結局一度も
振りかえることなく
家まで帰って来た。
僕が家に帰って
時間差で
〇〇が帰って来る音が
聞こえて
ほっとする。
怒りは治まったわけじゃない・・
部屋に入って来た
〇〇に感情を
抑えながら言った。
「わかってる?」
自分が何をしたのか
どうなるところだったのか・・・
本当にわかってるのか?
”うん”と返事をしながら
”仕事だった”と続けた
〇〇に抑えていた
感情は爆発せざるを得なかった。
いつも言っていたのに
どうしてわからないんだよ!?
仕事でそんなこと
あるわけないって
考えれば
わかるはずだろ?
そうゆう抜けたところが
僕は心配でたまらなかったんだ!
だからうるさいくらいに
言って来たのに
結局こうなった・・・
それでも”仕事”?
「じゃあ仕事なんて
しないでください!」
会社のため、会社のためって
言うけど
僕は〇〇の方が大事なんだ。
会社は辞めても
どうにでもなるけど
〇〇に何かあったら・・
それでも
僕が居合わせなくても
社長がすぐに
来たから
心配しているようなことは
起こらなかったと
〇〇は言う――
「それ
本気で言ってる?」
冗談だろ?
子供じゃないんだ・・
何故わからない!?
僕はあの時
〇〇の姿を見つけなかったら
どうなっていたかと
思うと・・・・
想像しただけで
震えが止まらない。
「僕が居なかったら
今頃どうなってたか
わかるだろ?
それが〇〇の言う
大事な仕事だっていうなら
そんな仕事させる会社なんて
辞めろよ!
そもそも営業なんて
無理だろ!?
〇〇はクリエイターだ。」
クリエイターに
専念できる会社に
移って欲しい・・
そう思ったのに・・
「・・チャンミンは
もっと仕事に理解の
ある人だと思ってた・・」
仕事はすればいい――
でもこんな危険があるところで
働く必要はないって
言ってるんだよ!!
部屋を飛び出した
〇〇を追いかけた。
「〇〇!」
「出て行って・・
着替えたいの・・」
暗くて良く見えないけど
脱ごうとしている
ジャケットが・・脱げない・・?
そのうち
〇〇の体が
震えているように
見えてきた。
「〇〇・・・」
肩に触れたら
震えが伝わって来て
もっと大きく揺れ出した。
〇〇・・・
「・・ごめん・・
言い過ぎた・・・」
わかってないわけ
ないよな・・
頭に血が上って
〇〇のことを
気遣うのを
忘れていた。
「チャンミン・・・
ごめん・・・
ありがと・・・
私・・・」
怖かったよな?・・・
「わかってる・・」
何もなくて・・
本当に良かった・・・・
僕は〇〇を
抱き締めた。






