セアカナンバンダイコクコガネ Heliocopris bucephalusと その近縁種


シリーズ「世界の糞虫小図鑑」。
間が空きましたが、続きです。
手持ちのHeliocoprisのチェックリストも作りましたので、漏れなくやっていこうと思います。

今回は、ナンバンダイコクコガネ Heliocopris属の中でも入門種なセアカナンバンダイコクコガネ Heliocopris bucephalusと、その近縁種を紹介します。
紹介しますと言っても、基本的な情報と、写真を載せるだけです。詳しく知りたい方は、良い図説があるので、ぜひそちらをご覧ください(突然の投げやり)。




  セアカナンバンダイコクコガネ H.  bucephalus

・分布

中国、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス、マレーシア、インドネシア(バリ島、ジャワ島、スマトラ島、ボルネオ島、ティモール)

・コメント

本属では最も安価で入手できる種と言って良いでしょう。
最大55ミリに達します。大陸産よりも、インドネシア等の離島産の方が、大きな個体を目にしますが、産地間の差異は不明です。
セアカナンバンダイコクの和名がありますが、体色は黒〜黒褐色くらいで、特別赤みが目立つわけではありません。
インド、バングラデシュ、スリランカの個体群は、2022年にHeliocopris aresという別種として記載されました。インド‐ミャンマー国境のパトカイ山脈辺りが境界であろうと言われています。

タイ 52.7mm

インドネシア・ジャワ島 55.7mm

 

  コロッサスナンバンダイコクコガネ H. colossus

・分布

カメルーン、DRC、ガンビア、ガーナ、赤道ギニア、コートジボワール、モザンビーク、ナイジェリア、PRC、南アフリカ共和国、ルワンダ、セネガル、タンザニア、ウガンダ、ジンバブエ

・コメント

最大70mmに迫る大型種です。
胸部前方に飛び出る短い突起が左右1対生じ、「ネコ耳」のように見えます。
頭角は大型個体でも消失しません。

タンザニア 61.6mm


  シュタウディンガーナンバンダイコクコガネ H. staudimgeri

・分布

カメルーン、CAR、DRC、赤道ギニア、PRC、タンザニア、ザンビア

・コメント

形態はH. colossusに似ますが、一回り小さく、最大でも55mmに届かない程度のようです。

出回る個体のほとんどは50mmにも満たず、本グループの中では比較的小型種と言えます。


タンザニア 44.2mm


  ディロンナンバンダイコクコガネ H. midas

・分布

エチオピア、ケニア、モザンビーク、南アフリカ共和国、ソマリア、タンザニア

・コメント

ナンバンダイコク全体の中でも大型種で、最大65mm前後になります。胸部前方には王冠のような突起が3つ出て、漢字の「山」のように見えます。
中型個体以下では、頭部にM字型の小さな突起(頭角)が生じますが、大型個体では消失します。
オスの頭部先端の形状は星形のようで、非常に特徴的な種です。

タンザニア 60.3mm



  ハロルドナンバンダイコクコガネ Heliocopris halordi

・分布

アンゴラ、ブルンジ、カメルーン、DRC、ガボン、エチオピア、ガーナ、赤道ギニア、コートジボワール、リベリア、ケニア、PRC、タンザニア、ウガンダ

・コメント

最大でも50mmを少し超える程度されますが、50mm近辺の個体も比較的見かけますので、種としてのMAXはもう少し上にあるのかも知れません。

ガボン 45.7mmm

  ピルマルナンバンダイコクコガネ H. pirmal

・分布

アンゴラ、ボツワナ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ共和国、タンザニア、ジンバブエ

・コメント

最大55mm程には達すると思われます。H. halordiに似る種で、小型個体やメスの識別は非常に難しい一方、大型個体では胸部前方中央の左右に分かれる突起間の切れ込み具合で判断ができます。
また分布がアフリカ南部に偏ることから、ある程度は産地で判断もつきます。

タンザニア 49.1mm



  サムソンナンバンダイコクコガネ H. samson

・分布

アンゴラ、DRC、赤道ギニア、ザンビア

・コメント

最大50mm程とされますが、恐らくもう少し伸びると思われます。H. halordi、H. pirmalの近縁種であり、小型個体やメスの識別は困難です。
大型個体では胸部の突起が発達し、見応えがあります。

タンザニア 49.2mm



  その他

本グループに属する種として、2014年にシュトレナンバンダイコクコガネ H. stroehlei、2021年にルティランナンバンダイコクコガネ Heliocopris letiranti がそれぞれ記載されています。
H. letirantiとして購入した標本は2オス所有していますが、記載論文が手に入らず同定の確実性を欠くため、今回は掲載を見送りました。

また、DRCよりもたらされた1メスの標本をもとに1943年に記載された アングリケプスナンバンダイコクコガネ Heliocopris anguliceps も本グループに含まれていますが、詳細は不明です。

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ナンバンダイコクは体が大きく、また比較的ポピュラーな糞虫なので同定も容易いと思われがちですが、特徴の出にくい中型個体以下は意外とそうでもないので書き方が難しく、無難な内容に落ち着きました。
今後もナンバンダイコクコガネ特集が続く予定です。