昨日、本会議にて採決された「議案第148号 専決処分の報告及び承認を求めることについて」に対して、会派を代表して不承認の立場で討論をさせていただきました。
 
 
 
結果としては、賛成多数で可決されてしまいましたが、議会人として今回の専決処分は決して認めることができないものと考えております。
 
 
 
もちろん今回の専決処分の中には、新型コロナウイルス感染症に対応するために必要な予算執行が含まれておりますので、全てに反対するものではありません。また経済対策の必要性について反対するものではありません。
 
 
 
あくまでも、この度の専決処分の過程において、わが市における財政民主主義が危機的状況に瀕しているのではと憂慮しているのです。
 
 
 
27日に市長決済を行い、同日に議会通知・専決処分を実施するという今回のやり方は、制度設計段階における進行管理の見通しが極めて甘いと言わざるをえず、また議会と執行部の信頼関係を大きく揺るがすものであり、二度とあってはあらないことです。
 
 
 
とりわけプレミアム付商品券事業については、議会を通さずに市長の判断(専決処分)のみで、予算執行するほどの緊急性があったのか、議会開会前より新聞等でも疑問視されおり、市民からも我々のもとに疑問の声が寄せられていました。
 
 
 
まずもって、議決から発行まで、他の自治体では2か月程度で終わるスケジュールが、さいたま市だけ約4か月間を要することの理由については、最後まで納得のいく答弁は得られませんでした。
 
 
 
とくに9月議会で議決し、11月から販売開始予定と時期の近い小田原市は、同じく抽選・当選通知の発送がスケジュールに組み込まれての2か月であり、さいたま市との違いは通知だけを送るのか、それとも直接金券を送るかの差でしかなく、その作業をもって4か月以上を要する根拠とすることは無理があります。
 
 
 
また質疑において市は、一週間程度の時間を待って臨時会を開催する時間的余裕もなく、専決処分が認められるほどの緊急性があったのか、という趣旨の問いに対して「経済回復のための消費喚起策の事業の効果が発現することに間に合わせるためには、今予算措置を講じなければ時期を逸してしまう」という見解が示されました。
 
 
 
もちろん、直接資金を投入する融資や持続化給付金が一週間遅れれば、資金繰りが悪化して倒産しかねない企業が出る可能性があるので、一日でも早く予算を執行する必要があると思います。
 
 
 
しかし、プレミアム付き商品券は、事業者側からしたら、あくまでも消費を喚起する間接的な経営支援であり、数日のタイムラグで効果が絶対的に左右するものではありません。
 
 
 
そして、効果的な時期に関しても、経済学者によって見解がわかれており、繁忙期に行うべきという学者もいれば、閑散期に行うべきという学者おり、さいたま市の主張が正しいとは言い切れません。
 
 
 
このような経済政策の効果は、様々な外的要因に基づいて変化するものであり、時期の一つをとって変化するものではありません。
 
 
 
たとえ、時期で効果が100%左右されたとしても、数日遅れたところで、効果が0%なることはなく、それを根拠として民主主義的プロセスを省略し、財政民主主義を蔑ろにするほどの事案には当たらないと捉えています。
 
 
 
また、一週間とは通常プロセスで臨時議会を招集した場合であって、制度上、緊急性を要する場合であれば前日告示で議会を招集することができます。
 
 
 
その際に想定される遅れは、2、3日程度です。
はたして、その程度の遅れでどれほどの影響があるというのでしょうか。
 
 
 
以上のことからも、客観的に見てプレミアム付き商品券事業を議会を通さずに、市長の独断で判断できるほどの緊急性が“明らかである”とは到底思えません。
 
 
 
そして、何よりも委託費についても、割合が予算の約37%となっており、札幌市、川崎市と比較して約2倍するなど、疑義があります。Gotoトラベルの16%ですら連日マスコミで大きく取り上げられ、SNS等でも特定の企業に対する大きな批判があがりました。
 
 
 
しかし、Gotoトラベルが霞むほどの高い委託費のその妥当性については、質疑で説明が尽くされたとは思えません。
 
 
 
よって、今回の専決処分は財政民主主義を蔑ろにするものであり、議会という民主主義の体現者として、決して認めることはできないのです。