"おいしい生活"

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1982年 池袋西武デパートのキャッチコピーである。

"おいしい"を "ごはん"でなく "生活"と組み合わせたところが絶妙。
文化、生活そのものを味わい楽しんじゃおう
という新鮮な提案だった。

これはあの糸井重里氏の名作であり
コピーライターブームの端緒であり
なんと戦後日本のキャッチコピー500選の一位に君臨しているという。

さもありなん。

折しも
池袋まで西武線で10分の場所に住み
池袋まで山手線一駅という大学の院に
娘はその附属幼稚園に通っていた。

必然的に 買い物は全て池袋西武。
デパ地下の何処に何があるかまで精通していた。

もちろんデパ地下ばかりではない。
社長の堤氏は 詩人辻井喬氏でもあり
デパートの別館には
詩の本だけで一軒の本屋並みの"ぽえむ ぱろうる"を擁した
リブロというステキな本屋があり
なんと
ユニークな企画が魅力の本格的な美術館もあった。

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1977生まれの娘も必然的に
西武デパート育ち。
外商のパスポートでフリーパスの美術館に
頻繁に通い
本屋で 一緒に本を選んでは
「本は欲しいだけ買う」
と啖呵を切った私を後悔させるような買い物をし
デパ地下で あれこれ試食をしては
美味探訪の毎日だった。

幼稚園時代の彼女には
"池袋"という地名駅名は念頭になく
そこを"西武"と呼んでいたくらいだ。

ついでに言えば
当時の彼女には
私が買った服や玩具や本は全て
届けてくれる外商のお兄さん「マコトちゃん」のプレゼントだった。

それが
子育てと研究と仕事とに大わらわだった時代の
"おいしい生活"だった。

やがて 時代も 社長も変わり
まず"ぽえむぱろうる"が消え

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美術館も本屋も消えた。

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久しぶりに行くと
西武は見知らぬデパートで
デパ地下でさえ何処に何があるやら戸惑うばかり。
"マコトちゃん"はとっくにふるさと八代に帰って家業を継いだし
美術部の担当者も父のお参りに来て以来
音信がない。

それでも 脳裏を去らない
"おいしい生活"
それは 私には永遠の課題かもしれない。

さて 食いしん坊けいあゆの
久々の 白いご飯。
おかずのテーマは旬の鰯。
欲張りにも 一尾は蒲焼きに。

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もう一尾を梅ジャムを挟んで煮付けにした。

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トロ茄子も焼いて鰯と共に蒲焼きに。

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このトロ茄子は鹿児島産。
名前通り焼くとトロトロになって実に美味だった。
(鰻蒲焼きのタレで焼くと鰻紛いの味だそうな)

あとは 刺身蒟蒻他の辛子酢味噌和え。

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万願寺とうがらしはシラスと煮浸しに。

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いただいたばかりの白ワインと

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小さなお釜で炊いたご飯とで
旬の食卓を満喫である。

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ふるさとの三池高菜油炒めも 素朴に美味しくて
たまには 白いご飯もいいな
としみじみ。

好きな本を読みながら
これは文字通り けいあゆの おいしい生活。