昏睡状態になった父

もう目を開けることはないの?

話も出来ないの?..








母が父に色々と話しかけていた






知り合った頃
2人で各地に旅行に行ったこと
結婚してから今までの数十年間のこと
今までの感謝の気持ちも含め
手を握り泣きながら話していた...









まぶたを閉じている父の眼から
ツーツーっと涙が溢れる







聞こえている
父には確かに聞こえている






兄と母が小さな事で
揉めたりすると
眉間にシワをよせる







昏睡状態になっていても
耳は生きている






これは事実な事






私も
色々な話しをしてみようと思った

私が話を始めると
口が動いたり眉間にシワをよせたり
何か言いたそうだった




そして


喉の奥からのいびき
大いびき
これが始まると
48時間以内には他界するという








昏睡状態になって2日目の17日




私は午後から
父が寝ている部屋にあるアルバムや
昔のクラッシックのレコードなどを
見ていた...






父の仕事関係のアルバムの間に
『家宝帳』と題されたものを
見つけた






中を見ると
[絵 焼物編]
山水画 〇〇作
備前焼 〇〇作
古伊万里焼
九谷焼
有田焼など

[木工編]
輪島塗 〇〇作
春慶塗 


など


なんたがたくさん
父の字で書かれている



母に
こんなの出てきたよーと




見せたら
何これ、いつ書いたんだろう
知らなかったよ...





父のアルバムを見ながら





父の仕事は詳しくは書けないけど

アルバムの中には
イギリスの首相が来日した時
父が近くで対応した写真

国体で活躍したときなど

綺麗に貼ってあった





アルバムの中に挟んであった
家宝帳
何故また
このタイミングで...
みつかるのだろう




その1時間後




父は息づかいが荒くなり
息を引き取った




まるで
そこに書いてあるからねと
言わんばかりのタイミング

家族でびっくり


父の容態が急変した時
私が手を握り話していた




みんなに
父さん
なんか様子がおかしいよー
早く来てーと言っても
誰も来ない




息子ちんはトイレ
兄は和室で休んでいた
母は2階の自室で横になって
ウトウトしていた




大きな声でみんなを呼んだ


母 兄 私 息子ちん
4人が見守りながら と言うか




みんな
父に
言いたい事を伝えていて
父はうるさかったかも...




(あいにく私の主人は
2時間前に仕事の関係で
横浜に帰ったのでした)




最後は穏やかな表情で逝った...




父さんありがとう
何もしてあげられずごめんね
私は幸せだったよ
父さんの子供でよかったよ








直ぐに医者を呼び
死亡確認




みるみるうちに
顔色も悪くなり
硬直し始めた...が




不思議だ
どんどん浮腫が取れて
父の寝ているシーツは
体液でびっしょり
あんなに浮腫んでいたのが





顔も身体も
すっきりしてきた







父さん...



浮腫が取れてきたよ
よかったね と声をかけた








備忘録として残したいので
もう少し続きます