☆ アメリカジョッキークラブカップGII
日曜(1月26日)
中山競馬11R
芝2200m
4歳以上オープン重賞競走
国際
別定

時にGI ホース或いはその域と同等のレベルと言われるような馬の参戦もあり、メンバー次第では非常に高い注目度の競走となる場合も。また優勝馬や好走した馬の中から後のGI 優勝或いは好走するという場合も割と良く見られたりしている。

本競走の創設は1960年。日米友好の一環として、ニューヨークジョッキークラブから優勝杯の贈呈を受けて、とされている。ただ国内情勢としてはこれに対して大きく揺れて様々な騒動が勃発していた……
第1回の競走は1月5日に行われたが翌1961年からは金杯(現 日刊スポーツ賞中山金杯GIII)と開催日や施行条件を交換した。以来金杯の開催日が基本的に1月5日という形となって現在に至っている。詰まり第1回は距離は芝二千、負担重量はハンデキャップで行われたが翌年からは芝二六の別定で行われるようになった。その後施行場や距離を幾度か変更されたが1984年より中山芝二二に定着(但し1984年は降雪の影響によりダート千八に変更)している。また同年より導入されたグレード制によりGII が格付されて現在に至る(パートI 国昇格に伴う措置で2007〜2008年はJpnII )。1972年より混合競走となって外国産馬の出走が可能となり、2006年より国際競走に変更され外国調教馬の出走が可能となった(現在は最大9頭迄)。

☆ キンキラキン決着
第1回のこの競走は現在の中山金杯GIII と同じ条件下で行われた事は前述した通りである。その中山金杯ではクシロキングなど金に纏わる馬名の馬が勝ち負けする事が目立っていた。
創設時の事もあり、また同じ1回中山競馬の重賞競走の交からでは無いがミレニアム2000年のアメリカジョッキークラブカップGII は中山金杯も真っ青な、否キンキラキンな金へん馬券決着となった。当時は馬連が主流だった時代なので優勝馬或いは連対馬達が特にクローズアップされた傾向にあったのでキンキラキンのワンツー決着はちょっとした話題にもなった、らしおっす。
優勝したのはマチカネキンノホシ。当時の換算での明け5歳牡馬だった同馬はこの年から中長距離へも矛先を向けるようになり早速結果を出した形だった。ただ其れには当時の事情も関係していて、同馬は米国産故に前年の春の目標がNHKマイルカップGI(④着)だったのだ。因みに翌2001年よりダービーや菊花賞等への外国産馬の条件付き出走が認められるようになっている。この年の秋の同馬は自己条件での出走となりアクアラインステークス(中山芝千八)を勝ってオープン入りした初戦が年明けのこの競走でいきなり優勝だったのだから陣営の番組選択への正しさも確りと証明された。そして前述したキンキラキン決着はと言うと2馬身半差②着にステイゴールドが入った為。明け6歳(当時の換算では7歳)だったステイゴールドは1998年に春秋の天皇賞を②着等GI 競走で数多くの好走を遂げていたが2000年はじめの時点での主な勝ち鞍は阿寒湖特別(当時の900万以下特別競走)という塩梅だったのだ。一方この勝利によってオープン定着が決定したマチカネキンノホシは一旦休養して初夏の東京開催で復帰。その初戦、目黒記念GII でこの競走に続いてのキンキラキン決着となった。ただ優勝したのはアメリカジョッキークラブカップとは逆にステイゴールドの方だった。其れにより3年近くに渡って勝利から見放されていたステイゴールドに待望の勝ち鞍が齎されたのだった。その後のマチカネキンノホシは同年秋にアルゼンチン共和国杯GII で2つ目の重賞優勝を果たし、翌2001年には日経賞GII で後にシルバーコレクターを経て宝塚記念GI を優勝するメイショウドドウの②着という好走をした一方でステイゴールドがラストランで香港ヴァーズGI を優勝した頃は休養していた。2002年には京都記念GII で同じ歳の菊花賞馬 ナリタトップロードの②着になったがアルゼンチン共和国杯が最後の勝ち鞍となりGI 優勝はならなかったが、それでもあの当時テイエムオペラオー等が活躍した時期に同じく活躍した面々を思い出す際にその端っこでキラキラ光るGII ホースも少しは思い出したりしている。

☆ グランプリへのプロローグ
2001年9月11日勃発した未曾有の事件で騒然となった。この年の有馬記念GI を優勝したのがマンハッタンカフェ、②着がこの年のこの競走を優勝したアメリカンボスだった事から俗に言う世相を反映したサイン馬券だと話題となった、らしいっす。有馬記念は特別な競走故にそう言ったサイン、カルト扱いが話題となりやすくあの事件は世界を騒然とさせ影響力も大きかったので特にその扱いも別格だった模様。しかもこのアメリカンボスはその有馬記念GI での直近の戦績が芳しくなかった等の影響により人気薄だった為に波乱の決着に一役買っていたからよりそのカルト性が高まった模様。ただこの年のアメリカジョッキークラブカップGII でのアメリカンボスは相手関係にも恵まれた印象が有ったとしても2番人気(1番人気は前走有馬記念GI で③着からのダイワテキサス)。また次走中山記念GII も優勝と春先は秋と違っだて好調だった。少なくともグランプリを勝ち切るかは兎も角実績的にはあの程度のパフォーマンスは出せなくもなかったという考え方も成立した様だ。

☆ 中山巧者、グランプリも
2007年優勝は当時4歳牡馬だったマツリダゴッホ。前年のクラシック戦線ではラジオ日本賞セントライト記念GII での落馬競走中止など結果を出せなかったが暮れの中山開催にて準オープンクラスを制してこのアメリカジョッキークラブカップGII には2番人気という高評価を受けて、その期待に十二分に応える5馬身差の圧勝で先ずは1つ目の重賞タイトルを手にした。2つ目の重賞勝ち鞍は同年秋の産経賞オールカマーGII 。アメリカジョッキークラブカップ同様4角で先頭に立って直線押し切る形で得た。天皇賞秋GI は惨敗してその時点では偉大なるGII ホース候補という風情だった。故に香港ミーティングへの登録はしたものの馬インフルエンザの影響による現役の問題にて回避して矛先を向けた有馬記念GI には9番人気の低評価だった。しかしスローペースを好位内の経済コースを走り4角で内から出し抜ける様に直線早々先頭に立つとダイワスカーレットを振り切って優勝した。3つ目の重賞勝ちは伏兵でのグランプリ制覇は同時にサンデーサイレンス産駒として最後のGI 優勝だった。その後の同馬はクイーンエリザベス二世カップGI(⑥着)への壮行競走として出走した日経賞GIIに最終的に3連覇となった産経賞オールカマーGII でつごう3つのGII 優勝を加算したが連覇を目論んでの2008年有馬記念GI は惨敗したが其れでもグランプリを含む重賞6勝を中山競馬の重賞競走でマークした中山巧者だった。

☆ 史上2頭目のAJCC連覇
前述したマツリダゴッホは同じ中山芝二二の産経賞オールカマーGII は3連覇したがこのAJCCの優勝は1度きりだった。だが2007年の日経賞GII でマツリダゴッホを降して優勝したネヴァブションはその後2010、2011年のアメリカジョッキークラブカップGII を優勝、1982、1983年に優勝したアンバーシャダイ以来となるこの競走の連覇を達成した。更に同馬は10歳となった2013年のスポーツニッポン賞ステイヤーズステークスGII 迄現役を続けた。その後種牡馬となったが2016年に逝去。長い現役生活とは逆にその後の馬生は短期に終わってしまったネヴァブションだった。

☆ 鮮やかに復活…だがしかし…


昨年のアメリカジョッキークラブカップGII は3週間に渡って行われた開催の最終日に行われた。天候は晴、馬場状態は良。11頭と頭数は揃わなかったが前年の菊花賞馬フィエールマンの出走が有り注目の一戦となった。そのフィエールマンが当然ながら1番人気に。続く2番人気も明け4歳牡馬で前走は菊花賞GI ⑨着だったがその前の朝日杯セントライト記念GII を逃げ切りで優勝のジェネラーレウーノ。3番人気はディフェンディングチャンピオンの明け5歳牡馬のダンビュライト。以上3頭が単勝オッズ1桁だった。注目された先行争いはハナも想定されたジェネラーレウーノは抜群の発馬を決めたがステイインシアトルが熨斗をつけて譲らず結果的に其れが1角を先頭で通過。ジェネラーレウーノは2番手から。フィエールマンは中段追走で1000m通過が 1:02.2 とスローに近い流れだった。4角を外から捲り上げるような形で早々と先頭に立ったのはシャケトラ。フィエールマンは馬群をこじ開ける様にして伸びて最後は並んでゴール。首の上げ下げという際どい争いに映ったがシャケトラが優勢で着差もアタマと見た目以上の完勝だった。③着のメートルダールも大外から伸びた分フィエールマンと 3/4 馬身の差となった格好だった。ジェネラーレウーノは④着。ダンビュライトは⑥着。
明け6歳だったシャケトラは2017年の有馬記念GI 以来となる1年1ヶ月振りの復帰戦を見事に優勝で飾った。同馬は次走阪神大賞典GII も制して3つ目のGII 優勝となって未完の大器が遂にGI 優勝に王手をかけたのだったが天皇賞春GI に向けて調整中にて再び骨折が判明。診断結果は予後不良だった。一方敗れたフィエールマンは次走天皇賞春GI を優勝して古馬GI タイトルも手中に収めたが凱旋門賞GI はシンガリ負けとなった。メートルダールは連覇を目論んだ中日新聞杯GIII は⑤着からの臨戦で5番人気。右回りの重賞競走での好走は京成杯GIII での③着以来だった。ジェネラーレウーノはこの後休養を余儀なくされた。ダンビュライトは次走京都記念GII で6番人気まで評価を落としながらも優勝して雪辱を晴らし、秋には京都大賞典GII を逃げて粘っての②着をマークした。

注目の発馬

1角を通過

先手はステイインシアトル。ジェネラーレウーノは2番手

フィエールマンは中段から

ひとかたまりで4角へ

坂の途中でシャケトラが先頭に

フィエールマンもシャケトラに接近して

ゴール前並びかけるまで。シャケトラの復活優勝だ!

☆ 凱旋門賞帰り初戦だが
今年のアメリカジョッキークラブカップGII の特別登録は13頭。
・ 実績最上位は2018年のグランプリホース ブラストワンピース(牡5)。昨年は札幌記念GII 優勝から凱旋門賞GI に挑戦した。結果は残念だったが此処では実績上位。無様な競馬は許されないところだが…
・ 昨年の産経オールカマーGII を逃げ切った ステイッフェリオ(牡6)。秋のGI は結果を出せなかったが勝ち鞍を挙げたこのコースのこの相手ならば…
・ 同じくステイゴールド産駒のステイフーリッシユ(牡5)。前走チャレンジカップGIII (⑩着)は読み違いで流れに乗れず。産駒が得意な条件故に巻き返しも。
・ ミッキースワロー(牡6)は七夕賞GIII で力を見せたがその後秋の2戦の惜敗は物足りなさも。この条件ならまず大崩はしないだろう。
・ ニシノデイジー(牡4)は此処が試金石。結果が欲しいところなだけにどんな仕上げで臨んでくるか。

〜 注目馬 〜
ブラストワンピース(牡5)