すっかりきれいになった部屋を振り返ってみると、そこには一年の悦びや苦しみの匂いが残っていた。

 

 

2015年11月から始まりました「てらてつ!(お寺で哲学・希哲する)」ですが、おかげさまで今年も和やかに愉しく終えることができました。

 

「てらてつ!」はだれもやったことのない(あるいは、以前はあたりまえにされていた)ものなの。だからモデルなんてものがない……

試行錯誤、トライアンドエラーの連続です。
まだしっかり歩けてもないこの哲学教室に来てくださっているみなさん……大感謝。

そして、そんなぼくの慮いを援けてくださる龍源寺さんに、堂々たる「禅」の掛け軸の前で話をさせてくれたこの部屋に、千謝万謝です。

 

 

さて

 

場を大切にするのが日本の美意識。

人が場を作り出すのではなく、場によって人は作り出される

 

その点が西洋と日本の美の違いの一つでしょう。

 

日本の家屋は、机や椅子をすっかり片付けて、きれいな間に戻すことができます。

そして、すっかりきれいに片付けられた部屋は、年月を振り返らせてくれ、感謝の心が生まれます。

部屋をきれいにすることは、心を洗うことなんですね。

 

そんな美を実践するのが、年末大掃除。

そろそろ始めましょうかね。

 

 

 

 

プロフィール

大竹 稽(Kei Ootake)
思想家、作家。てらterra株式会社 代表取締役 産経子供ニュース編集顧問

1970年愛知県生まれ。旭丘高校から東京大学理科三類に入学するも、医学に疑問を感じ退学。その後、私塾を始める。現場で授かった問題を練磨するために、再び東大に入学し、そこでフランス思想を研究しながら、禅の実践を始める「お寺で希哲する」を開きながら、共生問題と死の問題に挑んでいる。

既刊/「賢者の智慧の書」「つながる仏教」「ニーチェの悦び」「読書感想文ドリル」
近刊/「ココロってめんどくさいね」