帰って来たら
〇〇さんと
ジェジュンさんが
楽しそうに
料理を作っていた。
「ジェジュンさんの
部屋に住ませてもらえば
いいじゃないですか!!」
イチャイチャするのは
良いけど
ここは僕の部屋です!!
違うところで
やってください!
○○さんが
包丁で指を切ると
ジェジュンさんが
傷口を口に含んだ。
絆創膏を持って来いと
言われて
用意する――
手を出すように言ったら
自分でやると言って
断られた。
フッ・・ジェジュンさんじゃ
ないと嫌ですか?
全く・・・
その手を強引に
引っ張り
消毒液をかけた。
イチャイチャしてるから
怪我するんですよ!
何故か傷口を見ていたら
苛立ってきて
多めに消毒液をかけていた。
絆創膏を巻いた指――
「料理もできないんですか?」
僕はまた厭味を言っていた。
ここに来てから
彼女の”ない”ものが
増えていく。
部屋も仕事も・・
そして料理の才能も。
強がって出来ると
言い張った〇〇さんが
作ったオムレツは
未知との遭遇・・
さすがクリエイターですね・・・・
これ、厭味です。
ないものだらけの彼女――
だけど一つだけ・・・
飲み物を取りに
キッチンに向かったら
リビングをぐちゃぐちゃにして
何か作業をしている
〇〇さんがいた。
「何してるんですか?」
面接のための
資料作りと答えた
彼女の横に数枚の資料。
僕は興味を持った。
「へ~・・・
見てもいいですか?」
まだ全然
まとまっていなかったけど
資料にはたくさんの
企画案が並んでいた。
どれも面白そうだった。
彼女が持っているもの・・
やっぱり
仕事の才能だけは
本物だった。
憧れていた〇〇さんが
完全に僕の作り上げた
ものじゃなくて
良かった。
自然と顔が緩んだ。
「頑張ってください。」
僕はあなたの
作り出すものだけには
今も憧れます。
勝手なイメージだったんだ。
○○さんは
スマートな人で
企画もどんどん
浮かんできて
なんでも楽に
熟せてしまう人――
そう思っていた。
だけど
実際には
こうやって
作り出していた
企画だったんですね・・・
出来上がった企画と
容姿で判断して
作り出す過程を
僕は見ていなかった。
不器用な〇〇さんの
努力の賜物が
あの企画たち
だったんですね・・・
あなたは
知らないでしょ?
僕も頑張ったんですよ・・
こんな風に。
でもあなたが
同じように
頑張っていたから
全然
追いつけなかったんですね。
翌朝起きて来たら
〇〇さんが
資料の中に埋もれて
眠っていた。
面接のためだけの
資料なのに・・
でも
頑張ってくださいね?
あなたの作ったもの・・
見ていたいです――
帰って来てもまだ
同じ場所で
作業をしていた〇〇さんの
前に座り
僕も仕事を始める。
僕の部屋のクーラーは
快調です。
でもここで
仕事がしたかった。
そのために
帰って来たんだから・・
〇〇さんが
企画を作り出す過程を
見たかった。
どうやって
僕だけじゃない
みんながすごいと
認める企画が
出来上がるのか
この目で
見たかった。
○○さんは
真剣過ぎて
気づいていなかったけど
僕はずっと見ていた。
時に独り言を言い
思い立ったように
資料をめくり
紙に殴り書き・・・
そう思ったら
急にピタッと動きを
止めて腕組みして
1時間・・
頭を抱えてため息。
その後また
電流が走った
みたいにピッとして
凄い勢いで
パソコンを打ち始めた。
そして
しばらく経って
スッキリした表情の
〇〇さん―――
ソワソワして
僕の方を
覗き込んでいる。
その表情・・・
よっぽど
良い企画が
出来たんですか?
浮かれた様子で
出かけようと僕を誘う。
何だか
僕までつられて
嬉しくなる。
僕もこんな顔が
出来るような仕事をしよう・・
でももう少し
内緒にしておきます。
僕があなたの仕事に
憧れていることは――
「あと1時間は
かかりますよ?」
待ってますか?―――
しつこく誘う〇〇さんに
そう言ったら
お腹が空いているから
待てないと言った。
でしょうね?
朝から何も食べて
ないんでしょ?
「じゃ、行ってきてください。
コンビニだったら
近いでしょ。」
やけに素直な
〇〇さんに
びっくりしたけど
よっぽどお腹が
空いてたって
ことですよね。
「おにぎり2個と
カップラーメン。
あと水。
お願いします――」
憧れの人に
こんなこと
言えませんからね!
ま、憧れっていっても
仕事だけですけど・・






