明日何しよう
明日何着よう
明日何食べよう
…そんなことを思いながら寝る。


目覚めてみたら
それがままならないことも多い。

今日の予定は強風に阻まれた。


鳥の声も園庭で遊ぶ保育園児の声も

聞こえない朝だ。

ただ風の音だけがびゅうびゅうと鳴っている。



眼前の欅はわずかの間にもりもりと茂って

それが強風にゆさゆさと揺れていた。



それが強風である証拠に

同じようにゆさゆさ揺れる木々から

葉だの枝だのいろいろなものが飛んでくる。

しかもそれが目の前を

水平に礫のように飛ぶのだ。


風に薙ぎ倒されたビオラに降りかかるように

松の花穂もしきりに飛んで来る。



先を争うように一斉に咲き出したクレマチスたち


どれが初花とも判然としない、

緑みを帯びた白のダッチェスオブエジンバラだ。








大いに揺れながらも

ツルでしっかりと絡みつき

風なんかに負けないぞとなかなかの強靭さを見せている。


そもそも

今日晴れたら

いや少々曇っていても

近くのお寺まで散策がてら

藤棚の藤を見に行こうと思っていたのだったが


この風に怯んで蟄居を決め込む。

強風にゆらゆらと揺れる藤の花房を思いながら。



美味しいパンを買ったのに

なんだかごはんが続いて


昨日は晩ごはんが

まるでランチさながらのメニューになった。


オリーブフォカッチャに

ヴィシソワーズ。


そう、冷えたヴィシソワーズが食べたくなるほど

夏さながらの日だったのだ。



オニオンドレッシングにたっぷりのパルミジャーノレッジヤーノ、

たっぷりのレタスやベビーリーフに

タネなし葡萄入りのサラダがマイブーム。


葡萄は初めはoisixで、最近はあちこちのスーパーでも見かけるようになったチリ産。

ワインも美味しい国柄だから

葡萄には適した風土なのだろう。









そして

今日のブランチは

冷蔵庫の残り野菜を動員した田舎風野菜スープ。

野菜は

キャベツ、新玉ねぎ、人参、メークイン。

ほんの少しのベーコンとコンソメ顆粒(oisix)で

優しいお味のスープになる。




好物の卵はスクランブルエッグ風にして

レタスやグリーンアスパラガスと一緒にもりもり。


トーストに添えたのは金柑バター。



金柑に限らず

柑橘のジャムやコンフィチュールが好きだ。


柑橘はいい。

品種もいろいろだが

それぞれに味わいがあり

何より全て芳香を残す。


その昔、大学一年の頃だが

寮の三人部屋に香川の子がいた。

ふるさとから伊予柑を送ってきたらしく

ひとりの時こっそり食べているつもりだろうが

その残り香でそれとわかる。


そんな芳香の中にいるのは

食いしん坊にはちょっと辛い試練だった。


大切なふるさとの味を親しくもないルームメイトに分ける気にはなれなかったのだろう。


やがて打ち解けて友だちになり

一年同じ部屋にいたが

伊予柑のシーズンは再びは来なかった。


卒業後ふるさと高松に帰った彼女とは

それきり会っていないが

伊予柑の香りに彼女を思い出すこともある。


しあわせでいてくれるといいなと思うひとりだ。


パール柑の皮で

たぶん今年最後のピールを作りながら

そんなことを思ったりしている。


天気予報は

ゴビ砂漠からやってくる黄砂の懸念も告げている。


今はまだ東京には及んでいないが

ニュースでは黄色く霞んだ札幌の街を映し出していた。




遅かれ早かれコチラにもやってくるらしい。




かつて黄砂アレルギーも発症を疑われたことがあり

出かける気は急速に萎んでいく。


出かける気が失せたところで

代わりに何をするというのでもない。


ただただ本を読んだり

小腹が空いたら件のスープを温めて食べたり

また本に戻って…


無為徒食の一日が過ぎていきそうだ。