映画館を出て
食事に行った。
ユチョンお勧めの
ワインバーだって・・・
普通のデート
してるんじゃないの?
こんなお洒落で
雰囲気の良いお店に
一人で来ているとは
思えなかった。
映画を観ていない
私たちだから
映画の話しは出来なかった。
ユチョンと
出来る別の話しと言えば・・・
「何か・・あったの?」
飲み会のユチョンと
ジェジュンだと
思っていた
深夜のメール・・
ずっと気になっていた。
せっかく
元気になったユチョンに
思い出させるような会話・・
良くないかな?・・
「ん?」
おどけて
微笑んで
話しを変えられちゃった――
「メールしてて
気付かなかった?」
「え?」
なに?――
「ジェジュンじゃないって。」
”ハハハ”って
笑っている。
「あ・・・」
それ言われると
私も辛いんだけどな・・・
それより――
「ジェジュンと
間違えてるって
気づいてたのに
どうして教えてくれなかったの!?」
「アハハ
そのうち気づくかなと
思って・・・」
気付かないよ・・・
「ジェジュン本人と
アドレス交換したんだもん・・
他の人だなんて
思わないよ・・」
なんか
落ち込んで来た――
何でなのかな?・・本当に・・
どうして
ユチョンのアドレス
だったのかな・・・
「ジェジュンのメールは
俺とは全然違うよ。」
「みんなも言ってた・・
絵文字がいっぱいって。」
「アッハハハ
じゃあなんで?」
何でそこで
気付かなかったのって・・
「誰でも裏の部分って
あるでしょ?だから・・」
私だけに
見せてくれてたなんて
とんだ
思い違いだったね・・
自信過剰で恥ずかしい。
「そんなわけないよね。
一度しか会った事ないのに
そんなのあるわけないのに・・
勝手に”もう一人のジェジュン”が
いるんだと思ってた。ハハ・・」
哀しい笑い声が
二人の間に響いた。
それから
食べている
料理の話しとか
何でもない
話しをたくさんした。
ユチョンは―――
笑っていた。
楽しそうにしている。
もう大丈夫なのかな?
何があったか
しらないけど
メールの時に感じた
寄り添ってあげたいくらい
沈んでいた彼の姿は
そこにはなかった。
元気になって
良かったって
そんなユチョンに
ほっとする自分がいる。
もういい時間・・・
「そろそろ
帰る?」
私が言った
デートプラン――
まだ一つ残っていることは
気付いていた。
だけどそれは
あり得ないよね?
部屋でまったりは
恋人同士でもない
私たちに出来るわけない。
ユチョンも
そう思ってるよね?
「もう帰るの?」
遊び足りない
子供みたいに
無邪気な顔で
言われた。
「・・うん・・
あんまり遅くなるのも・・」
そう言ったら
ユチョンが時計を見て
お店の人に
チェックを頼んだ。
ユチョンが初めに
オーダーしたけど
運転があるから
開けなかった
ワインのボトルを
持って
お店を出た。
「ユチョン
そこでタクシー
拾うね?」
帰るつもりだった。
ユチョンもそうだと
思いこんでいたから
そう言ったら
振り向いて
不思議そう――
「まだ残ってるよ?」
どうして帰るの?――
「・・・」
「まだデート
終わってないよね?
ワインもあるし。」
行こう――
って前を歩いて
行ってしまう。
「あ・・ちょっと
ユチョン・・・」
ワインバーの
駐車場に停めた
車まで来て
再確認する。
「ね・・部屋は・・・」
フフッて
吐息を含んだ笑い声が
聞こえた気がした。
なんで笑うの!?
部屋は・・ダメでしょ・・・
運転席から
助手席のドアを開けて
”乗らないの?”って
私を覗き込む――
乗れないよ・・・
「送って行くよ?」
え?ホント?
部屋じゃなくて??
助手席の
ドアから
覗き返したら
同じ角度で
顔を傾けるユチョンが
”うんうん”と頷きながら
微笑んだ――
その笑顔に
思わず
私まで
笑っちゃった・・・
優しい笑顔――
走り出した
車の中は
音がなくて
寂しかったから
ラジオを流していた。
話すこともなくなって
流れてくる
ラジオをぼーっと
聴いていた。
耳に入って来た
聞いたことのある曲・・・
”この曲何だっけ?”
え?・・・・
ユチョン?・・
声に出す前に
物思いに耽った
切ない表情の
運転席のユチョンを
見たら
聞けなくなった。
ずっと
無理・・してたの?・・
急速に
私の気持ちまで
曇って行く――
メールをしていた時
感じていた思い・・・
寄り添ってあげたい――
「ユチョン・・」
「ん?・・」
私の問いかけに
応えるユチョンは
もう無理に笑おうとも
していなかった。
真顔が悲しい・・
もう少しだけ
そばに居たら
また笑ってくれる?
私じゃ無理かもしれないけど
放っておけないよ・・・
「やっぱり・・
私もワイン飲みたいな。」
部屋に行っても良い?――
そう言っていた。








