ユチョンと連絡は

取れていない。


そうだよね・・


壊れた携帯は

私の部屋にあるんだから・・


この携帯を

持って

ユチョンの部屋に行く?


そんなこと

出来るわけなかった。


だってユチョンの

部屋には

きっと

私が見たくない

現実があるから・・・・



ジェジュンは

あの後

すぐに携帯を

交換した。


バックアップしていた

分のデータは

残っていたけど

最近登録したものは

復元できなかった。


だから私の番号も

消えた。



東方神起~妄想ラブストーリー~


「〇〇ちゃん

番号教えて。」


ジェジュンは

携帯を交換した

その足で

私のところに

聞きに来た。


番号を交換しながら

思った・・


ユチョンも携帯を

新しくしたら

私のデータ

消えちゃうのかな・・


そしたら

本当に連絡とれなく

なるね・・


ユチョンのことを

考えているのに

ジェジュンとの

距離が縮まって行く

日々に戸惑っている。



曖昧な態度は

取りたくなくて

ジェジュンに

気持ちを伝えても

”僕たちは

友達でしょ”って

返されて終わる。


友達として

ジェジュンは

私に優しく

してくれる。



東方神起~妄想ラブストーリー~


私の部屋に来て

ご飯を作ってくれる

こともあった。


ユチョンだったら

キッチンのそばに

座って

話しているだけなのに

ジェジュンとは

共同作業だった。


野菜を切ったり、

味付けをしたり・・


一緒にする。


友達として

励ましてくれている

ジェジュン。


楽しかった。


だけど・・・



ご飯を食べて

少し気を抜いていたら

眠ってしまっていた。


深い眠りでは

なかった。


だから気づいた。


東方神起~妄想ラブストーリー~


ソファーで

眠る私の唇に

柔らかい感触・・・


ジェジュンの唇が

触れた。


その時

私たちは

友達じゃ

なかったね・・・


だけどそれに

応えられなくて・・


自然と

体に力が

入ってしまったから

きっとジェジュンも

私が

起きてしまったことに

気づいていたと思う。


でも何も言わずに

部屋を出て行った。


東方神起~妄想ラブストーリー~


ごめん・・ジェジュン・・




その夜――


ジェジュンから

メールが来た。



『携帯変えました。


―――ジェジュン』



私は携帯に

登録し直した。


そのメールには

返信しなかったけど

それから

私のところに

2人のジェジュンから

メールが

来るようになった。


キラキラした

絵文字いっぱいの

ジェジュンからのメールと

絵文字も顔文字も

使わない

シンプルな

もう一人のジェジュン

からのメール。


深夜に届く

ジェジュンからの

メールのせいで

私は眠れない。



沈んだメール。


何かに後悔して

懺悔しているような・・・


3日くらい

そのまま

メールを続けたのかな・・


でも私だって

いつまでも

我慢できるわけじゃない!



ジェジュンじゃないくせに―――


東方神起~妄想ラブストーリー~



ジェジュンのフリなんて

しちゃって・・・


ジェジュンはね、

もうとっくに携帯

交換して

連絡とってるんだから!!


私はユチョンの

部屋に向かった。


言いたいことは

山ほどある。



ドアが開いたら

彼女が

出て来たら

どうしようって

ちょっと躊躇った・・


だけど

もう我慢できないよ!!


東方神起~妄想ラブストーリー~



開きかけたドアを

こじ開けるように

勢いよく

私は開けた。


それに驚くユチョン・・・


「遅くに・・ごめん・・」


勢いよく

しちゃったけど

一応

礼節は守った。



いつかのユチョン

みたいだね・・


深夜なのに
なにその格好?


「どこか出かける

予定だった?・・」



東方神起~妄想ラブストーリー~


「いや・・」


気まずそうに

目をそらす。



「これ・・」


私はユチョンに

壊れた携帯を

差し出した。


ユチョンの部屋は

とても静かだった。


誰もいないの?・・・


言いたいことが

いっぱいあったはずなのに

ここに来たら

胸が詰まって

出てくる言葉なんて

一つもなくなった。


「ありがと・・」


ユチョンが

携帯を受け取って

いるのに

接着剤で引っ付いて

しまったみたいに

その手が

放せない。


渡したら

終わりかな?


そんなこと

考えてしまったから・・・


でももうダメだ――


東方神起~妄想ラブストーリー~


「帰る!」


放したくなかった手を

潔く放してみると

案外パッと

放すことができた。


だけど

それと

同時に

心の糸も

切れちゃった。


流れる涙は

見せたくなくて

背中を向けた。


え・・



東方神起~妄想ラブストーリー~


自分の涙じゃない

光るものが

見えた気がして

振り返ろうとしたら

後ろから

抱き締められた。


抱き締められている

だけで

私にはわかった。


信じて

あげられなくて

ごめんね・・・


ユチョンは

私のことを

”彼女”と言った・・


大切だったはずの人に・・


友達の前でも

私がユチョンの

彼女だった。


ジェジュンを

殴った理由だって・・・



東方神起~妄想ラブストーリー~


「信じて・・・」


彼女とは

何もないって・・


夢から

逃げ出してきた

行くあてのない

彼女を部屋に

泊めていただけ。


心配だったからって・・


本当に?・・なんて

聞かない。


ユチョンが

好きだから・・


「どうして

ジェジュンの

フリなんて

したの?」



「ジェジュンになっても

いいと思ったから・・」


私がジェジュンに

惹かれるなら

もう一人の

ジェジュンに

なってもいいと思ったって・・


ユチョンのバカ・・



東方神起~妄想ラブストーリー~



振り向いた

ユチョンの頬に

光る涙・・


本当にバカ・・


「ユチョンは

ユチョンでしょ?

ジェジュンに

なれるわけないよ。」


「・・・」


初めから

ユチョンだって

わかっていたから

ユチョンの番号を

登録変更したよ。


メールの最後に

ジェジュンと

署名があっても

私の携帯には

”ユチョン”と

表示されていたよ。



「ジェジュンの

ところには行かせないって

言ったくせに・・」


「・・・」


「行かないって

言ったよね?・・

行くわけないじゃん・・

ユチョンが

好きなんだから・・」



東方神起~妄想ラブストーリー~


「〇〇・・・」


ユチョンは

私のこと

信じてくれたのに

私は・・・


信じてあげられなくて――


「ごめんね・・・」



東方神起~妄想ラブストーリー~


ユチョンに

思いっきり

抱き締められた・・


苦しいくらいに

力いっぱい・・


「ごめん・・

俺・・〇〇以外

考えられないよ・・」


ユチョン・・・


「居なくなるかと

思った・・・」


「ならないよ・・」


東方神起~妄想ラブストーリー~



「もう

どこにも

行かないで・・」


「行かない・・

ずっと

ユチョンと

一緒がいい・・」


「俺も―――」


ユチョンが

”好き”と囁いた声は

キスの吐息と

重なった。


誤解で生じた

溝を埋めるように

激しくお互いを

求める

キスをした。