今の暮らしは
ひと言で言うと
"…ねばならないのない日々"

例えば
明日何時に起きねばならない、がないと
今日いつまでに寝なくては…もない。

夜更かしして本を読んでもいいし
多少酔ってふわりと眠ってもいい。

その自由な気分は
時間に追われていた時代には
味わえないものだった。

もっともかなり夜更かししても
朝は早くにすきっと目覚める、そんなタチなのだけれど。



横になると
喉のあたりがもやもやして
咽せるような咳が出る。
風邪かしら、と一応薬は飲んだ。

日付が変わらないうちに眠りに就き
ふと目覚めて娘からのLINEに気づく。

午前一時半、
どうやら三時間ほどは眠ったようだが
其処から先は眠れなくなった。

何しろ
ねばならないのない身だから

眠れなくても構わない。
床の中で
好きな声の俳優さんの古い映画をFODで観る。

目は閉じて観るより聴くという体勢だが。



小説として名ばかり知る作品が映画になったのは知っていたが


流行作家の恋愛小説と片付けて読まず

ましてトレンディドラマで人気の俳優の映画など

当時は観るヒマはなかった。



だが子守唄代わりにその声を…

と思った映画は


舞台になっているフィレンツェ、そしてミラノの風景が魅力的でつい観てしまう。




主人公はフィレンツェで絵画修復を学ぶ若者、

大学時代不幸な別れ方をし忘れられない恋人が

ミラノに居ると知って…





ドラマ自体は時間と紆余曲折を経て

恋人たちが結ばれるという

お決まりのハッピーエンド。


相手役の女優さんは

あまり好きにはなれなかった。


実は相当人気のあった人らしいが初めて見た。

それほどその当時は

TVとも映画とも遠かったということだ。



好きな声の持ち主は

イタリアでは流暢なイタリア語を操り

恋人とも英語でやりとりしたりもする。

(恋人は日本と中国のハーフという設定)


セリフとして覚えたにしては滑らかで違和感なく

いい声は何語で喋っても耳ざわりがいい。



ついついラストまで観て

朝が来た。



うさぎうさぎうさぎうさぎうさぎうさぎうさぎ


それから朝のお茶、

茶菓は村岡総本舗のシベリア、

そのチョコレートバージョン。



実は湯布院から福岡への帰途

まっすぐ帰ったのでは早く着き過ぎると

弟が佐賀に案内してくれたのだった。




訪ねたのは

佐賀城本丸歴史館である。

鍋島公の銅像がお出迎えくださる。








折しも江藤新平展が開催されていた。









ひと言で言うと

有意義な訪問だった。


佐賀はお隣の県で

しかも母のルーツに繋がる場所だが


孫と縁があった唐津を除くと

訪ねる機会は少なく


佐賀市を訪ねたのは


娘が小学校五年生の夏休み


伝統工芸に触れるという宿題があって

かねて存じよりの萩焼きの窯元を訪ね


其処から鉄道で福岡〜佐賀〜長崎

そしてふるさと、と長い旅をした折の

遠い記憶くらいだ。



江藤新平については

佐賀の乱の首謀者として

処刑されたと知るのみで


その人となりや経緯については

ほぼ無知だった。













明治には新しい国作りに奔走した人物が

幾人も出ているが、


彼もまたそのひとりで

しかも不遇な最期を遂げた。


その最期にしても

単なる不平氏族のリーダーとして政府に反旗を翻した訳ではなかったのだ。


端的に言えば


彼は政府の参議のひとりだったが

佐賀の不平氏族たちの蜂起を知って

大隈らが止めるのも聞かず佐賀に下った。


其処でいわゆる佐賀の乱(佐賀戦争)が起こる。


佐賀の乱は激戦の末鎮められるが


江藤はその始末を司法(裁判)に委ねるとして

敢えて逃亡せず

徳島で捕らえられた。




だが彼の意に反して

司法による公開の裁きではなく

わずか二日の審理ののち死刑確定

その日のうちに斬首、その首はさらされた。


彼が裁判で公にしたかったことは

闇に葬られた格好だ。

おそらく彼の存在が不都合な人たちがいたのだろう。



処刑された当時41歳


それも私には意外な若さであった。


その彼が学んだのが

佐賀藩主鍋島公が導いていた藩校、弘道館。




イラストによる分かりやすい展示もあった。









教育は人の根幹を作る

蔑ろにしては国も弱る。


そんな感慨もあった。



進取敢為の精神を育てた藩主さまと

畏れながら記念撮影。

肩に手を置いたりして。




そんな博物館訪問を経て

村岡総本舗でひと休み。


塩あずきアイスバーはカチカチで

なかなか溶けず食べるのに時間がかかる。



其処で買ったお土産たち。


シベリアは古くからの菓子だが

今ブーム?で大いに売れて生産が追いつかず

店舗にあったのはチョコレートバージョンのみ。



くろぼうは孫の好物とてお土産の一つに。




思いがけない佐賀訪問は

甘く有意義に終わった。


その後スケジュール通りに

(ホテルのチェックイン時間ちょうどに)福岡に入ったのは

言うまでもない。


弟はそのあたり任せて安心、

優秀なマネージャーなのだ。



うさぎうさぎうさぎうさぎうさぎうさぎうさぎ


さて旅から戻って


再び

…ねばならないのない日々

を送るけいあゆ


いただいた筍と遊んで過ごしている。


晩ごはんには

筍ご飯、



豚ヒレ肉味噌漬けと焼き筍田楽風。



細アスパラガスの胡麻醤油和え、ホタテの刺身、

キャベツと卵焼きのコールスロー。



そして

クルマで旅に出る友人へ

お昼のお弁当をプレゼント。


これも好きで作る弁当だから

…ねばならないはない。


卵焼きや鮭、蓮根きんぴらなどの他

竹輪と筍の甘辛煮も入れた。








けいあゆのブランチは


竹輪と筍の煮汁を使って

筍とさつま揚げの煮物木の芽風味。



おむすびの残りご飯で

カニカマ、ネギ、卵のシンプルな焼きめし。






寝不足ならばお昼寝もできる。


喉のもやもやもいつしか治って

風邪ならひきかけで撃退したもよう。


今は勝手気ままの極地に居るけいあゆである。


うさぎうさぎうさぎうさぎうさぎうさぎうさぎ


京都暮らしのK先輩に

あの要法寺の鴨たちの画像を送ってもらった。


昨年鴨川への旅立ち直前に見た鴨たち、

その後が気になって。





今年も新しい雛たちは順調に育っているようだ。






そして先輩は

医師の仕事を離れて

猛然と自然科学、哲学他の本を読み

思索する日々らしい。



彼もまた

…ねばならないのない日々を満喫しているようだ。