別室に残った

資料の山と

しばらく向き合って

席に戻ったら

もう誰もいなかった。


そんな時間だったんだ・・・


急ぎって

言われたし

あとちょっとで

半分ってところまで

着ていたから

そこまでやって

今日は帰ろうと思った。


また別室に戻って

作業を始めた。


でも携帯が

気になって・・・


いま席に戻ったのも

社に帰って来てから

置きっぱなしにしていた

カバンの中の

携帯が気になったから。


持って来た

携帯をチェック―――


変化のない携帯を見て

がっかりしたのは

何故だろう。


東方神起~妄想ラブストーリー~



忙しいのかな・・・・


代わりに

対処した現場の

ことより

チーム長の方を

心配している自分がいた。


私が代わりに

行ったことを

知らないのかな・・


知ったら

チャンミンみたいに

他部署に

異動した人間が

余計なことをするなと

思うのかな・・・


でも

助けたかった。



東方神起~妄想ラブストーリー~


「携帯なんて

いじって・・

ずいぶん余裕なんですね。」


「っ!チャンミンっ・・」


誰もいないと

思ったのに

帰ってなかったの?


驚く私を他所に

カサカサと

手に持っていた

袋から

お水とお茶

サンドウィッチとおにぎりを

出して

机に並べた。


「・・?・・」

「お腹が空いて。」


「うん・・」


「食べてもいいですよ。」


え?・・

”どうぞ”って

言ってくれればいいのに・・


チャンミンらしい

勧め方。


今日は

現場に出かけたり

いつもより

動いたから

私もお腹が空いていた。


お言葉に甘えて

一つもらった。



東方神起~妄想ラブストーリー~


「順調ですか?」


「はい。

今日中に半分は

出来そうです。」


「さすがですね。

もう終わりじゃないですか。」


?・・まだ

半分残っているのに・・


不思議な顔をしていたら

からかうみたいに

笑われた。


「な・・なに?」


「見てないんですか?」

「何を?」


チャンミンが

笑いながら

積まれた資料の

下から何部か

抜き取って私に

渡した。


「あっ!・・終わってる・・

なんで!?・・」


資料には

改善点らしき

ところに

チャンミンの字で

書き込みがしてあった。



東方神起~妄想ラブストーリー~



「アハハハハ

やる時間がなかったので

僕の仕事

手伝ってもらいました。

悪いですね~」


こんなに

早く終わるとは

思わなかったって

相変わらず

笑っている。


「何それ!?」


チャンミンの

仕事を私に

押し付けたの!?


「反省文のが

良かったですか?」


そうだった・・

私が仕事を放置して

現場に行ったから

こんなことに

なってるんだった・・


「・・にしても

半分は終わってるって

教えてくれても

良かったのに・・」


”こんなにある”って

ここまで

必死にならなくても

良かった・・


「職場放棄した

罰ですよ。

それに

初めに全部

目を通していれば

すぐに気づいたでしょ?」


うっ!!・・・


なんか悔しい・・


確かに

初めに全部

目を通せば良かった・・



東方神起~妄想ラブストーリー~


「あれ?

何か言いたそうな

目ですね。」


「別に何も・・」


「そうですか?

言いたいことが

あるなら

言った方が

いいですよ?」


「意地悪――」


「は?」


「チャンミンって

意地悪だよね。」



東方神起~妄想ラブストーリー~


「いいのかな・・

上司の僕に

そんなこと言って・・

査定に響きますよ。」


「言いたいことあるならって

言われたから

言っただけでしょ?」


「社交辞令に

決まってるじゃないですか。

どうして

本気にするんですか?

そんなだから

カッとなって

手が出るんですよ。」


それ言う?



チャンミンって

やっぱり嫌な奴―――



だけど

違うんだよね・・・


東方神起~妄想ラブストーリー~


ここにいることが

そうじゃないって

証明している。


意地悪で

厭味で

嫌な奴だったら

ここには

いない。


私に仕事を

押し付けて

帰ってしまえば

いいんだから・・・


なのに

残っていて

しかも

真面目な顔して

手伝い始めた彼。


本当は

とっても

良い人なんだよね―――


気づいてしまったから・・



「チャンミン――」



東方神起~妄想ラブストーリー~


「はい?」


ほら・・


”なんですか?”って

優しい顔をして

聞き返してくれる。



「明日の夜

空いてる?」



お礼・・言えてなかったよね?

それから返事も・・・


「えぇ・・空いてますよ?」


「良かった・・

ご飯でも

食べに行かない?」



東方神起~妄想ラブストーリー~


「いいですよ――」


目を合わせて

照れ笑い――


二人の間に

変な空気が

流れたのは

気のせいじゃ

ないと思う。



誘った理由・・・



きっと勘の

鋭い彼は

気づいてる――