笠井です。
森山直太郎の 『生きてることがつらいなら』の歌詞がなんだか世間で賛否両論の評価を受けてるみたいですが、僕から言わせてもらえば、「この歌の評価はそんな低レベルな次元で語られるもんじゃなく、もっと技術的なところを掘り下げるべきだ」ってなもんです。

日本語すんげぇうまく使ってんなぁって。

どこがすんげぇかというと、まず“生「イ」きて”のイと“死「シイ」ねば”の「イ」、アタマの歌詞のたった一文のなかに母音の“イ”を7つも使って、生と死を繋げているところ。

歌詞を見てみると、

『生「イ」き「イ」てることがつらい「イ」なら/い「イ」っそ小「イ」さく/死「イ」ねばいい「イ」』

と、歌ってみればわかると思いますがやたらと母音の「イ」を多用しています。絶対狙ってヤってるとしか思えません。
で、さらに深読みするなら、作り手が狙ってやることにはたいてい意味なりメッセージがあるってこと。

自殺を後押しするような歌詞だ、といわれていますが、よく聴くと気になるのは『死ねばいい』にかかっている『いっそ』という副詞。
むかしパルコのCMで糸井重里が使ったコピーに『いっそ、美人に』というのがあったけど、『いっそ』という副詞にはどこかつき抜けたような、前向きなものを感じられないだろうか??
また『いっそ』という勢いのある副詞が、何故か『小さく』という“死”にも“いっそ”にも似つわしくない形容詞にアンバランスにかかり、また『死ねばいい』にかかることにより、あまりネガティブな印象は残らないと、僕なんかは思うけど、どーだろう。

例えば、『薄毛に悩んだら、いっそ小さくスキンに』とかね。前向きじゃないですか??



                    2008’09’10