選考の結果を
伝えるために
チャンミンに連絡をした。
待っていたであろう
チャンミンの声は
意外と冷静で
もう結果を知っているのだと
思った。
だから伝えるのも
楽だった。
「ダメだった・・」
「うん・・
大丈夫か?」
「うん。
大丈夫!
これでこっちの仕事に
専念できる。
契約はね、上手くいったの。
だから良かったのかも・・」
ずっと悩んでた。
選考に通ったら
この会社を辞めるのかって・・
でも辞めたいとは
どうしても思えなかった。
だから
これで良かったんだよ・・きっと。
「〇〇・・
今日はすぐ
帰って来いよ?
僕も終わったら
直帰するから・・」
チャンミン・・
止めてよ・・泣いちゃうよ・・
「ん・・
でも仕事終わるかな・・」
「終わらなくても
帰って来て――」
「・・・うん・・・」
今日は大きな案件が
一段落したから
仕事は落ち着いている。
すぐに帰れる・・・
でも・・
あんなに自信あったのになぁ・・
”大丈夫”だと言っておきながら
引きずっている。
それはチャンミンに
見せたくない。
チャンミンは
わかっているから
”帰って来て”と
言ったんだということも
私だってわかってる。
だけどね・・・
小さなプライドが
あってね・・・
一人で
泣きたい・・・
でもどこ行こう?
泣ける場所なんてない。
そう思っていたら
チャンミンから
メールが来た。
『ごめん
ちょっと遅くなりそう。
ちゃんと帰ってろよ?』
チャンミン
遅くなるの?
じゃあ帰っても一人だ――
『了解――』
って返事を返して
私は家に帰った。
帰り道で
買い込んだお酒を
持って
自分の部屋に籠った。
自棄酒するほどの
元気もなかったけど
とりあえず飲もう!!!
そして泣く――
今まででの中で
最高傑作だと
思ったのにな・・
まだまだだったのかな・・
やっぱり実力ないのかな・・私・・
考えれば考える程に
私は落ちていく。
自分の欠点なんて
いくらだって思いつく。
自虐行為だね・・こんなの・・
ベッドの端に
小さくなって
座って居ると
部屋が広く見える。
私って小さい・・・
「はぁ~・・・・・」
涙とため息
同時に漏らした。
「僕のもある?」
「え!?チャンミン!?」
遅くなるって・・・
「ウソ?・・」
「帰って来ない
つもりだっただろ?」
「・・・」
チャンミンが部屋に
入って来て
近くに座った。
残っていたビールを
手にして一口飲んだら――
「泣いていいよ。」
そんなこと言う・・
「・・・一人で泣きたい。
私にだってプライドあるよ・・」
「僕の前でも必要?
・・バカだな・・」
私を抱き寄せた
チャンミンに
涙が止まらなくなった。
一人の時は
そうでもなかったのに
その温もりに
堰を切ったように
私は声をあげて泣いた。
涙が
出なくなるまで
泣き続けた。
チャンミンの
スーツに涙の染みが
出来てしまうくらい・・
それで
スッキリした。
「・・ヘヘ・・
ごめん・・」
「もういいの?」
「うん。ありがと・・」
チャンミンから
体を離した。
ゆっくりと見上げた
チャンミンの顔――
凛としている表情の中に
私より納得がいっていない
ような顔をしていた。
「チャンミン・・
ごめんね。
せっかくチャンス
くれたのにね。」
「〇〇・・
自信あったんだろ?」
「え・・」
落ちた企画で
あんなに自信満々だったなんて
恥ずかしい。
「あったよな?」
「自意識過剰だったんだよ。」
「いや・・
僕も自信あった。
絶対〇〇が選ばれると
思ってた。」
「チャンミン・・」
ただの慰めだと
思ったけど違う?
「選ばれた企画
見せてもらったんだよ。」
そうなの?
「何か違うんだよ・・」
「何・・?」
「僕は〇〇の企画の
方が断然良いと思った。
それ以前に
あれだけの応募の中から
選ばれた作品が
それだって納得できない・・」
そんなに?・・
でももう決まったことだから
覆せないよ。
優しさとして
受け取って
置こうと思った。
気持ちを切り替えて
明日から
仕事、仕事――




