☆ スポーツ報知杯フィリーズレビューGII(桜花賞トライアル)
日曜(3月15日)
阪神競馬11R
芝1400m
3歳牝馬限定オープン
重賞競走
国際
馬齢54㌔
3着迄に桜花賞GI への優先出走権を付与。

桜花賞トライアルの中では最も旧い歴史を持っている競走。当初は基本的にトライアル競走や前哨戦に相当する重賞競走は本番と同じ競馬場で行う場合其れより短い距離に設定されていた故にこの競走の距離が芝千四に設定されている所以である。因みに皐月賞トライアルの場合、フジテレビ賞スプリングステークスGII は本番より1F短いし、スポーツ報知杯弥生賞ディープインパクト記念GII は当初芝千六だった、らしいっす。また、ダービートライアルのテレビ東京杯青葉賞GII は当初オープン特別競走でまたその当時のダービートライアルの最高格は東京芝二千で行われていたNHK杯GII だった。
本番と同じ阪神芝千六で行われるチューリップ賞GII には阪神ジュベナイルフィリーズGI 優勝馬等を含む桜花賞有力候補が比較的向いやすい傾向にあり、近年では此方フィリーズレビューの出走レベルに疑問が感じられたりしている。優勝馬が出ても其れはほぼ伏兵だったりするから余計にそう感じられる。加えて2018年からは大阪杯GI の前哨戦のひとつ金鯱賞GII が同日にて行われるようになり、騎手があちらの馬を選ぶケースも見られる故に桜花賞有力馬がチューリップ賞GII に向かう傾向に拍車が掛かりそうだ。下手をすれば何れグレードダウンを喰らう可能性もありそうだ。

本競走は1967年に「阪神4歳牝馬特別(報知杯桜花賞トライアル)」として創設された。後に報知杯阪神4歳牝馬特別(桜花賞トライアル)を経て2001年より馬齢換算の国際基準に沿うことを採用となったのを契機に競走名が変わり現在に至る。

施行距離は一部を除いて芝千四で行われている(一部に該当の時は芝1200m)。
グレードは1984年の導入時よりGII(一時JpnII )。

☆ 交流元年、淀のターフを震撼させた
1995年 第29回報知杯4歳牝馬特別GII は同年1月17日に勃発した阪神淡路大震災により阪神競馬場での施行が出来なくなり急遽京都競馬場に振り返られた。と同時にこの年は地方競馬との交流元年に当たっていた。数多くの特別指定競走が設定され、地方競馬所属の馬が地元の認定競走での勝ち鞍を得て条件を満たせば指定交流重賞への出走が出来るようになった。同年のこの競走には笠松競馬で10連勝をマークしていたライデンリーダーが当時地元の第一人者で後にJRAに移籍する安藤勝己騎手で参戦してきた。すると強烈な脚を繰り出して優勝してみせたのだから恐れ入ったというところ。残念ながら桜花賞をはじめとしたGI を優勝出来ずに終わったが、インパクトの強い登場は地方競馬の秘めたる夢が自信を以ての現実に変わった瞬間だった。

☆ 桜花賞戴冠への期待十分過ぎる圧勝劇
キョウエイマーチは不良馬場で行われた1997年の桜花賞GI 優勝馬。条件特別競走、エルフィンステークスと連勝して桜花賞候補に名乗りを上げた同馬はトライアルはローテーションの関係からこの報知杯4歳牝馬特別GII を選択すると後続に7馬身差の圧勝で優勝。チューリップ賞GIII で若さをのぞかせての③着に敗れていた最優秀3歳牝馬のメジロドーベルを超えての1番人気で4馬身差の完勝を桜花賞GI で遂げたのだった。

☆ 末脚炸裂、しかし
2001年優勝は末脚炸裂のローズバドだった。母はデイリー杯3歳ステークスGII 優勝、秋華賞GI ③着のロゼカラーで俗に言われる「薔薇一族」である。同馬は優先出走権を手にした桜花賞GI は熱発で回避を余儀なくされた。サンケイスポーツ賞フローラステークスGII に出走するも敗れ、優駿牝馬オークスGI はレディパステルの②着。秋は関西テレビ賞ローズステークスGII そして本番の秋華賞GI 何れも②着は惜敗だった。更にエリザベス女王杯GI でも大接戦の末の②着。結局GI は勝てずその後マーメイドステークスGIII を優勝に留まった同馬は繁殖にてローズキングダムなるGI ホースを出して一族の悲願を達成した。

☆ 4連勝。繁殖ではクラシックホースも
2006年の報知杯フィリーズレビューGII を制したのは関東馬のダイワパッション。前走は当時芝千二、暮れの中山競馬で行われていたフェアリーステークスGIII 優勝であった。この競走を優勝して初勝利から4連勝となって桜花賞GI に向かったが⑯着、以降は惨敗が殆ど故にこの競走を含む4連勝が現役生活最高の輝きだった。騎乗した長谷川浩大騎手は栗東所属だったが関東馬のこの馬の手綱を取り好調期を支えた功労者。現在は調教師として活躍、ヤマニンアンプリメなる砂の女王等を管理している。またダイワパッションは2018年の皐月賞馬エポカドーロを出してクラシックホースの母になったのは大きい。

☆ 物見して敗れるも
2017年のスポーツ報知杯フィリーズレビューGII を優勝したのはカラクレナイだった。だが1番人気だったのは②着のレーヌミノルで同馬は小倉2歳ステークスGIII 優勝、阪神ジュベナイルフィリーズGI ③着等の実績馬だった。直線で一旦は先頭に立ったがその刹那ソラを使い出し抜けを食らわされた形で差されてしまった。だが次走桜花賞GI を優勝してしまったのだから確かに実力馬に違いなかった。
またこの年の出走馬には⑬着のアンジュデジールがJBCレディスクラシックJpnI 優勝馬に。

☆ 同着優勝、波乱の決着
昨年の報知杯フィリーズレビューGII はフルゲートほぼほぼ関西馬の18頭で争われた。降雨の中で馬場状態は稍重。1番人気は前走京王杯2歳ステークスGII ②着、ダリア賞勝ち馬であるアウィルアウェイ。2番人気は中京、京都と芝千四を連勝からの重賞競走初出走だったキュールエサクラ。3番人気は前走購買ステークス(L)②着、りんどう賞①着の実績を持っていたプールヴィル。4番人気は前走フェアリーステークスGIII ②着、黒松賞を勝っていた関東馬のホウオウカトリーヌ。以上4頭迄が単勝オッズ1桁。
先行争いにアウィルアウェイも加わったがハナを叩いたのはアスタールビーでアウィルアウェイは2番手。
前半600mは 34.9 とそこそこ流れて
4角は馬群も凝縮。
直線の攻防は激戦となり
出遅れたが直線内の馬群を割って追い込んで来たノーワン、外から追い込んだプールヴィルがゴール前僅かに抜け出した印象に映った。
問題は何方が先着したかだったが間に2頭挟まっており体勢は微妙。当然写真判定となったが結果は同着だった。また半馬身遅れの③着争いもアタマ差でジュランビルが制した。ノーワンは前走京都競馬の競走にて惜敗続きにピリオドを打ったという格上挑戦で12番人気。出遅れをものともせず直線内を突いての根性差しは見事だったがその後はもう一つで阪神カップGII ⑤着は健闘の部類。 一方プールヴィルは桜花賞GI ⑥着、秋にはリステッド競走で2連続②着の後今年の京都牝馬ステークスGIII も②着に。ジュランビルは6番人気、前走万両賞①着、KBS京都賞ファンタジーステークスGIII ③着等戦績はまずまず安定していた。その後は桜花賞GI ⑧着から橘ステークス(L)は1番人気②着。秋は道頓堀ステークス(阪神芝千二)を1番人気で②着等、現在も3勝クラスに。アウィルアウェイは⑦着も差程負けた印象は無かった。次走桜花賞GI ⑩着、葵ステークス(重賞)③着、夕刊フジ賞オパールステークス(L)①着と早熟馬ではなかった模様。更に京阪杯GIII ④着を挟んでシルクロードステークスGIII を優勝と重賞勝ち馬に。次走は当然高松宮記念GI を予定している。

☆ 桜花賞路線は疑問も
報知杯フィリーズレビューGII への特別登録は26頭。人気は前走フェアリーステークスGIII ⑥着は人気を裏切る形だったが2連勝していた関東馬のアヌラーダプラとなりそうだが…またカリオストロは前走の万両賞(阪神芝千四)を1:20.4 のレコードで逃げ切った。それ故に若しかしたら1番人気の可能性も?!
注目馬〜
・ ヤマカツマーメイド
チューリップ賞GII は前走阪神ジュベナイルフィリーズGI 上位組が着順を若干入れ替えての上位独占と矢張り2歳女王決定戦上位組はある程度評価すべきだろう。この馬も上位人気に近い7番人気にて⑤着と掲示板を確保。それ以来の出走となるが此方を選択したのは昨秋りんどう賞(京都芝千四外)を制しているからという事実とも無関係では無さそうだ。
馬群を割って差し切ったりんどう賞のヤマカツマーメイド。昨年の様な大接戦になるならこの馬がその主役をはる可能性は大いにありそうだ