福島県内の仮設住宅いろいろ | ワシントン通信 3.0~地方公務員から転身した国際公務員のblog

福島県内の仮設住宅いろいろ







 福島県内の仮設住宅を訪問していると、実に多彩な仮設住宅があることに気づきます。上の写真を見ていただければ分かるでしょうが、プレハブもあれば、木造もあり、ロッジ風のもありました。デザインや建材だけでなく、例えば規模も様々で、ひとつの仮設住宅団地に数十世帯しかない小規模な所もあれば、数百世帯が集まっている大きな所もあるのです。商店街や医療施設などへのアクセスや交通の便も、立地場所によって違いがあります。いくつかの仮設住宅の中に入らせてもらいましたが、防寒や防音対策などにも差があって、はっきり言って、どこの仮設住宅に入居するかによって不公平感は否めません。ただ、福島県内だけで十万人近くが避難を余儀なくされていて、これだけの人数分の仮設住宅をなるべく早く建設しなければならなかった事情、土地や資金の制約などを考えると、仮設住宅の計画や建設に携わった自治体関係者の努力には頭が下がる思いです。なるべく公平にと言うのは簡単ですが、それを実行するのは限りなく困難なことに違いありません。

 仮設住宅への入居の仕方は、大抵の場合、どこに入りたいかという希望を第二希望とか第三希望まで出して、抽選で決まるそうです。多くは同じ被災自治体の人達が、同じ仮設住宅団地に割り振られるそうで、元のコミュニティをできるだけ維持しようという一定の狙いはあるのでしょう。原発事故の影響で、福島県内では行政区域の枠を超えて仮設住宅に入っている人がほとんどです。例えば、双葉町の仮設住宅が福島市にあったり、富岡町の仮設住宅が郡山市にあるといった具合です。仮設役場と自分の町の仮設住宅団地を結ぶバスを運行させている被災自治体もありました。

 多くの仮設住宅団地では、自治会を組織して自治会長を置き、被災者の要望をまとめたり、役所との連絡を担当しているようでした。福島県内の仮設住宅に入っている人達は、高齢者がとても多いのですが、一人暮らしの高齢者も多いようで、そういう人たちのケアをどうするのかというのは、個々の仮設自治会にとって大きな課題でしょう。規模が大きい仮設住宅団地内には、仮設の高齢者福祉施設や仮設店舗などもありました。

 仮設住宅に入っている被災者にインタビューをする機会もありましたが、寒さや水道の凍結などの問題以外に、物置などの収納スペースの少なさや、風呂の追い炊きができなくて困るという声も聞きました。そういった仮設の住環境の問題以上に、特に原発事故のために避難している方たちは、将来の見通しが全く立たないことに苛立ちと怒りと不安を感じているということでした。自分の故郷の町に帰れるのか帰れないのか、帰れるとしたらいつなのか、帰れないとしたら何処に住めばいいのか。正にこれこそが、原発避難者にとっての一番の問題なのです。