インフレとお金の価値が下がると言う2つの言葉が意味する事は、平時ならほぼ同じです。しかし、今は資本主義が根本的に抱える問題のせいで、違った意味に捉えなければならない時代です。

根本的な原因はFRB等中央銀行による金融危機の対処方法であり、金融危機の対応策として市中に潤沢な資金を提供するという名目で新しく大量のお金を出した事です。量が増えれば単価は下がります。

先進国も弱インフレ政策を採用し、賃金も物価の上昇と共に上がっていました。日本はデフレで(実際はインフレも進行していた)はありましたが、円高に隠れてうまく国民は認識できなかったみたいです。

僕が買ったコンドホテルの一室は、契約時から46%値上がりしました。しかしこの数年でタイの物価は急騰し、体感で50%上がっています。酒・たばこは数十%、それから料理に使うひき肉・野菜類も50%ほど上がっています。昨年1月にタイ政府は最低賃金を約50%上げましたから、ほぼ賃金の上昇分を物価上昇で食いつぶしています。僕の一室は円安もあり円に戻すとほぼ100%の上昇になりますが、個人的には4%負けていると考えています。

身の回りには、所有するタイのマンションの価格が20%上がったと喜んでいる人もいます。この人達は30%負けています。しかし、現金で持っていた場合に比べると、ずいぶんマシです。この辺の資産評価をどうするかは個人の自由なのですが、あまり甘いと意味がありません。

同じく、円高時に円をUSDやHKDに換えていた人も、円貨で持っておくよりはずいぶんマシですが、そのUSDもHKDもユーロもオージードルも全て価値が下がってますので、その分は損をしています。

今は恐ろしく速い速度でお金の価値が下がっている時代です。そういう時代には防御の方法も攻撃の方法も違ってきますが、まず最初に「起きている事態の正確な認識」をする事が最も大事です。物価が上がっているのではなく、お金の価値が世界中でどんどん下がっていると言う認識です。