「偉人たちの経済政策」を読了しました。
  各時代毎に偉人をあげ、その経済政策が語られていましたが、現代との比較コメントも入っており、大変面白く読了致しました。
    平清盛の父忠盛が瀬戸内海航路を安定させるために、海賊取り締まりのために海賊に関税徴収権を与えて支配下に置いたのだが、このやり方は大英帝国が植民地とイギリスを結ぶ海路を支配したのと同じ仕組みだということでした。
    宋との私貿易が利益が大きいのに目を付けた清盛は大輪田泊港を整備して宋船を入港させ、宋の商人が独占していた利益が自分の手に入る仕組みを作り上げました。
    清盛はさらに偽造されにくい所に目を付け宋銭を大量に輸入して流通させ、年貢も宋銭で払わせて経済圏を作り上げ、利益の独占状況が生まれました。これは、重商主義と重農主義の戦いだったそうです。ただ不完全な重商主義だったため、日宋貿易の独占と通貨発行権を握った形になってしかもデフレ状況で貨幣価値が上がり、隆盛に拍車がかかったところまでは良かったのですが、以前は絹や米が穀物かつ貨幣であったものがプラスアルファがなくなって価値が下がっており、農業主義であった朝廷の不満が募りました。飢饉の発生も災いし、清盛の死後、そのおごれる態度も反感要因になり、平家がいっきに崩れ落ちていきました。
    デフレ状況を作って隆盛し、デフレが原因で強い不満をかって滅びるというのは、面白い話ですね。あまりにもME FIRSTすぎたということでしょうか。
    以降、信長、大久保利通、後藤新平、高橋是清、池田勇人などが続きました。
    
    なかなか楽しめますよ。