トヨタの公聴会で学んだこと | ワシントン通信 3.0~地方公務員から転身した国際公務員のblog

トヨタの公聴会で学んだこと



 一昨日行われたトヨタの欠陥車に関するアメリカ議会での公聴会、豊田社長とアメリカ議員たちのやりとりを聞いていて思ったことを書いておきます。豊田社長は通訳を介して日本語でやりとりしていましたが、言葉の問題はともかく、証言は謝罪と「細部は知りません」を繰り返すばかりで、残念ながらかなり官僚的な答弁だったという感想を持ちました。アメリカ側は、こういった答弁にかなり苛立ち、怒りや失望を率直に表明する議員もいました。グローバル企業のトップが、異なる文化を越えて意図するところを正しく伝えることができていなかった

 それと、僕が一番驚いたのは、去年11月にアメリカ政府がこの問題を協議するために担当官を日本のトヨタ本社に派遣していたのに、豊田社長はそれを知らなかったこと。こんな重大な問題なのに担当部局が対処しただけで、社長には全く知らされていなかったらしい。さらに、トヨタの欠陥車の問題は、数年前に日本やヨーロッパなどでも問題になったことがあり、にもかかわらず、そういう情報がアメリカのトヨタ社とは共有されていなかったという。組織における情報の共有、それも、情報の縦の共有(部下からトップへ、トップから部下へ)と横の共有(グローバル企業なら国や地域を越えて)の両方が大切だということを痛感しました。

 アメリカの議員の中には、「メイド・イン・ジャパンは高品質の代名詞だったが、トヨタがそれを傷つけた」というようなことを言った人もいました。こうなってくると、「トヨタ一社の問題に過ぎない」とは言えなくなってくるのかもしれない。さて、トヨタはこの失敗の教訓を活かして立ち直れるだろうか。


Good companies fix the mistakes, and great companies learn from them. (いい会社は失敗を正す。偉大な会社は失敗から学ぶ。)