予想もしない
電話の相手に
鼓動は
強く
早く打ち
心臓が壊れそう・・・
それでも――
「もしもし?・・」
呼びかける彼に
声を絞り出して
応える。
「・・はい。
あ・・の・・携帯を置いて
席を外したみたいで・・」
「そうなんすか。
XX支社のパクです。
――また、掛け直します。」
彼は
私だと
気付いただろうか?・・
出逢いは
夢を見ているようだった。
だから
夢のように
消えいていく人―――
そう自分に
言い聞かせたのに・・
ユチョンの声を
聞いた
耳が熱くなっていく。
電話を切ってからも
携帯を持ったまま
思いを巡らせる私―――
「俺の携帯?・・
電話、鳴ってた?」
戻って来た
隣の席の
ユノさんの声で
現実に引き戻された。
「あっ・・はい。」
「誰から?」
「XX支社の
パクさんでした。」
「そっか。」
まだ
ドキドキが
治まらない私を
よそに
ユノさんは
話し続ける。
「もうすぐ
課長からも
話しがあると思うけど―――」
「引継ぎですか?」
取引先の
支店統合に伴い
うちの会社の窓口も
一つにまとめる。
統合先の支店に近い
うちの支社が
窓口になることになった。
そのための
引継ぎ業務―――
前にも
同じような
経験があるけど
その時も
大変だった。
完全に
統合してしまえば
楽だけど
統合が終わるまでの
期間は
どちらの支店と
連絡を取れば
いいのかが
はっきりしないから・・・
その場合
それぞれの
支社の
営業担当への
確認が必要で
営業との連絡は
密になる。
「・・電話・・
持ち歩いて下さいよ?・・」
「ハハ
わかってるわかってる。
ちゃんと忘れずに。」
ユノさんは
すごく
仕事は出来て
お客さんからの
信頼も厚いのに
携帯や
スケジュール帳を
よくデスクに
忘れていく人。
あと・・・・
ユノさんが
このタイミングで
この話を
私にした理由―――
「で、XX支社の
担当が
電話もらった
パクさん――
たぶん今も
その件だと思うけど・・」
その後は
ユノさんの声は
聞こえなくなった。
ユチョンが
もう一人の
支社担当・・・
ユチョンとの
関わりが
出来るってこと――
”嫌い”でもないのに
嘘をついて
終わらせたから・・・・
好きだったから・・
本当は
逢いたかった・・・
だから・・・・
喜んでは
いけないのに――
心は騙せない・・・・



