会社に着いたら
社長はもう出勤していて
他の社員と
話しをしていた。
笑顔で話す社長――
昨日の打ち合わせは
社長が取り持って
上手く行ったのだろうか?・・
緊張感が
私を襲う。
深呼吸をして
気持ちを落ち着けて
社内に足を
踏み入れる。
「おはようございます――」
いつもと変わらぬ
挨拶をする。
向かうは
社長の元・・・
「〇〇さん・・・」
私の存在に
気付いた社長・・・
「・・おはようございます・・
社長・・あの・・」
「あ、ちょっと待って。
悪いまた続きは後で――
〇〇さん
あっちで話そう。」
話していた社員に
断わりを入れると
前を歩いて
私を会議室へと
誘導する。
私を見た途端
社長の顔から
笑顔が消えたから
やっぱり
契約は破棄されたんだと
思った。
責任重大・・
私一人の首を以てしても
会社の損失は
埋められないですよね・・
社長の心中を
考えると
私はどうしていいのか
わからなくて――
「社長っ!!
本当に申し訳
ありませんでした!」
会議室の扉が
閉まるなり
私は謝罪を口にした。
「社長の期待も
裏切ることになってしまい
契約さえも・・」
「違うんだ
〇〇さん!」
え?・・・
社長が私の言葉を
遮った。
違うって?・・・
顔をあげたら
社長が心痛な
お面持で私を
見ていた。
「何て言っていいか・・」
社長?・・
言葉を詰まらせた後
社長が
私に深々と
頭を下げた。
「本当に申し訳なかった。
取引先のことを
もっと調べておくべきだった。
〇〇さんに何もなかったのが
幸いだったよ・・・・
本当に申し訳ない。」
え?・・・
「社長!?
止めてくださいっ!!
打ち合わせを放棄した私に
そんなこと・・」
「いや・・危険な目に
合わせてしまって・・
〇〇さんの恋人にも・・
なんと謝ったらいいのか・・」
「社長・・・」
私は悪くないと
社長は言う。
部屋で
2人きりの打ち合わせとは
どうゆうことかと
問い詰めた社長に
クライアントの部長は
女性をよこしたのは
そうゆう意味ではないのかと
言ったらしい・・・
契約はこちらから
破棄したから
その件は
気にしなくていいけど
ここでまだ働く気は
あるかと聞かれた。
許されるなら
このまま働いて
欲しいとまで
言ってくれた。
そこまで言ってもらえて
辞める理由はない。
昨日の社長からの
着信は
私を心配してのことだった・・
私はここで
働き続けようと思う。
いいよね?チャンミン――
その日の仕事が
終わって会社の
ビルを出たら
チャンミンが居た。
チャンミン!?―――
「チャンミン!?
どうしてここに?」
駆け寄って
聞いたけど
心配で来てくれたんだよね?
「・・通りかかったから。
そろそろ
終わるかなと思って。」
思わず笑っちゃった。
ウソつき・・
「何だよ?」
「ん?うぅん・・
帰ろ?
何か食べて行こっか?
今日は私が奢る。」
「奢るって
無職にならなかったの?」
「うん・・」
社長の話をしたら
チャンミンも
納得してくれた。
良かった・・
途中で見つけた
お店に入って
食事をして帰る。
「でもこれからも
営業はあるんだろ?」
まだ心配してる。
私も今回の件で
十分に反省してるし・・
それにね――
「社長がクリエイターは
クリエイターの
仕事に専念できるように
営業増やすって言ってくれたの。」
「・・すぐじゃないだろ?
それまでは・・」
「うぅん。
女性のクリエイターは
社内での打ち合わせに
限定するようにするって。
凄いでしょ?
これで大丈夫♪」
社長の仕事の早さと
気遣いを褒めていたら・・・
あれ?
不機嫌で無口になってる―――
もー・・・
何でかな・・
わかってよ~!!!
私が好きなのは
チャンミンなんだから。
繋いでいた手を
ギュッと握ったら
チャンミンが
”何?”って顔で
私を見た。
つれない顔しちゃって・・・
「大好きだよ――
チャンミンっ!」
―――大好き♪♪
チャンミンを見上げて
目を合わせて
そう言って
もう一度
繋ぐ手に力を入れた。
「何だよ
急に・・・」
そう返しながら
チャンミンが笑ってくれた。
良かった♪
「急じゃないよ!
いつも思ってるもん。
チャンミンのこと
大好きって♪」
こんな道端で
何の告白だよって
迷惑そうな顔とは裏腹に
溢れる飛び切りの笑顔――
私が大好きな笑顔をして
チャンミンも
繋いだ手に力を
込めてくれる。
言わなくても
伝わる――
チャンミンの気持ち。
好き・・・♪








