ユチョンは
タクシーの中で
一言も話さなかった。
車のシートに
寄りかかって目を
閉じていただけ。
寝ちゃったのかな?
と思ったけど
車が停まると
お金だけ払って
マンションに消えていった。
なんか
存在を”無”に
されて嫌な気分だった。
でも手間は
かからなかったから
良しとしよう・・
だって今日は
幸せな気分だから。
帰って私は
ドキドキしながら
アドレス帳を眺める。
新しく登録した
その番号――
キム・ジェジュン・・
やっぱり
お礼メールは
必要だよね?
そこから
始まるよね?
でも何て
送ろうかな・・
悩むこと
1時間――
だってこの初めの
一通ってかなり重要だから。
とは言っても
私が悩みに悩んで
作り上げた文章は
結局平凡な文章・・
送信完了――
2回目からが
重要なの!!
自分に言い聞かせる。
そして私は就寝。
会社の仲間と
参加した飲み会だったから
次の日
会社に行けば
必然的に
その話しになる。
”あんな飲み会
もう二度とないよね”って
みんな興奮していた。
昨日のことが
夢のように思える。
誰かが言った。
ジェジュンからの
メールは絵文字が
いっぱい!って・・・
”ジェジュン”と
言われて
彼の顔を思い出す。
まだ記憶に
新しいから
はっきりと思出せる。
並んだ時の
背の高さも
話し方も
笑い声も・・
全部思いだせる。
でも・・
みんなも連絡先
交換していたんだ・・
それに
返信来たの!?
私は!?!?・・
昨日の夜から
着信はない。
送信BOXまで
見返したけど
メールはちゃんと
送信完了している。
それでも
私だけ
返信がなかった・・・・
強引に
番号聞いたから?・・
ショックで
それ以上
会話に参加したくなかった。
顔が引きつって行く
自分がわかるし
きっと嫌な奴になりそうで・・
「あ!〇〇
あの彼は
どうしたの?
ユチョンくん。
大丈夫だった?」
退席しようとしたら
友達に聞かれた。
知らない――
素っ気なく答えて
しまいそうだったけど
そこは大人になって
答えを返す。
「たぶん・・
自分で歩いて
帰って行ったから
大丈夫だったと思う。」
「そっか。
全然話してなかったよね?
〇〇話した?」
「?興味あるの?」
”ちょっと”って
ジェスチャー付の
照れ笑い。
「番号交換してないの?」
「誰もしてないよ。」
そうなんだ・・
ユチョンの顔が・・
思い出せない。
沈んだ雰囲気だけ・・
大丈夫だったよね?
でもどうして
あんなに元気なかったんだろう――
少し気になった。
その日
深夜になって
ジェジュンからの
返信メールは
やっと私にも届いた――



