私は、都市農業がさいたま市最大の強みであるといっても過言ではないと考えています。

都市に残る貴重な農地は、生産だけではなく、農業体験の場や災害時のオープンスペース、緑地空間の提供など多面的な役割を果たしていると農水省も謳っています。

 

 

 

しかし、さいたま市では、農地は生産活動である農業を行う場であるという固定概念からは脱却できずにいます。その一番の被害者が、見沼田んぼであると考えます。

 

 

 

「見沼は農振農用地区域であり、優良農地である」

生産の場以外としての可能性を排除した、その思考停止な対応してきた結果が、農家を苦しめ、荒地化や盛土が増える結果となっていることを認識すべきです。

そして、さいたま市が旧態依然とした農業行政を行う一方で、新潟市では国家戦略特区により農振農用地区域の優良農地においてもレストランを設置可能としました。

 

 

 

本来、生産力で地方に劣るさいたま市だからこそ、地方にない強み・付加価値を生み出していく必要があるにも関わらず、生産力以外の付加価値を生み出す施策においても地方に後れを取っている現状を反省していただきたい。

 

 

 

さいたま市では、「見沼田んぼアクションプラン」を策定し、これまで施策を進めてきました。しかし、耕作放棄地は減少することなく、また多くの農地で盛土が行われ、そして農地として復帰不可能な土地も年々増加しています。

 

 

 

 

 

 

 

頼みである、県の公有地化事業も進まず、さいたま市が支出した約30憶円は塩漬けの状態です。なぜなら県の公有地化事業は、農家が農業を廃業した際に見沼での開発を抑制するための制度であり、見沼を生かすための制度ではなく守りの制度であるからです。

 

 

 

そのような厳しい条件の公有地化では、進むわけもありませんし、たとえ進んだとしても、その時はすでに見沼で農業を営む人の大方が失われてからということになります。

本来は、今、見沼の強みを生かし、多面的な都市農業の強みを生かすために、土地の集約化が必要なわけです。

国では中間管理機構にける集約を目指していますが、機構は県単位であり、さいたま市での農地集約は進んでいません。

 

 

 

そうした現状を踏まえ、県頼みではなく、さいたま市が主体的に見沼の農地の集約などにコミットする必要がありますが、これを言うと直ぐ市は、市では公社を持っていないので農地が買えませんと言い逃れをします。

そのような言い逃れは、もう議会も市民も聞き飽きました。今後は市が主体的に見沼、また農業行政にコミットするために、農地を買える仕組みも検討すべきです。

 

 

 

近年でも、例えば茨城県笠間市では、市が農業公社を平成26年に設立しています。

そして、笠間市では、この農業公社に農業振興だけではなく、第6次産業やアグリツーリズムの直接的な担い手として市営観光農園の指定管理もさせています。

 

 

 

また今の時代で言えば、民間活力を活用し、公社ではなく公民連携による農業法人の設立という手法だって考えられるはずです。

ちなみに、スポーツコミッションのロジックを使えば、外郭団体に当たらない設立は十分に可能です。

 

 

 

そしてこの度の代表質問で、公民連携を活用して、見沼の農地集約を担う法人の設立支援に取り組んでいただけるとのご答弁をいただきました。それはまさに農業版のスポーツコミッションです。

ぜひ早期に設立を実現し、さいたま市が主体的に見沼の農地集約にコミットできるスキームを構築していただきたいと思います。