4月15日に中山競馬場で行われる牡馬クラシック第1弾、第72回皐月賞(GI、11R、芝2000メートル、フルゲート18頭)の最終登録が1日にあった。22頭がエントリーしたが、なんと近2走を連勝した馬は皐月賞のトライアルレース、若葉S(オープン、芝2000メートル)を勝ったワールドエースのみという陣容だ。よく言えば実力均衡だが、悪くいえば“小粒”。2010年に1番人気のヴィクトワールピサが1着に来たが、最近は1番人気が期待に応えられていない。意外な伏兵が台頭する余地を残す波乱の一戦ではないか。



■伏兵台頭の07年に類似か

2007年の皐月賞。1着に7番人気のヴィクトリーが入り、2着には15番人気の伏兵サンツェッペリンが来て馬連で9万4630円。3着に辛うじて2番人気のフサイチホウオーがハナ差で猛追も及ばなかった。弥生賞、シンザン記念と連勝して1番人気に推されたアドマイヤオーラが4着だったおかげで、3連単は162万3250円の高配当になった。



ヴィクトリーは前走の若葉Sを1番人気で1着、2走前のラジオNIKKEI賞は1着にクビ差の2着。3走前は2歳新馬戦で2着に0秒9差をつけての快勝劇だった。



最近6年の成績を見てみると、1着にはスプリングS1着馬が3頭、弥生賞1着馬と若葉S1着馬が1頭ずつの成績となっている。過去10年の前走のレース別成績では、スプリングS組が【5・3・1・46】で勝率9・1%、連対率14・5%。弥生賞組は【3・4・5・33】で勝率6・7%、連対率15・6%。若葉S組は【2・3・1・18】で勝率8・3%、連対率20・8%。スプリングS組の信頼度の高さを裏付けている。



では今年のスプリングS勝ち馬は、グランデッツァだ。重馬場の道中を3~6番手で追走し、最後の直線で先に抜け出したディープブリランテを最速の35秒5の末脚を使って差し切り、2着に0秒2差をつける強い勝ち方をみせた。新馬戦を勝ち切れなかったが、デビュー2戦目の未勝利戦では8馬身をつけての楽勝で、能力の高さは実証している。最近では未勝利戦で大差で勝っている馬は1~3着に来ている傾向がみられるし、ダイワスカーレットやディープスカイなど実績馬を輩出しているアグネスタキオン産駒であることを考えると、馬券は抑えておきたいところだ。


ただ3勝すべてが1800メートル戦ということだ。唯一の2000メートル戦だった2走前のラジオNIKKEI杯2歳Sではゴール前で伸びきらず、0秒2差の3着に敗れている。200メートル距離が伸びた分に不安が残る。「使って状態面の上積みも見込める」と陣営がいっているように3歳での成長を期待できるか。



■重馬場なら…

9番人気で弥生賞を制したコスモオオゾラ。稍重の馬場で1000メートル63秒1のスローペースを道中5番手で追走し、最後の直線で馬群を割って出ると、35秒0の末脚で差しきり勝ちを収めた。3走前に勝った葉牡丹賞も重馬場。陣営は「道悪が得意というわけではないが、今の荒れた中山の馬場を他の馬が苦にするようなら、その分向くと思う」と予想する。2走前の良馬場だった共同通信杯(1800メートル)は勝ったゴールドシップに0秒6差の5着に敗れているが、皐月賞と同じ2000メートルで3戦全勝。しかも弥生賞の舞台・中山は【2・0・0・1】だ。着外は気性がはっきりしない新馬戦のもので、しかも0秒4差の4着なら悲観するものではない。陣営は「この馬の強さであるスタミナを生かしたい」としており、荒れた中山の馬場向きか。人気が集まらなければ、めっけもんだ。



■ローテーションに疑問…

そのゴールドシップは【3・2・0・0】と連対を外しておらず、登録馬の中でも成績は秀逸。しかも2000メートルは1戦2着と距離に問題はなさそうだ。ただ、共同通信杯からの直行になった。先に見たように、トライアルレース以外からの出走過程では【0・0・3・32】で勝率は0%。連対も果たしていない。昨年、1番人気だった共同通信杯を0秒7差の9着で敗れたダノンバラードはそのまま皐月賞に直行し、3着に来た。逆に07年に皐月賞2番人気だったフサイチホウオーは共同通信杯を勝って皐月賞に臨んで3着止まりだった。ある意味、3着までには来るかも…。



■近2走1着馬の勝率はダントツ

ここまでみて、有力馬はどれも“きらめき”に欠ける。過去10年データで、近2走とも1着に来た馬の成績は【4・1・6・36】で勝率14・8%、連対率18・5%、3着以内率40・7%と優秀な結果をみせている。



これに符合するのが、若葉S勝ちのワールドエースだ。若葉Sは後方12番手を追走。最終コーナー付近から徐々に上げていき、残り200メートルでメイショウカドマツが逃げ残っていたが、最速の35秒3の切れ脚で突き抜けて2着に0秒3差をつけての勝利となった。レース後も反動はないようだ。若葉Sはトライアルレースの中で最も連対率が高く、ワールドエースはデビュー戦から4戦1番人気。父はディープインパクトで、母マンデラはドイツオークス3着でドイツで2勝している。前走で1着した馬の勝率は高く、信頼度は高い。ここはワールドエースを本命に推奨したい。



穴馬はマイネルロブストか。前走のスプリングSは重馬場で、跳びの大きいマイネルロブストには不向きだった。度外視していいだろう。2走前の京成杯は34秒1の末脚で1着に0秒1差の2着、3走前のGI朝日杯FSで0秒3差の2着と相手なりに堅実な走りをみせている。良馬場ならばヒモ候補に挙げたい。



ディープインパクト産駒のディープブリランテは12年に入って、すぶくなったのか、共同通信杯、スプリングSと2着に終わっている。スプリングSでは最後の直線でタイミングよく先頭に立ち、押し切るかと思われたが、グランデッツアの後塵を拝する結果に。今回は買っても薄めか。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120408-00000526-san-horse より