ソーシャルワーク部

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認定医療ソーシャルワーカー兼救急認定ソーシャルワーカーのブログです。
主に、noteの過去記事を再喝しています。

みなさんこんにちはKeiです。

 

救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。

 

noteとX (フォロワー2,300人以上)を365日以上毎日更新しています。

 

ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。

 

本日は、『ソーシャルワーカーは「腑に落ちる」をデザインしろ』というテーマを深掘りします。

 

 

正論では、人は動かない

これまで現場で、何度も見てきた光景があります。

  • 制度的には問題がない

  • リスク説明も十分にしている

  • 選択肢も、きちんと提示している

それでも、行動に移らないことがたくさんあります。

 

クライエントは首を縦に振らず、話が前に進まないどころか、関係性が少しずつ硬くなっていった経験も1回や2回ではありません。

 

私のnoteでこれまで散々言及していますが、人は、正しさでは行動しません。正確に言うと、“正しさだけ”では行動に移せません。

 

正しさだけで行動ができるのであれば、「明日からダイエットしよう」と一生嘆いている人たちの言い訳がなくなってしまいます。

 

論理的に正しい提案でも、制度的に合理的でも、それが“腑に落ちていない”と人は動きません。

 

ここを見誤ると、ソーシャルワークの捉えるべき目的が一気にズレます。

 

多くのソーシャルワーカーがやってしまうのは、「説明が足りないんだ」「もっと分かりやすく伝えよう」といったような伝え方を試行錯誤することです。

 

情報量を増やしても、説明の解像度を上げても、腑に落ちていないものは、腑に落ちません。

 

むしろ、正論を重ねれば重ねるほど、相手は「信用されていない」と感じて、距離を取ります。

 

その瞬間、ソーシャルワーカーの支援は“他人事”になります。

 

ソーシャルワーカーの仕事は、正解を提示することではなく、「納得できる状態」を設計することです。

 

ここを履き違えたままでは、どれだけ頑張っても、ソーシャルワークは前に進みません。

「腑に落ちる」は、設計できる

ここでひとつ、大事なことを言います。

 

「腑に落ちる」は偶然で起きるものではなく、設計できます。

 

「腑に落ちる」を設計するためには“プロセス”が重要です。

 

人が納得する瞬間というのは、情報だけで生まれるわけではありません。

  • 自分のこれまでが否定されていない

  • ちゃんと理解されていると感じる

  • これは「自分で選んだ」と思える

「腑に落ちる」はこの3つが重なったときに生まれます。

 

このプロセスにショートカットは基本的に存在しないので、ときには、あえて遠回りする設計が必要になります。

 

ポイントは3つです。

  • 正論を急がないこと

  • 相手の文脈に潜ること

  • 決定権を手放すこと

まず、正論を急がないことです。

 

正しい方向に導きたくなる気持ちはよく分かりますが、そのスピードは、多くの場合、ソーシャルワーカーの方がクライエントを追い越してしまいます。

 

専門的な知識のないクライエントが、ソーシャルワーカーが見ている景色を、すぐに共有できるわけではありません。

 

ソーシャルワーカーにとっては当たり前の提案でも、相手にとっては急すぎることがあります。

 

次に、文脈に潜ることです。

  • なぜ、その選択をしているのか

  • 何を守ろうとしているのか

  • どんな人生の延長線上に、今があるのか

これらを把握しないままの提案は、全部“浅い”です。

 

提案が「今この瞬間の困りごと」にしか向いておらず、その人の人生全体(生活モデル)につながっていないからです。

 

人は、合理性だけで選択しているわけではなく、以下のような背景が前提にあって今の選択があります。

  • 長年守ってきた役割

  • 失いたくない生活

  • 人に頼ることへの抵抗感

  • 過去の失敗体験

  • 家族との関係性

これらの文脈を理解しないまま提案すると、こちらは「正しいことを言っている」のに、相手には「自分のことを分かっていない人の話」に聞こえてしまいます。

 

そして最後、決定権を手放すことです。

 

ここが一番キツいのですが、ここを外すと全部崩れます。

 

人は、「自分で選んだ」と思えたときに行動に移るモチベーションが高まります。

 

どれだけ良い選択でも、「選ばされた」と感じた瞬間に、モチベーションが下がってしまいます。
#「宿題やりなさい」で行動できる人は少ない

 

つまり、「腑に落ちる」というのは、情報と、感情と、関係性が噛み合った結果として生まれる、“設計された納得”なんです。

AIが強くなるほど、「手間」が価値になる

今、AIはとんでもないスピードで進化しています。

 

制度の説明も、社会資源の提示も、最適な選択肢の提案も、正直、かなりのレベルでできるようになりました。

 

速いし、正確だし、網羅的です。

 

人間のソーシャルワーカーはもう不要かと問われると、まだまだ価値を見出せる可能性を秘めています。

 

私がソーシャルワーカーの価値として残るものは「手間」であると考えています。

 

ここで言う手間は、効率が悪いという意味ではなく、価値を生むプロセスのことです。

  • 沈黙を待つ

  • 言葉にならない感情を拾う

  • 同じ話を何度もする

  • あえて結論を急がない

一見すると、非効率に見えるかもしれませんが、この“無駄に見える時間”の中でしか、人は納得にたどり着けません。

 

AIが出すのは「正解」ですが、人が動くのは「最適解」です。この2つは、似ているようでまったく違います。

 

そしてソーシャルワーカーの仕事は、後者をつくることです。

 

一緒に悩んで、一緒に迷って、一緒に選ぶプロセスそのものが価値になります。

 

効率化が進めば進むほど、この“非効率の価値”は、相対的にどんどん上がっていきます。

「正解を出す人」から、「納得をつくる人」へ

ソーシャルワーカーの役割は、正しい答えを出すことではなく、クライエントが、「これでいこう」と思える状態をデザインすることです。

  • 正論を手放すこと

  • 相手の人生に入り込むこと

  • 選ぶ権利を返すこと

どれも、簡単ではないアプローチばかりです。

 

時間もかかりますし、短期的な結果にはあまり結びつきませんが、その“手間”こそが価値です。

 

「腑に落ちる」という感情は、人と人との関係の中で生まれるプロセスによって生成されます。

 

そのプロセスには、時間と手間が必要になります。

 

AIは情報提供はできても、その手間そのものを十分に代替することは難しいのです。

 

ソーシャルワーカーは、正解を出す存在で終わるのではなく、納得をつくる存在になることが、これからの生き残り戦略の核になります。

 


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ではまた。