「同じ大腿骨骨折でも
必ずしも四週免荷とならないのは何故?」

リハビリの先生に尋ねた。

母が80歳少し前に
自宅で転倒し
大腿骨骨折をした時は
"四週免荷"という言葉を聞くことなく
手術後すぐに両足でのリハビリが始まったことを
思い出したからだ。

今同室の人たちもそれぞれ下肢の手術後だが
皆イタいイタいと言いながら両足でのリハビリに勤しんでいる。
片足でぴょんぴょんしているのは私だけだ。


先生は答えて曰く

大腿骨でも近位部(骨頭部や頸部など)の手術を受けた人は
すぐにも歩く訓練から始めるが
遠位部の骨折の場合
四週免荷が鉄則なのだ、と。

大腿骨骨折で一番多いのが近位部骨折、
つまり太ももの付け根部分の骨折だが、
それは高齢者の転倒による場合が多いらしい。

骨が再生しにくい部位なので
人工骨頭置換術などが主として行われる。

そう、だから再生を待つ必要はなく
寝たきりを防ぐためいち早くリハビリを開始する。

人工股関節、人工膝関節の手術の場合も
それと同じ。



だが
私のような遠位部骨折の場合、
インプラントで繋いだ骨が再生するまで
荷重は待たねばならないのだ。

それが四週免荷、私の場合三週だが。


「それはつまり…
ピンヒールが踵ごと取れてしまった場合はすぐさま修理して履けるけれど
ヒールの途中でポッキリ折れた場合は接着剤で繋いでもすぐには履けないのと同じですね❣️」

私がそう譬えると先生は
「それは実に上手い例えだ」
と諾った。

私のアタマの中には

愛用のドリスヴァンノッテンのブーツのヒールが
赤坂の歯科へ向かう坂道で
ヒールごとボロリと取れて
途方に暮れた気持ちや

愛着のセルジオロッシのピンヒールが
出かけて早々マンションのパティオで
ポッキリ折れた時のショックが

蘇った。

ブーツは
歯科で履き物を借りて
なんとかISETANまで行って修理してもらい
それからも履き続けることができたが、

ピンヒールは
自ら接着剤で繋いだものの
怖くて荷重をかける気にはなれず
かと言って捨てることもできないまま
靴箱に眠っている。

そうか、折れたヒールも

プロの手で

私の脚のインプラントのように

金属の芯を入れて繋いでもらえばいいかもしれない。


時を経て復活するそれを思い描いて

ちょっと愉快になった。



先生はといえば

「ピンヒールは疲れますよね」

と体験談を語る。


卒業研究が

『ピンヒールとウェッジソールの脚にかかる負荷の比較』で

実際にそれらを履いてみたことがあるそうだ。


またまた

かつて観たドラッグクイーン役の山崎育三郎くんや陣内孝則さんのヒール姿を思い出した。


彼らはヒールで長丁場を苦もなく動き踊った。

それはやはり訓練の賜物だろう。

☆2019.3 『プリシラ』アンコール


もちろん先生には


私が長年のピンヒール主義者であることも話し

「やがてはピンヒールを履くことができるまで

強い脚にしたいのだ」

と言うと


笑いもせず否定もせず

「頑張りましょう❣️」

と応じた。


にべもなく否定されなければ

それで充分である。




うさぎうさぎうさぎうさぎうさぎ



また

病棟内で頻繁に

骨粗しょう症の検査だの

骨粗しょう症のクスリだの

のハナシを耳にするものだから


「私には必要ないの?」

と問うと


不必要と即答があり

それは骨の写真を見ると明らかなのだ

と説明された。 





確かに

先日の術後の大腿骨の写真では

プレートと釘ばかりに目がいったが

よく見るとその骨の輪郭は白くクリアだった。


骨粗しょう症の骨は

それがぼんやり薄く写るのだそうだ。


そうなると転倒以外でも

ちょっとした衝撃、

例えば

椅子にドシンと腰掛けただけでも

骨折することさえあるという。



すっかり忘れていたが

私の"骨はキレイ"なのだった。


昨年早々、

左膝に不安があって整形外科を受診し

写真を見て

医師がそう言ったのだ。




整形外科医お墨付きの"キレイな骨"でも

「折れる時は折れる」

とリハビリの先生は言うが


もしかしたら

速やかな回復には

いささか貢献してくれるかもしれない。


キレイな骨の写真はコチラ下矢印


 


入院以来実は

丈夫が取り柄だった手の爪が

不思議に弱って爪先がボロボロ、


それはもしかしたら


カラダが

新しい骨の再生に全力投入しているせいかも…


と密かに思っている。


懸命に繋がろうとしている折れた骨

それを思うと

自分のカラダが愛おしくなる。



うさぎうさぎうさぎうさぎうさぎ


さてコチラは

病棟内の避暑地。


談話室である。


此処にも日は差すが

広さがあるのでさほど暑くはない。





窓際の私のベッド周辺は

まるで温室で、


外は17℃というのに

室温は

真夏日並みの30℃越え‼️




しばらくは

キズ部位を冷やすためのアイスノンを

膝に載せて凌いでいたが、




ついに暑さに耐え切れず

例の歩行器のぴょんぴょん歩きで

談話室に落ち着いたのだった。


其処には自動販売機も電子レンジもあって


冷えた缶入りアイス珈琲など飲みながら

読書するのもワルクナイ。


あくまでも右脚は床につけないまま。








「なんかスゴイ視線感じる❣️」


今日はこんなシャツを着ていたものだから

行き交う人が

ちょっと驚いたふうだった。



本日もまたすっぴん御免‼️



これからも暑い日には

目力あるネコは

この辺りに出没する予定だ。