あの日、偶然、
店の外で“彼女“に遭った。

名前は知らない
顔も良く知らない
それでも彼女は
店の外で会った僕に気づいて
軽く会釈をした

その時の彼女…

笑顔だった

僕に向けたもの?
いや、一緒にいた彼女の子供も
笑っていたから、僕じゃない?

僕は
彼女に挨拶を返さなかった

すぐに前を通り過ぎていったからって
言うのもあるけど、
本当のところは
“知らない人“だから。

でも後からなんとなく
思い出した。

あんなお客さん、居たかもって…

それから何となく気になって
店に立つと
彼女が来るかななんて
レジ待ちの列をちらっと見たりして…


この時から
僕の中で
彼女が他とは違う
意識する存在に変わっていたんだ