ソーシャルワーク部

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認定医療ソーシャルワーカー兼救急認定ソーシャルワーカーのブログです。
主に、noteの過去記事を再喝しています。

みなさんこんにちはKeiです。

 

救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。

 

noteとX (フォロワー2,400人以上)を500日以上毎日更新しています。

 

ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。

 

本日は、『態度を変えず、届け方を変える』というテーマを深掘りします。

「八方美人」という言葉の中に混ざっているもの

世の中には、「八方美人よりも、誰に対しても態度を変えない人のほうが信頼できる」と考える風潮があります。

  • 誰にでもいい顔をする人は信用できない

  • 相手によって態度をコロコロ変える人だ

  • 大事な場面で、自分の意見を言わない

ソーシャルワーカーも、捉え方によっては「八方美人」と言われかねません。実際、私自身もクライエントから苦言を呈されたことがあります。

 

 

しかし、ソーシャルワーカーの実践に「八方美人」という言葉を当てはめることには、私は違和感を覚えます。

 

ソーシャルワーカーは、医師、看護師、リハビリ職、地域の関係機関、そしてクライエントという、まったく異なる立場の人たちを同時に相手にする仕事です。

 

その全員に同じ話し方で接するほうが、むしろ不自然です。

 

相手によって話し方を変えること自体は、ソーシャルワーカーという仕事の性質上、必須のスキルのはずです。

 

にもかかわらず、すべてを「八方美人」とひとまとめにして否定してしまうのは、そこにまったく異なる二つの現象が混ざっているからです。

 

ひとつは、相手に合わせて表現を変える人。


もうひとつは相手の地位によって態度そのものを変える人です。

 

この二つは似ているようでいて、動いている原理が異なります。

 

前者は相手に届けるための工夫であり、後者は自分を守るための計算です。

 

目的が違えば、相手から得られる信頼のあり方も変わります。ここでは、その二つの違いをはっきりさせておきたいと思います。

チューニングという発想

ギターのチューニングを思い浮かべてください。

 

弦そのものを変えるわけではありません。同じギターを、演奏する場所や音響に合わせて調整しているだけです。

 

ホールでは響きすぎないように、狭い部屋では音がしっかり届くように。ギターそのものは同じでも、鳴らし方は変わります。

 

ソーシャルワーカーの仕事も同じで、医師には医学的な合理性が伝わる言葉で話し、クライエントには感情に寄り添う言葉で話します。

 

同じ判断、同じ価値観を、相手に届く周波数に変換するのは、八方美人ではなく、チューニングです。

 

たとえば「この患者さんは自宅退院が難しい」というひとつの見立てがあったとして、それを医師に伝えるときはADLの評価やリスク因子といった言葉を選びます。

 

クライエントに伝えるときは、その言葉のまま話しても伝わりません。

 

不安や罪悪感といった感情を受け止めながら、同じ結論に少しずつ近づいていく話し方を選びます。

 

ここで変わっているのは伝え方だけで、見立てそのもの、つまり弦の音は変わっていません。

 

私は、「ソーシャルワーカーは越境者だ」という表現をよく使います。
#甲子園にでてる私立の野球部って越境者めっちゃいるよね

 

複数の専門職文化を行き来するというのは、会場ごとに違う楽器を持ち歩くことではなく、ひとつの楽器を、その会場に合わせて鳴らし方を変えることです。

 

そして、どの会場でも同じ楽器だと気づかれないほど自然に鳴らせることに、越境者としての技術が表れます。

 

このチューニング能力は、経験を積まないと身につきません。

 

相手に合わせようとするあまり、医師の前では自信なさそうに、クライエントの前では強気に、と見立てそのものまで曖昧にしてしまうことがあります。

 

まずは自分の見立てという弦をしっかり張ること。

 

軸が定まらないまま表現だけを変えようとすると、それはチューニングではなく、ただのブレになってしまいます。

 

 

相手の立場で態度を変えるのはチューニングではない

ただ、ここで注意したいのは、相手によって態度を変えることが、すべて「チューニング」ではないということです。

 

たとえば、立場の強い人にはへこへこするのに、立場の弱い人には高圧的になる人がいます。

 

これはチューニングとは似ても似つかないものです。

 

チューニングの判断基準は「相手に届くかどうか」です。

 

相手によって話し方は変えても、相手を大切にする気持ちは変わりません。

 

ところが、相手の立場で態度を変える人の判断基準は、「相手が自分より上か下か」です。

 

地位が高い人には敬意を多く払い、地位が低い人には敬意を削る。

 

これは、相手によって、敬意そのものを変えているため、チューニングではありません。

 

言葉は変えても、相手への敬意まで変えてはならないのです。
#リスペクト大事

 

たとえば、医師の前ではやたらと低姿勢なのに、看護助手や委託業者の職員には急に言葉が強くなる。

 

あるいは、話を聞いてくれそうなクライエントには丁寧に説明するのに、反応が薄そうな家族には用件だけを伝えて終わってしまう。

 

こうした違いは、単に「相手に合わせている」のではありません。誰にどれだけ敬意を向けるかまで変わってしまっているのです。

 

私自身も、「八方美人はよくない」という言葉に引っ張られすぎないようにしたいと思っています。

 

相手に合わせて伝え方を変えることと、相手によって敬意を変えることは、似ているようで異なります。

チューニングが信頼を形成する

「あの人になら任せられる」という信頼は、相手が医師でも看護助手でもクライエントでも、態度の軸がぶれない。その積み重ねから生まれます。

 

表現は場面ごとに変わっても、根っこにある誠実さや判断基準が変わらないことが、信頼につながります。

 

立場の強い人には丁寧なのに、立場の弱い人には横柄になる。そうした態度こそ、周囲からよく見られています。

 

看護助手も、委託業者の職員も、クライエントも、「自分がどう扱われているか」にとても敏感です。

 

そこで態度が変わる人に、現場全体からの指名力が積み上がることはありません。

 

私は八方美人であることを恥じる必要はないと思っています。

 

恥じるべきは、相手の立場で態度を変えることです。

 

弦は変えず、会場に合わせて鳴らし方を変えるチューニング能力こそが、専門職としての信頼を静かに、しかし確実に積み上げていく技術です。

 


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ではまた。