私の声掛けに

初めは不審がっていた

男の人には

名刺を渡して

納得してもらった。


ユノさんの

元部下です――


そう言った。


慣れないせいか

非効率なやり方・・


「あの・・いつも

このやり方なんですか?」


「前の人が

急に辞めてしまったので

とりあえずしか

わからなくて・・」


「誰もわかる人は

いないんですか?」


「はい・・」


失敗するのが

当然というくらいの

杜撰な管理だった。



東方神起~妄想ラブストーリー~


増々

ユノさんが

心配になって

助けたい気持ちで

いっぱいだった。


私は

基本的な流れが

誰でもわかるように

マニュアルを

作成することにした。


それに従えば

事務初心者の

現場の男性でもわかるはず・・


仕事が終わって

行けるときは行って

私も手伝った。


ユノさんには

内緒で・・・


ユノさんを

陰で支えている

気分になって

嬉しくなっていた。


もし

ユノさんが知っても

喜んでくれるんじゃないかって

そんな気にもなっていた。



今日も手伝いに来て

一人満足感を

感じていたら

急ぎ足の

ユノさんが事務所に

戻って来た。


東方神起~妄想ラブストーリー~


「なぁ、明日使う予定の・・・」


事務所に居た

私を見つけて

止まった。



久しぶりに見た

ユノさんは

また困った顔をしていた。


どうして・・・



「どうしてここに?」


ちょっと

怖い顔をして言った

ユノさんに

怖くなって

私は被せるように

問い返した。


「どうしたんですか?

明日のモノがまだ

届いてないんですか?

どの分ですか?」



東方神起~妄想ラブストーリー~



「え?あ、あぁ・・」


私が

畳みかけるように

質問するから

ユノさんも

焦って応える。



品切れで

納期が一日

ずれているのに

気付かなかったみたい・・


みんな焦りだした。


ユノさんも・・・


明日届かなければ

また工程表の

見直し。


でもこれって・・・・


「ユノさん!

明日の何時までに

必要ですか?

午後なら手配

出来るかもしれません。」


東方神起~妄想ラブストーリー~


「え?」


ユノさんの

表情が

少し明るくなった

気がして

嬉しくなった。


どこの現場でも

使うものだったから

先に手配している分を

回せばいい。


これは

事務では良く

使う方法・・


午後でも

大丈夫ということ

だったから

それで手配し直した。


ピンチは

救えた・・・



なのに
ユノさんは

難しい顔―――


東方神起~妄想ラブストーリー~


「ありがと・・

だけど

どうして〇〇さんが

ここに?

何故仕事

しているの?」


「それは・・」


「いつも

手伝ってくれて

ました。

マニュアルだって

作ってくれて。

これがなかったら

何も出来ませんでしたよ!」


フォローしてくる人もいた。


でも

ユノさんは

迷惑そう。



東方神起~妄想ラブストーリー~


「〇〇さんは

ここの人間じゃないだろ?」



「でもユノさん!

事務が辞めて

大変だって・・・

私に出来ることが

あれば・・」


「〇〇さんの

力は借りないと

言ったはずだけど。」


みんなが居る前で

そんなこと・・・・


「どうしてですか?

どうして

避けるんですか?」


「避けてないよ。

ここは

〇〇さんの

職場じゃない。

それだけだよ。」


「働きますっ!!

雇ってください。

正社員で。」


ムキになってた。

私の悪い癖・・・


それでも

ユノさんは

動じない。


東方神起~妄想ラブストーリー~


「雇わない。」


「ユノさんっ!」


まだ話は

終わっていないのに

事務所から

出て行ってしまうユノさんを

追いかけた。


「どうしてですか!?

私はユノさんを

助けたいのに・・

ユノさんのそばに

居たいのに・・・

どうしてですか?・・」



立ち止まった

大きな背中に

期待したけど

何も返ってこなかった。


また歩きだした

ユノさんに

向かって叫んだ。


東方神起~妄想ラブストーリー~


「勝手に

手伝いますから!

ユノさんのこと・・

放っておけませんからっ!!」



何か言ってよ?・・


ユノさん・・・


そばに居たいって

言ったのに・・・


私から

離れて行く彼を

見ているしかなかった。