今日は産婆の日。
もう、20年も前になりますが、
広島県の助産師会の副会長をしていた時
「目指すは産婆さん」と題して
新聞に掲載させてもらったことがあります。
34歳の時のことです。
「おばあちゃんはどんな風にお産をしたの?」
という私の問いかけに、88歳になる祖母から思いがけない答えを得た。
「仕事や子守りをしながら、いざ、産むぞという時は、納戸に行きコタツにつかみ四つん這いの格好でお産をした」というのである。
今、助産婦が注目している理想の出産方法の一つアクティブバースは、なんと、数十年前の日本の家庭でごく自然に営まれていたのだ。
現代では病院分娩がほとんであるが、産む側から、出産を取り巻く環境を変えて欲しいという要求が高まりつつある。家庭が主体で出産したいという家庭出産を望まれる方もある。
多様化するニーズを受けて、私たち助産婦会では家庭出産の体験者にアンケート調査を行なった。
その結果
「家庭と共に迎えた出産に感動した」
「家事を行いながら自由な格好で、陣痛をしのぐことができ良かった」
「産後の回復が早く、育児が楽しい」という肯定的な回答を多く得た。
中でも特徴があったのは
「お産に大切なのは、夫婦が心身の責任を持って産むこと」ととらえている点である。日本の伝統的なお産の良さは、このような理由があるのかもしれない。
しかし、お産は病気でないが、いつ異常な状態に陥るか予測が困難である。ニーズに呼応するには助産婦と医師とが地域で連携した非常時のバックアップ体制を急がねばならない。
今後も、私たち助産婦は、家族が見守る中での命の誕生を応援し、その赤ちゃんの成長を家族と共に見守り続けたい。産婆さんの役割がそうだったように。
今なお「目指すは産婆」
2020年3月8日に、再度、以前の思いを読み返してみました。
産婆の心をいつまでも待ち続け
伝承していきたいと思っています![]()



