パートの帰り道に

ジェジュンの部屋が

あるわけじゃないのに、

当然のように

足が向かう。


遅番の日だって、

少しの時間しか

共に過ごせないと

わかっていても

逢いに行くようになった。



東方神起~妄想ラブストーリー~

「入って――」


玄関で

迎え入れてくれた

ジェジュンは

心なしか

息があがり、

顔にも体にも

汗が滲んで見えた。



「汗?・・・どうしたの?」


「ちょっと走ってて。

鍛えようかなと思って――」


「どうして急に?」



東方神起~妄想ラブストーリー~

「え?・・・・・」



「・・・え?・・・」


な・・・なに?・・それは・・・



「アッハ♪


東方神起~妄想ラブストーリー~

シャワー浴びてくるから、

ちょっと待ってて――」


リビングに

残された

私の頭の中は

ジェジュンの

意味深な沈黙のせいで

おかしな事でいっぱいになった。



ジェジュンが

出てくるまでに

このいやらしい妄想を

落ち着かせないと・・・


ニヤついている姿を

見られたら、

ジェジュンの思う壺――


そんな

幸せな駆け引き・・・


何気ない

この時間が好き。



東方神起~妄想ラブストーリー~

「やっぱり

鍵、持っていけば?

今日も〇〇来るまで

シャワー浴びれなかったし・・・

明日、

俺、出掛ける用事あるから

入って待っててよ―――」


そう言いながら

シャワールームから

出て来た

ジェジュンを見ると

本当に

普通の恋人同士みたい。


だけど・・・


「ん?・・・うん・・・

明日は土曜だよ――」


ここには

来れないの・・・


それは

私たちが

普通の恋人同士では

ないから。


東方神起~妄想ラブストーリー~

「そっか、土曜か・・・」


残念そうな

その顔に

私の胸は痛くなる。


私も同じ気持ちだから・・・


だからこそ、

私は

この部屋の鍵は

受け取れない。


いつも

ジェジュンに

逢いたくなって

来てしまいそうで・・・


甘えてしまうのが

怖いから。



鍵を受け取らない私に・・・――


東方神起~妄想ラブストーリー~

「本当に

意地っ張りなやつだな――」



ちょっと

拗ねたみたいにして

怒ってたけど



東方神起~妄想ラブストーリー~


「怒らないでよ・・・」


怒った背中に

甘えて

抱きつく私に

すぐに笑顔を見せてくれた。



そして――


「きゃっ・・・」


私の体を

強く引き寄せ

抱き締めて

深いキスをした。




「体が熱い・・・」


「シャワー

浴びたからじゃない?」


おもむろに

Tシャツを脱ぎだして――


東方神起~妄想ラブストーリー~

「確かめてみる?」


って言うから・・・


「もっ・・・」


呆れた返事とは

裏腹に

体を預ける私は

完全に

彼の虜―――





それでも

別々に過ごす休日。


今週末は、

結婚する前から

毎年

彼に付き合って

行っている

サッカーチームの

夏キャンプ―――


今年もその時期が

やってきた。


東方神起~妄想ラブストーリー~


人付き合いを大切にし、

人に愛される彼だから

好きになって

結婚した。


だから私も

そんな彼を尊重して、

キャンプの手伝いをする。


昨夜は

ジェジュンと愛し合った

私でも、

外では昔と変わらず

良い夫婦――



やってきた

河川敷でBBQの準備。



楽しみにしていた

夏のイベントに

暑さにも負けず

テンションを上げる

子どもたちは――

「ね、ね、ねっ!!」


「ん?」



普段は会うことがない

私の存在に興味津々で、

だけど

少し人見知って

様子を窺いながら

徐々に近づいて・・・


「コーチの奥さん!?」


キラキラした瞳で

そんなことを聞く。


「うぅん。

コーチのお手伝いをしてる

おじさんの奥さん。」


「ほらっやっぱり!」


どちらの

奥さんかと

賭けをして

遊んでいたみたいだった。


それから

続いて

飛んで来た質問は・・・


「ね、どうして

結婚したの?」


子どもって

突然

突拍子もないことを言う。



「え?どうしてって・・・」



その質問に

何気なく

彼の方を見てしまった私――



東方神起~妄想ラブストーリー~

彼も見てた・・・私のこと・・・


不意に

交えたその視線――



こんなはずじゃなかった・・・


彼の好きなところは

たくさん言える


彼の良いところも

たくさん知ってる


彼の隣に居られれば

ずっと幸せで

いられるはずだった・・・



切なくなる

視線をゆっくりと

少年に戻し

私は答える。


「かっこいいから――」


「ハッ!?顔かよ!?」


少年は笑った。


「かっこいいでしょ?

よく見て来て――」


私も冗談にして

笑った。



「ねぇ~

かっこいいからだってぇ――」



からかうように

彼の元へと

走って行く少年たちを、

屈託のない笑顔で受け入れる


東方神起~妄想ラブストーリー~

「おぉ~羨ましいだろっ――」


その笑顔が

好きだった。



彼の優しさが

溢れているから・・・


しばらく

彼のことを見ていた。


子どもたちと

じゃれ合う彼からは、

”子供好き”なオーラが

滲み出てる。



彼も子供たちも

本当に

楽しそうに

遊んでる。



こうして見ていると、

彼も

子どもみたいなのに・・・




東方神起~妄想ラブストーリー~


遊びに夢中になり過ぎて、

いたずらに

度が過ぎた子を

叱る姿は大人だった。



叱っているのに、

優しい目――




東方神起~妄想ラブストーリー~


だから、

叱られた子も

聞き分けが良く、

拗ねることもなく、

また

彼を慕うように

そばを離れない。



彼は

大きな愛を持っている人――



見ていたら、

無条件に

羨ましくなった。



東方神起~妄想ラブストーリー~


彼が誰かの

”パパ”であること・・・



そばにいて、

守ってあげたいと

思っているはずなのに、

我慢してる。


私のために・・・――



もうすぐ

手放してあげるから・・・




考えるほどに、

空いていく心の隙間を

埋めるのは――



東方神起~妄想ラブストーリー~

ジェジュン――


紛れもなく

あなたで・・・



こんな私を知ったら、



東方神起~妄想ラブストーリー~


”バカだな・・”――


って優しく抱きしめて

もうその手を

放そうとしないだろう。



やっぱり

”鍵”は受け取らなくて

正解だった。


こんな日は

そんなあなたに

甘えたくなってしまうから・・・