それを加味したデータを作って、その基本再生産数が2.5になるように計算して8割となったわけです。

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今、東京では医療が切迫しているのです。都内で、ICU(集中治療室)の病床が満床になったところです。広域搬送しようとしても、周辺の県でも集中治療が必要な患者が出てきますから、都内でまだ受け入れていない大学などのベッドを開けてもらうしかない。

おそらく、予測では、来週半ばまでは感染者が上げ止まらない状況が続きます。医療が持ちこたえるために一番大事な時です。

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経路がわかっているところは、ほとんど病院かデイケア施設です。

デイケア施設は危ないです。高齢者が感染すると重症になり、重症のベッドが必要になります。

若者が飲み会で、ふざけたキスでうつったなんてケースでは、軽症で済みます。

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クラスターが外国人から病院や夜の街にうつり、一般市民に少しずつ忍び寄っています。でも、まだみなさん一般の人に広がっているわけではないです。

ただ夜の街で遊んだ上司がいる会社員、というような形で、一般にも広がり始めているのは間違いないです。

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「夜の街クラスター」です。1日180人を超えるような感染が起こっていても、孤発例のうちの相当の割合が夜の街で、一般での拡大を強く示唆するもの、として、そこからオフィス感染がぽつぽつという程度で済んでいます。

この「ぽつぽつ」が目に見える割合になったときがコミュニティに感染が広がったという段階なのですが、まだそこまで至っていません。

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携帯電話のデータで一つ、わかったことがあります。3月28日、29日の人出を前年のベースラインと比較したのですが、小池都知事が「感染爆発・重大局面」と記者会見された後の週末に東京では雪が降って、すごく寒くてみなさん出歩くのを控えました。その時の人出が8割減ぐらいです。

ーーあれぐらい減らさないといけないのですか!

あの時は寒いからみんな外に出ないし、電車も乗らずに東京はゴーストタウンのようになりました。平日もあれに準じるぐらいに、社会機能維持のために働きに出る人ぐらいに抑えれば、流行は止められます。

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できることもあるということを理解してもらった上で、避けるべきところは上手に避けてほしい。屋内で複数の人が集まるような接触を控えてもらうと、二次感染は起きずに済むのです。

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企業の方にも訴えたいのですが、この行動制限は長期化します。家にいながらできることや、オープンエアでできることを開発するなど、ビジネスが持続できるような至急の開発に協力してもらいたいです。

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私も含めて、専門家はほぼみんな無報酬でこの仕事をしています。謝金を受け取れるのかもしれませんが、専門家として政府や国からの独立性を保つ意味もあります。