NHKマイルカップGI  🏇💨


こどもの日(5月5日)
東京競馬場
☆芝1600m
3歳牡馬牝馬限定オープン
国際
馬齢

上半期3歳マイル王決定戦、と言うのが現状の立ち位置であるGI 競走である。スピード能力の高い馬の明確化、その先の成長を図る場という立ち位置から、大義名分としては置いておきたいGI 競走ではあるのだが……

この競走の創設は1996年の事だった。
当時は国際化という立ち位置ではあまり促進されていなかったという背景があった。本格的な国際化は今世紀に入ってからであった。
また90年代は弾けてしまったとはいえバブル経済の影響が、特に前半に於いては色濃い時代だった。名誉は兎も角財力を手にした面々が投資という観点から、競走馬の購入特に既得権の影響が少し少ない外国産の競走馬のそれに加速的に走る傾向が強く、新たな血の導入という見地からある意味歓迎もされていた。一方で国内の馬産に影響も懸念されつつも、結果的にその後経済状況の変化に輸入種牡馬ではあったがサンデーサイレンスを購入し日本国内でその産駒を育成、レースで大きな結果を出した事の影響から、加えて日本競馬のグローバル化も促進されたという背景が現在地としてある。
とはいえ90年代に於ける外国産の競走馬の活躍は日本競馬、特に国内の馬産業に看過できない状況にあった。特に当時は天皇賞とクラシック競走には外国産の出走が一切認められていなかった。それ故に時にクラシックホースのその価値が、外国産馬の存在により疑問に思うというケースも。

その為、1996年当時クラシック競走に出走が認められていなかった外国産馬に春季に目標となるような存在を設けようという声に応える形で創設されたのがこのNHKマイルカップGI だった。
マイルカップとある様に、この競走の距離は芝1600mである。これは外国産馬は当時どちらかと言えば早熟で距離は2000m以下が得意という傾向があったとされるが、長距離が得意な外国産馬も少なからず存在しておりそれは当たらない。という事はその距離となった理由は別にもある。当時は以前からの中長距離こそ、というスタミナもより重要という思考も根強かった。その為距離としては2000m以上の番組は充実していたがマイル以下となると1984年に安田記念GI、マイルチャンピオンシップGI 、その後スプリンターズステークスがGI に格付されるなど、短距離戦の拡充は道半ばだった。外国産勢の旋風と、短距離戦の拡充という二つの側面を考慮されての創設、それが4歳(現3歳)上半期の大きな目標とすべきレースであるNHKマイルカップGI という事となった。

〜 NHKマイルカップGI 主な歴代優勝馬 〜

・ タイキフォーチュン(第1回優勝) ・ シーキングザパール (モーリス・ド・ゲスト賞)・ エルコンドルパサー(ジャパンカップGI 他) ・ イーグルカフェ(ジャパンカップダートGI ) ・ クロフネ(ジャパンカップダートGI ) ・ キングカメハメハ(東京優駿GI ) ・ ラインクラフト(桜花賞GI ) ・ ディープスカイ(東京優駿GI ) ・ グランプリボス(朝日杯フューチュリティステークスGI ) ・ ミッキーアイル(マイルチャンピオンシップGI ) ・ メジャーエンブレム(阪神ジュベナイルフィリーズGI ) ・ アドマイヤマーズ(香港マイルGI 他)  etc……

☆ 目の上のたんこぶ……

アドマイヤマーズは2019年の優勝馬である。このNHKマイルカップGI の他に前年の朝日杯フューチュリティステークスGI 、同年暮れの香港マイルGI を制している。
さて、この馬をピックアップホースとしたのは最強短距離馬について語ってみたいと思った為である。ところでそれならばこの世代の最強短距離馬はアドマイヤマーズかと言えばそれはまあ、牡馬に限定すればという注釈を付けるならば少なからず当たっているかもしれない。加えて世代最強マイラー3歳までならば、というそれも付ければ。
という事は同じ世代に牝馬で強いマイラー、短距離ホースが存在している事になる。ズバリ、グランアレグリアがそれに相当する。同年桜花賞GI を優勝、スプリンターズステークスGI、マイルチャンピオンシップGI 等も優勝しており、4歳以降も短距離で活躍したのだから間違いなく世代最強短距離ホースと言って間違いないところである。因みにこのNHKマイルカップGI では⑤着(4位入線)だった。2頭はアドマイヤマーズが優勝した朝日杯フューチュリティステークスGI にも出走していてグランアレグリアは③着だった。敗因は様々あろうが結果的にアドマイヤマーズは世代GI マイル戦で二度に渡って世代最強短距離馬グランアレグリアにとっての目の上のたんこぶとなったと言えた。アドマイヤマーズはダイワメジャー産駒。その血統を更に繋ぐのか途切らせるのかはこのアドマイヤマーズに掛かっている模様だ。

☆ 大混戦、そして波乱の決着に……

昨年の NHKマイルカップGI は戦前混戦模様となった。その要因としては阪神ジュベナイルフィリーズGI の覇者リバティアイランドはこの時点で桜花賞GI を完勝、オークスはおろか牝馬三冠は確実とされており、流石にこのNHKマイルカップGI への出走は無かった。またそのライバル達も優駿牝馬オークスGI でのワンチャン狙いが殆どだった。一方牡馬勢はその前哨戦を無双するような存在はなく、中心馬が定まり辛い状況にあった為だ。
1番人気はカルロヴェローチェ、その単勝オッズは 5.7 倍。主な勝ち鞍は白梅賞(1勝クラス・中京芝1600m)、中日スポーツ賞ファルコンステークスGIII ②着。鞍上がD.レーン騎手という点が僅かに1番人気となった要因だったかも?! 同馬の本競走は⑤着。
優勝したのは9番人気のシャンパンカラー、②着は8番人気の牝馬ウンブライル、③着にはオオバンブルマイで何れも追込勢だった。
シャンパンカラーはドゥラメンテ産駒、前走ニュージーランドトロフィーGII ③着により優先出走権を得ての出走でチャンスを掴んだ。ウンブライルも前走ニュージーランドトロフィーGII ②着により優先出走権を確保しての出走。因みにそのニュージーランドトロフィーGII の覇者エエヤンは2番人気⑨着。③着のオオバンブルマイは前走アーリントンカップGIII 優勝、他に京王杯2歳ステークスGII も制していた3番人気。後にゴールデンイーグルス豪GI を優勝して高額賞金をせしめた。因みに朝日杯フューチュリティステークスGI の覇者ドルチェモアは⑫着。


☆ NHKマイルカップGI ℳ𝑦.注目馬 🏇💨


・ ボンドガール(牝3)  前走はもし出走していればワンチャンあったかも知れなかった桜花賞GI を除外され、ニュージーランドトロフィーGII に回り②着。休み明けだった事、トリッキーな中山コース未経験という負の要素が目立っていた事を思えば悲観する事はなく寧ろ高いポテンシャルを持つ者という印象すら。経験のある東京コースに変わるのは好都合。デビュー当初の期待感を思えば勝ち負けするのは決して絵空事ではない。