僕のことを
心配性だと〇〇は
言うけど・・・
隙だらけの〇〇・・
心配して
当然だろ?
打ち合わせが
終わってから
同期とホテルのバーで
軽く飲んだ。
「俺・・〇〇さんと
付き合ってる。」
そう報告したら
もちろん答えは――
「うっそ!?
すっげぇ~!!」
〇〇は会社で
有名だったから。
でも〇〇の本当の
姿を知ったら
もっとびっくりするだろうな・・
そう思うと
笑いが込み上げる。
「幸せそうだな?」
「え?・・まぁ・・」
今日は〇〇の話を
するために
飲みに来たわけじゃ
なかった・・
「で・・さっきの話し・・
会社辞めるって?」
ジュンスは同期の
営業マン。
持ち前の明るさと
人懐っこさに加えて
見えないところで
努力を惜しまない――
ジュンスの
営業成績は
常にトップだった。
出世間違いなしと
言われているし
ジュンスの成績なら
インセンティブも
十分もらえているはず・・
他にどんな不満が
あるのか
僕にはわからない。
「ん~・・
もっと小さくてもいいから
自分の実力だけで
やってみたいんだよね。」
今は会社の名前が
あるからであって
実力ではないと
ジュンスは言う。
いつもふざけてばかりなのに
仕事になると
ストイックになる
ジュンス――
「行く先は
もう決めたのか?」
「まだ。
辞めてゆっくりしながら
考えようかと・・ウハハハ」
・・そうゆうところは
やっぱり能天気なんだな・・^^;
ジュンスらしくていいよ。
なんとなく
これからのビジョンを
男同士話をして
帰路に着く―――
ホテルを出る前に
今から帰るコールを
しようと携帯を取り出したら
ラウンジで
〇〇を見つけた。
!?・・何でここに??
〇〇の前には
二人の男性が
座って話している。
・・打ち合わせ?・・か・・
何も言ってなかったのに・・
そう思いながらも
もうすぐ終わるだろうから
一緒に帰ろうと
思って離れたところに
座って待つことにした。
こうゆうのを
サプライズって
言うんだよな?
良くジェジュンさんと
ユチョンさんが
使う手・・・
女性はサプライズに
弱いらしい・・
〇〇の驚く顔が
早く見たくて
打ち合わせの席に
何度も視線を
送ってみていた。
なかなか打ち合わせが
終わらないどころか
一人が席を立ったまま
帰って来ない。
その間
〇〇と年配の男性が
二人きりになって
話しているけど
遠目に見ても
様子がおかしいのが
わかった。
どうかした?・・
しばらくして
二人が
立ち上がったから
打ち合わせが
終わったと思って
僕も立ち上がった。
どうやって
声をかけて
驚かせようかで
頭の中は
いっぱいだった。
それなのに
ホテルを出て行くはずの
二人はなぜか
エレベーターへと
向かって歩いて行く。
〇〇は
キョロキョロして
何かを探している。
ん?・・・どこ行くつもり?
僕はこっそり後をつけた。
〇〇は仕事中だから
邪魔してはいけない。
用心深く後をつけていく・・
エレベーターの止まった階を
確認してから
僕も別のエレベーターに乗って
その階で降りた。
エレベーターに
乗っている間
頭に過ったことは
最悪の事態・・・
部屋に行くための
エレベーターだろ?これって・・
もし〇〇の姿が
見えなかったら
どこの部屋に入ったのか
わからない!!
まずい・・
僕としたことが
何という失態を・・・・
〇〇!!
ホテルの広い
廊下を〇〇を探して
走った。
扉ばかりが続く長い廊下に
〇〇の姿はない・・・
心臓が破裂しそうなほど
鼓動を打っている。
もし〇〇に
何かあったら・・・
反対サイドの廊下を
走っているとき
〇〇を見つけた。
良かった・・・・
最悪な妄想は
〇〇が言う
僕の”心配性”が
作り出しただけか――
それならそれでいい・・
〇〇に何か
あったら困るんだ。
ほっと胸を
撫で下ろす暇も
なかった。
〇〇が立っている隣の
扉が開いて
さっきの年配の男性が
出てきた。
〇〇と一言二言
話して
腕を引く姿は
とても仕事とは
思えなかった。
おかしいだろ?
僕は走った。
仕事の邪魔はしないと
エレベーターを見送ったとき
みたいに後悔しないように・・
近づいて
見えた
〇〇の表情で
確信した。
〇〇も
おかしいと
思っていると・・
だから迷わず
閉まりかけた扉に
手を伸ばし
〇〇の手を掴んだ。
「何してるんだよ
こんなところで。」
もし僕の勘違いなら
恋人が浮気と勘違いして
声をかけたってことで
済ませようと思った。
仕事とわかっていて
恋人が口出ししたなんて
相手に失礼過ぎるから・・
「遅くなるって言ったら
ホテルで別の男と会うのか?
お前は・・」
ちょっと強引な男を装う。
僕に”誰だ”と問う男に
僕も問い返す。
〇〇とここで
何をしているのか・・と。
歯切れの悪い口調で
”打ち合わせ”と答えられたら
もう信用なんて出来ない。
「打ち合わせ?
部屋で?二人きりで?
今時そんな打ち合わせを
する会社はないと思います。」
僕の言葉に明らかに
動揺を見せる彼・・・
僕の〇〇に
何をしようとした!?
今時女性と二人きりで
打ち合わせをするなんて
企業倫理に反する行為は
訴えられても仕方ない。
もう2度と〇〇に
近づくな。
僕は〇〇を
連れて部屋を出た。
この時点で僕の
怒りは頂点に達していた。
あの男にも
部屋に入ろうとした
無防備な〇〇にも!!!
そして目の前に現れた―――
「社長!」
「社長・・・?」
この男にも!!!
「〇〇さん・・?
・・彼は?・・」
知っていて〇〇を
送り込んだのか?
もし〇〇に
何かあったら不慮の事故
とでも言って
済ませるつもりだったか?
「彼女の恋人です。
恋人をホテルの部屋で
男性と二人きりで
打ち合わせさせるほど
僕は寛大ではありません。」
当てつけに言うと
”二人きり”ということに
驚いていた。
知らなかったのか?・・
でも今さらどっちでもいい。
「とにかく
彼女は連れて帰ります。
この件でクビになるなら
それでも
構いません。」
〇〇を危険な目に
合わせたのは事実だ。
これからのことを
考えても
そんな会社で
働いて欲しくない。
〇〇の才能ならどこの
会社でも働けるんだから・・・
でも〇〇はそんな風には
考えないみたいだ。
「チャンミン!
放して。仕事・・
戻らなきゃ!
クビになるなんて
困るよっ!!」
クビになってもいいだろ?
こんなことさせる会社!!!
「何考えてるんだよっっ!!!!」
言いたいことは
たくさんあった。
でも怒りが邪魔をして
上手く言葉にならないんだ・・
たった一言だけ
吐き出して
僕は歩き出した。
その後ろを
走ってついて来る〇〇・・
途中
〇〇の足音が
聞こえなくなったことは
気づいていた。
信号に掴まったのか?・・
どれだけ
心配させれば
気が済むんだ!!
ちゃんと着いて来いよ・・・












