【㉑ワンメイクの23

牡 5/25

父  :ヴァンゴッホ(American Pharoah産駒)

母父 :フジキセキ

クロス:なし

厩舎 :美浦・辻厩舎

募集額:22000/口 総額1100万円

 

※馬体写真や歩様動画などの情報は、京都サラブレッド様および撮影した権利者様等に権利が帰属します。それらの詳細は京都サラブレッド様の各募集馬詳細ページにてご確認ください。   

 

 

 

 

 

-血統(父ヴァンゴッホについて)-

父ヴァンゴッホはアイルランドから輸入された新種牡馬であり、現役時代はGⅠクリテリウムアンテルナシオナル(2歳マイル)を制しています。同レースの勝ち馬で日本でも名前を聞く馬を挙げると、同じく日本で種牡馬生活を送っているサンダースノー、バゴあたりでしょう。2頭はその後もGⅠ勝利を重ねていますが、ヴァンゴッホはあまり振るっていたとは言い難く、以降は愛2000ギニー(3歳マイル)で3着に入った程度です。レースを見るとパワー型で欧州馬っぽいと感じます。サンダースノー産駒はダート中心、バゴ産駒は芝寄りのやや両刀な傾向にあるので、勝利したレースそのものから日本の適性を見出すことは難しそうです。

ヴァンゴッホの父であるAmerican Pharoahの産駒は日本だとダートの成績が良く、芝の成績は4頭しか勝ち馬がいません。また、芝で5勝を挙げているリフレイムが芝成績を底上げしている点については注意が必要そうです。ただ、リフレイムを除く芝勝ち馬3頭のうちジューンブレア(2勝/母父Galileo/メティエダール(1/母父Medaglia d'Oro)はともに母父Sadler's Wells系であり、ヴァンゴッホ(父Sadler's Wells)の血統と一致します。

Sadler's Wellsと聞くと日本では重い印象なので、日本におけるSadler's Wellsの父成績と母父成績を見てみます。

芝父Sadler's Wells :48-33-41-299    芝母父Sadler's Wells  400-395-412-3914

ダ父Sadler's Wells :20-11-23-101    ダ母父Sadler's Wells  271-282-261-3029

複勝率父:芝29.0%<ダ34.8%      複勝率母父:芝23.6%>ダ21.2

Sadler's Wellsが日本において重いことは事実だと思いますが、(良血が多そうとはいえ)母父としてなら日本の芝に対応できています。母父Sadler's Wellsである日本の種牡馬うち、比較的ヴァンゴッホに近いのはエルコンドルパサー(父Mr.Prospector系×母父Sadler's Wells×母母父Bold Ruler系)でしょう。エルコンドルパサー産駒はダートのほうが好成績でしたが、芝でまったく走らないわけではなく複勝率も大差ありません。

また、ヴァンゴッホの母Imagineは欧州GⅠ馬ですが、叔父母にはジェネラス(英ダービー馬/産駒両刀/エリモハリアーの父)、オースミタイクーン(芝GⅡ馬)、シンコウエルメス(皐月賞馬ディーマジェスティ、スプリンターズS馬タワーオブロンドンらの祖母)と自身や産駒が日本の芝に適応している馬たちがおり、なかでもシンコウエルメスはImagineの全姉にあたるため、Imagineの仔であるヴァンゴッホやその産駒も、日本の芝に適応できる可能性は高そうです。

ヴァンゴッホはAmerican Pharoah産駒という点からダートと想定されるかもしれませんが、これらの点を踏まえたうえで、私としては(少なくともAmerican Pharoahよりは)芝にも対応する産駒が出ると考え、少なくとも両刀くらいの種牡馬として話を進めていきたいと思います。

距離適性に関してですが、American Pharoah産駒は芝だと1200-1600、ダートだと幅広い距離で好走しています。ダートの適性は自身が2400までこなしていたので、その影響が出ているのでしょう。ヴァンゴッホの場合は現役時代を見るとマイラー質が強そうですが、母は英オークス馬なのでスタミナがありますし、Sadler's Wellsが表に出てきたら少し長めになるかもしれません。

 

 

 

-血統(父以外)-

ようやく本筋に戻ります。

母ワンメイクは中央未勝利馬であり、産駒も中央では1勝のみと振るっているとは言い難いです。唯一1勝を挙げたシキシマはショウナンカンプ産駒であり、当馬とは系統が異なります。

母父フジキセキに関しては【⑩アーベントロートの23】を参照してください。ざっくり言うと、母父としては芝ダートともに活躍馬を出していますが、成績としてはダートのほうがやや好成績です。また、自身は柔らかさを備えていたようですが、産駒に対してはあまり遺伝しない傾向のようです。

 

 

 

-馬体-

5月下旬とかなり遅い生まれの割にトモはしっかりしています。立ち姿のバランスは良く、少し彎膝ぎみのようには見えますが、弓脚と違って気にする必要はないでしょう。クビ回りにもう少し筋肉が欲しい印象ですが、横からの写真だと幅があるので、筋肉がつく余地はあると思います。繋ぎの角度は芝ダートどちらもありそうです。

 

 

 

-測尺-

馬体と同様、遅生まれにしては十分な数値でしょう。成長を考慮するなら評価に色を付けたいです。大型馬になりそうなことを考えると管囲はもう少し欲しかったかもしれませんが、ギリギリ許容範囲くらいだと思います。

 

 

 

-歩様-

柔らかいとまでは言いませんが硬くはなく、芝でもやれるかもしれません。筋肉がある程度詰まっていそうなので、そのまま一回り大きくなるような形が理想でしょうか。他に悪いところはありませんが、強調するほどの要素もなさそうです。

 

 

 

-厩舎-

美浦・辻厩舎は開業4年目と比較的若手の厩舎で、京サラ募集馬だとアルヴェッターの管理厩舎ですが、まだデビュー前のため相性はわかりません。厩舎全体としてはまずまずの成績で、まだOP級の勝ちはありませんが、デビューから管理している馬を世代重賞戦線に乗せているので、腕は悪くないと思います。年度によってばらつきはありますが、どちらかというとダートのほうが得意かもしれません。

 

 

 

-募集額-

新種牡馬の産駒なので実際にどうなるか何とも言えませんが、適性的にレース選択に困ることはないと思います。当馬もAmerican Pharoah産駒およびヴァンゴッホと同様に早い時期から動ければ稼いでくれそうですし、回収までなら期待してもいいでしょう。

 

 

 

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大きなところを考えると、どちらかといえばダートになるかもしれません。芝をこなせた場合でもおそらくパワー型でしょうし、ちょっと条件を選ぶと思います。ダートの世代OPだと仕上がりの早さはあまり活かせないかもしれませんが、母父フジキセキなら息の長い走りは見込めそうですし、堅実に走るならOP入りするチャンスもあるかと。

 

 

 

-総評-

血統 :☆☆☆

距離 :両刀1400-1800 さすがに2000は厳しいか?

馬体 :☆☆☆☆

測尺 :☆☆☆☆

歩様 :☆☆☆+

厩舎 :☆☆+

募集額:☆☆☆

夢  :☆☆☆+

総合 :☆☆☆+

出資欲:◎

 

母や兄姉のことを考えると、芝では血統面で強調しきれない部分はありますが、ダートならばもう少し評価できそうです。遅生まれのわりに現時点で馬体と測尺がしっかりしていますし、母父フジキセキがいい形で出てくれれば長く現役を続けられるでしょう。まず1勝しなければならないのはその通りですが、1800までこなせればダート層の薄い時期に勝てる可能性もありますし、仕上がり早そうな特性を上手く活かしてもらいたいです。もし芝ならローカル1800とかだと思います(特に洋芝)。

 

 

 

※当記事の内容はあくまで個人的な見解であり、高評価馬の活躍を保証するものではありません。一口馬主クラブの募集馬への出資は自己責任であり、どのような結果になったとしても当方は責任を負いかねます。