過ぎてしまったことに

縋っても仕方がない・・


どこか納得できない

自分はいるけど

何も出来ないから

今の場所が私の

落ち着く場所なのだと

思って

仕事に専念する。



東方神起~妄想ラブストーリー~


「〇〇さん

明日の夜空いてますか?」

「ん?明日?」


いつもより

キメた口調のジュンス――


「打ち合わせの後

飲みに行こうって

言われてるんですけど

〇〇さんも良かったら

一緒にって

クライアントが・・」


「あぁ・・そうなんだ。

そうゆうことなら・・」


いいよ――


でも・・


「どうしたの?

喋り方・・いつもと

違わない?」


「どうですか?」

「え?・・何・・?」


東方神起~妄想ラブストーリー~


「ウッハハハ

僕~・・・」


違う階のOLさんが

ジュンスのことを

クールでかっこいいって

言っているのを

聴いて

そっちの路線に変更しようと

頑張ってみたって

自分で言って笑いだした。


「ハハハそうなの?

でもいつもの方がいいなぁ

なんか話しづらい気がする・・」


ジュンスはいつも

私を笑わせてくれる。


クールなジュンスより

こっちのジュンスの方が

私はいいと思う。


ここは

居心地がいい―――


チャンミンが

何をしてくれているのかも

知らずに

どんどん今の状況に

納得していこうとする

自分が居た。



東方神起~妄想ラブストーリー~




「〇〇に

決まったよ!」


そうチャンミンから

連絡をもらうまでは・・・



「え?・・どうゆうこと?」


「井上部長のコネだったんだよ。

それであの作品が

選ばれた。

コネって露呈したから

受賞断念したみたい。

それで次位の〇〇が

繰り上げで・・・」


「うそ・・」

「本当だよ!

おめでとう!!」


チャンミンのテンションが

いつになく高かった。


でもすごく忙しいのか

歩きながらの電話で

息もキレている。


「詳しくは

またあとで――」


これから仕事があるから

帰ったら詳しく話すって

電話を切った。


チャンミンと電話を

切った後に

受賞を知らせる連絡が

正式に入って来た。


少しでも早く

私に知らせようとして

忙しい中

電話してきてくれたんだね?


チャンミン・・・



選ばれた・・

私の作品が

選ばれたんだ!!!


ダメだった時

自信があったからこそ

本当に悔しくて

落ち込んだ・・


今はその逆――


自信のある作品が

人に認められるって

これ以上ないくらい

満たされる。


良かった・・・

良かった・・

本当に・・良かった・・




東方神起~妄想ラブストーリー~



「〇〇!」

「チャンミンっ!!

お帰りっっ」


帰って来た

チャンミンの胸に

飛び込んだ。


「ただいま。

〇〇!おめでとう!!」


抱き締め返して

くれるチャンミンの声が

明るくて

心から受賞を喜んで

くれているのが伝わってくる。


ご飯を食べて

落ち着いてから

一連のことについて

チャンミンが

話してくれた。


受賞が決まっていた人は

部長が長年担当してきた

クライアントの親類だった。


匿名審査のはずなのに

そこからおかしい・・


事前に部長は

どの作品が

彼のものなのか

知っていて

推した。


そして最後は

部下に票数を

操作させたって・・・


また邪魔されるところだった・・



東方神起~妄想ラブストーリー~



「良かった・・・

これで戻れるな・・」


落ち着いた声が

胸に響く・・・


「そう・・だね・・」



見上げて

重なった視線――


ゆっくり距離を

縮めた。



「ありがと・・」

「実力・・だろ?」


笑い声は

触れた唇から

吐息とともに漏れた。