現在、"ナッジ"と言われる行動経済学を応用した手法が、世界的に行政の分野で導入され、その効果が期待されています。

 

 

例えば、飲食店がメニュー表にカロリー表示をすると、客は健康的に生きたいというインセンティブが働き、カロリーが低いものを選ぶようになり、結果的に摂取カロリーを減少させることができるそうです。

 

 

"ナッジ"とは、英語で軽く肩を叩くという意味です。

上記の例は、まさに客が自ら摂取カロリーを減らすように、ちょっとした工夫で肩を叩き誘導しているのです。

 

 

それでは、今回の参議院補欠選挙を見てみましょう。

 

 

本来、7月の参議院議員選挙で補欠分の補充も行われていれば、結果的には1回の選挙ですが、内容的には定数4の一般選挙と定数1の補欠選挙を同時に行ったことになります。

すると、実質46.48%の投票率で補欠選挙が行えたことになります。

 

 

それを単独の補欠選挙で行えばどうなるでしょうか。

一般的な価値観の人であれば、短期間で何度も休日を使って選挙にいくのは億劫です。

しかも、1回目は4人だったのに、2回目(補欠選挙)はたった1人を選ぶ選挙となれば、後者の相対的価値は下がります。

これでは、2回目の選挙(補欠選挙)に行く人が少なくなるのは当然です。

実際、今回の補欠選挙の投票率は20%を下回るのではないかと言われています。

 

 

さて、いかがでしょうか?

選挙の投票率が下がるように肩を叩いてしまっていませんか?

 

 

もちろん投票日はまだ先で最終的な結果は出ていません。

しかし、本来は投票率の向上を目指さなければいけない行政のトップが、自ら構造的に低投票率となりうる選挙状況を作ってしまったことは、民主主義の体現者としては、喜ばしいことではないでしょう。

 

 

もしこれが意図的ならば、行動経済学を悪用して投票率を下げたことに繋がりますが、そんなことはないと信じたいです。

 

 

ぜひ今回のことは反省はしていただき、今からでも埼玉県をあげて、投票日までに更なる投票率向上の取り組みをしていただきたいです。

 

 

投票とは、国民主権における主権行使の権利であり、とても重要な意思表示です。

ぜひ皆さまも、まずは投票所に足をお運びいただければ幸いです。