彼女と知り合ったのは、8年前。

きっかけは、パパ活サイトである。


10年近く、妻とはセックスレスだった。

正確にいうと、当時は2ヶ月に1回くらいはあった。

しかしそれは、乗り気でないのを機嫌を取りながら誘い、

妻が応じるというパターンだった。

「そろそろ応じないと悪いから」

という妻の気持ちは分かるものだ。

そうした中でのセックスに嫌気がさしていた。


ある時、妻に聞いたことがある。

「もう、エッチしたくない?」

3秒くらい間があり、

「ん~、したくないというより、(セックスが)なくても大丈夫かな」


最大限、気を遣った絶妙な返事だ。

でも、傷ついた。

傷ついたというより、どうでもよくなった。


「したくない」

とハッキリ言ってくれた方が、マシだったかもしれない。

それならば、割り切って別の女性と関係を持てるし、罪悪感も感じないから。

それからも誘いはするが、拒否が前提となり、ほとんどなくなっていった。


妻はセックス以外は完璧だった。

性格は穏やかで優しく、料理は上手く、家事もソツなくこなす。

子育てもしっかりやるし、毎日きちんと弁当も作ってくれる。


一方、僕は起業し、事業が軌道に乗り、収入も増えていった。

休日だけではあるが、子どもともよく遊び、それなりに良い父親だ。

傍からは、幸せな家族に見えただろう。

実際、セックス以外は家庭に不満はなかった。


しかし、僕にとってセックスは大切なことだった。

家事の手を抜いてもいいから、その関係は必要だった。

それは僕の性質に帰するものなのか、男とはそういうものなのかは分からない。

ただ、受け入れられないことが、空虚に感じていた。


そんな時、友人から教えてもらったのが、あるパパ活サイトだった。

特別に若い子を求めているわけではなかった。

僕は既婚者にしては、若い女性との出会いは多い方だったし、

もともと遊びは嫌いじゃないから、それなりのハプニングはあった。

それはそれでよかったのだが、その時はどういうわけか、

それなりの年齢、つまり男の仕事や大変さを共有できるであろう年齢の人を求めた。

そんな時に出会ったのが彼女(直子)だった。


つづく。