仕事を辞めてから
ずっとぐうたらして
朝に目覚めたことは
なかったけど
今日は慣れない場所で
眠る緊張感から
目が覚めた。
顔を洗って
着替えのために
部屋に戻ろうと
思ったら
後ろにチャンミンが居た。
!!
「おはよう・・
もう起きてたんだ。」
「もう?」
彼は腕時計を
確認して続けた。
「仕事に行かなきゃ。
○○さんは?
何時に出るんですか?」
「え・・・」
私は・・・
無職って言うべき?
「仕事、行かないんですか?」
「行くよ?・・そのうち・・」
「そのうち?」
大きな目が
私を捕えて離さない。
「・・辞めたの・・仕事。
だから今探してるところ・・」
探す気力も
なかったけど
とりあえずそう言った。
「家もない
仕事もないって・・・」
何かすごく
憐れな目で見られてる・・・
「仕事がなくて
家なんて
借りられるんですかね・・
家賃払えないんじゃ?」
「は・・払えるよ。
貯金あるし・・」
「へぇ~・・
じゃあせいぜい
貯金もない・・なんてことに
ならないように
頑張ってください。」
では行ってきます――
くぅ~!!!悔しいっ!!!!
早く出てってやる!
こんな部屋――
これまで出かける気にも
ならなかったのに
部屋探しに
不動産屋を何件も回った。
ネットで悠長に探すより
早いと思ったから・・
でも良い部屋が
見つからなかった。
お金も職もないくせに
条件だけは一人前で
厳しく見過ぎたのかな・・・
あぁ~疲れた・・・
昨日から
住んでいる
自分の部屋とは
思えない部屋に
帰って来たら
何かいい香り・・・
あのイケメン・・
お料理まで
出来ちゃったりするの!?
「誰~?
早いんだな、今日は・・」
キッチンで
携帯片手に
お鍋を火にかけている。
彼は・・誰?・・
「あの・・」
私の声に
驚いて
彼が振り返った。
あ・・(///∇//)
なんてイケメン・・
「誰!?」
冷たく
不審者でも
見るような目で言われた。
「ここに・・住んでます・・」
昨日から・・
あなたこそ――
「誰・・ですか?・・」
言い終わったら
見る見るうちに
表情が変わって
笑い出した。
「住んでるの?
あっは~♪どっちの?」
”どっちの”?・・
きっと勘違いされている。
ユチョンか
チャンミン
どちらの彼女かって
聞かれているんだと思う。
「どっちのとかじゃなくて・・・」
説明する前に
チャンミンが帰って来た。
「ジェジュンさん
来てたんですか。」
「仕事休みだったから
一緒にご飯でも
食べようと思って。
チャンミン
今日はやけに
早い帰りなんだな?」
「え・・たまには
早く帰って
家で仕事しようと思って。」
「そっか・・
ユチョンは?
遅いの?」
チャンミンは
ふっと小さな
ため息を漏らすと
私の方を見た――
「部屋は見つかったんですか?」
厭味~!!!!!
「今日は・・・
でもすぐ見つかるから
ご心配なくっ!!!」
着替えるために
自分の部屋に
入って行ったチャンミン――
残された私は
興味津々に
私を見ている目に
気が付いた。
「チャンミンの彼女?」
嬉しそうな顔・・・
「いえ・・違います。」
「えぇぇぇ!
じゃあ何でこんなに
早く帰って来たのかな~?」
完全に勘違いされている。
今の状況を説明すると
また楽しそうに
笑い出した。
最初は冷たい
印象だったのに
笑い上戸??
笑顔が可愛い・・・
「じゃあ
チャンミンと二人きりで
暮してるんだ?」
暮してるって言っても
まだ一日ですけどね・・・
「はい・・」
「大丈夫?チャンミンも
男だよ?あっは~♪」
え?・・
「くだらないこと
言わないでください。
僕だって
迷惑してるんですから。」
な・・何!!
「迷惑なんて
かけた覚えないけど。」
「荷物は運ばされるし
怪我はさせられるし・・」
そうだった・・
「そんな言い方ないだろ~!
〇〇ちゃんだって
被害者なんだから
可哀想・・・」
ジェジュンが
庇ってくれた。
「さ・・出来たから
ご飯食べよ。」
チャンミンと
違って優しいジェジュン――
食事中の
会話でも終始気遣って
くれた。
”ちゃんと食べてる?”とか
”熱いから気をつけてね”とか・・・・
優しい――
「部屋なんて
そんなに簡単に
見つからないでしょ?」
「まぁ・・何か欲が
出ちゃうのか
条件厳しくし過ぎた
みたいで・・・」
「条件は大事でしょ!
女の子の一人暮らし
なんだし
ちゃんとしたところに
住まないと。
一部屋用意して
あげたいけど
今空いてないんだよね・・」
「え?」
「ジェジュンさんは
このマンションの
オーナーの甥っ子で
管理も任されてるんです。」
私たちの会話に
興味なさ気にしていた
チャンミンが
食べながら
教えてくれた。
ちゃんと会話聞いてるんだ・・
「そうなんだ・・」
「部屋探し付き合って
あげればいいじゃん!
女の子一人だと
なめられるよ。」
「どうして僕が?」
「一緒に住んでるから。」
「好きで住んでるわけじゃ
ありません。」
黙って聞いて居れば
本当に可愛くないっ!!!
「私だって好きで
住んでるわけじゃ
ないんだからっ!!
もしかしたら
反対の立場だったかも
知れないんだからね!
ちょっとは私の気持ちも・・・」
たまたまユチョンが私の
部屋に移ったから私が
追い出されたのであって、
もしかしたら、
私の友達がこっちに
移って来てたら、
チャンミンが
追い出されてたかも
しれないのに・・・
でも途中で恐い目で
見られたら
それ以上言えなくなった。
今私はただの居候だから・・
「じゃあ俺が
一緒に行ってあげる。
俺、水曜休みだから
来週の水曜に
なっちゃうけどいい?」
何て優しい人なんだろう!!
今日初めて会ったのに
ここまで親切にして
くれるなんて・・・
でも申し訳ないから――
「ありがと。
でも大丈夫。
一人で探せるよ。」
「素直に受け入れたら
いいじゃないですか。」
チャンミンに言われた。
「え?」
「一人じゃ探せなかったんでしょ?」
「だから今日は・・
探せなかったんじゃなくて
条件を厳しくし過ぎたって
言ってるでしょ?
今度からは
条件緩く設定するから
大丈夫だよ。」
「女性の一人暮らしで
条件を甘くするのは
危険だって
言ってるじゃないですか。」
え・・チャンミンも
ジェジュンと同じこと言うの?
意外だった・・・
だって今日にでも
出て行けって感じなのに。
「水曜まで居ても
いいの?」
「嫌です。」
やっぱり!!!
「でも・・・
条件緩めて
変な部屋に住まれるよりは
マシです。」
え?・・・
「水曜日、ジェジュンさんと
部屋探しに行ってきて
ください。
それまでは
職探しでもしたら
どうですか?」
ずっと無職で
いるつもりですか?――
チャンミンはそれだけ言うと
お茶を飲み干して
部屋に入って行ってしまった。
テーブルの上の
料理は
綺麗に平らげられていた。
ん?・・何だろう・・
厭味な言い方だけど
言ってることは
実は優しい?
結局
ジェジュンと一緒に
部屋探しに行って来いって・・・
それって
チャンミンの
優しさ・・?――










