亀の井別荘には象が居る。



由布岳の麓、金鱗湖畔に

10,000坪の敷地に点在する離れ。



それらを繋ぐ回廊の其処彼処に

象が居て





幼い孫は

それを辿って歩くのが好きだった。


大浴場までの道すがら

その象を数えながら行くと決して迷うことはない

というのだった。








朝風呂、そして朝食の後


部屋を出て新緑の中をしばし散策した。








其処にも象がいた。



点在するのは

それぞれ広さや趣きの異なる14室と聞く。

もちろん外からは中の様子は窺えない。







ずんずん行くと小さな流れに出会った。









聞こえるのは水音、鶯他の鳥の声、

…そして私の下駄の音。

杖なしで辿る足音だ。



そうして再び象のところへ。



象の傍ら、今回の部屋の目の前には談話室があり






夕食後レコードの演奏があると女将から誘われたのだが


何しろお風呂とご馳走とでまったりしてしまい

そのまま早寝をしてしまった。



それからまもなく

けたたましい地震警報と大きく長い揺れに起こされたのだが


幸いベッドサイドのペットボトルも倒れない程度で済んだ。




そんなわけで今回は

朝の談話室にお邪魔した。











奥のソファに腰を下し

セルフサービスの珈琲をいただく。





チェックアウトまでのひととき

穏やかな時間と空間を独り占めの贅沢。


うさぎうさぎうさぎうさぎうさぎうさぎうさぎ



今回の部屋は3番館。





普段は座卓で冬には掘り炬燵という座敷には

私の脚を案じた弟の指示でテーブルが配され



夕食も朝食も

緑を眺めながら此処でいただく。






ベッドサイドの衣紋掛けが

着物を着る身には嬉しい。





この部屋の風呂は

露天風呂ではなく

檜の内風呂。



だが

広い窓から緑を見晴らしつつ入る掛け流しの温泉は開放感いっぱい。






小さな湯上がりコーナーも。








そして大浴場はこんな趣き。






美食と温泉三昧、

その上に

親友Mから貰ったマスクもプラスして…



お肌ピカピカ?



前日とは帯替えをしてコーディネート。








いよいよチェックアウト、

やはり象を辿って…









フロント周辺は自然たっぷりの設。



この建物の階上にも

数室の洋式の部屋があるらしい。






小鳥が訪ねて来そうな林の中のテーブルは

其処に宿泊する方々の

朝ごはん処かもしれない。







胸いっぱいに緑を呼吸して

亀の井別荘を後にした。









両親最愛の宿は

時を経ても健在である。