僕は大学の先輩である

ユチョンさんと一緒に

住んでいた。


この高級マンションの

オーナーもまた

大学時代の先輩の

叔父にあたる人だから

家賃を低めに設定してもらって

二人でシェアしていた。




東方神起~妄想ラブストーリー~


ユチョンさんは

本当の兄のように

僕に良くしてくれる人――



今日は早く帰って来て

欲しいと言われた。


何だろう・・・


ユチョンさんが

話しがあるなんて

珍しいから

何事かと思いながら

仕事を早めに切り上げて

部屋に帰った。


玄関先に

女性の靴―――


一緒に住むときに

ルールを決めた。


いくら親しい仲とは言え

住むとなれば

ルールは必要だ。


その中の一つに

お互い異性は

連れ込まないことに

決めていた。


忙しい時期で

仕事を早々に切り上げて

来たのに

楽しそうな話し声が

玄関まで響いている。


話しってなんですか!?

それに女性を連れ込むなんて・・・



東方神起~妄想ラブストーリー~


「ユチョンさんっ!

異性は連れ込まないって

約束でしたよね!?」


僕の抗議に

ユチョンさんは

ここを引っ越すと

言い出した。


そんなの初耳だった。


引っ越し先は

彼女の家――


ユチョンさんが

そう言ったら

部屋の奥から

それに驚いた声が

聞こえてきた。


「今何て言った!?」


大きな声で

本当に驚いている

様子だった。


でも僕が驚いたのは

声の大きさじゃない・・・



東方神起~妄想ラブストーリー~


彼女の姿を見て

僕の時が止まった。


何で?・・


何で〇〇さんが

ここに!?・・・


驚きのあまり

彼女のことを

見つめ過ぎていた。



「チャンミン――

あんまりジロジロ見たら

失礼だろ?」


ユチョンさんの声で

我に返った。


!?ユチョンさん!!



東方神起~妄想ラブストーリー~



「ユチョンさんっ!!!

これは一体

どうゆうつもりですかっっ!!!!

何をしようと

してるんですか!?」


「何でそんなに

怒ってんだよ?」


からかうように

笑うユチョンさん――


イタズラ好きの彼の

イタズラか・・・


彼女をここへ

連れて来たのは・・・


彼女の問いに

よってユチョンさんの

魂胆が見えてきた。


僕と彼女を

一緒に住ませようって!?



東方神起~妄想ラブストーリー~


勝手なこと

しないでください!!


僕が間違ってましたよ・・・


酔った勢いで

あなたにあんなことを

言ってしまうなんて・・



一週間前のことだった―――


僕が憧れて止まなかった

会社の先輩が突然

辞表を出して辞めて行ったのは・・・


〇〇さん・・


あなたは僕の憧れでした。


美人で優秀で

会社でも有名だった。


僕が彼女に出会ったのは

新入社員の頃。


休憩室に忘れた

研修用に作った

資料を取りに行くと

〇〇さんが居た。


そして僕が

忘れた資料を

パラパラとめくっていた。



東方神起~妄想ラブストーリー~-チャンミン8


『あの・・』

『あ・・これ?

キミの??』


『はい・・』

『そうなんだ。

面白そうだね!これ――』


ニッコリと

微笑んだ彼女に

心奪われそうだった。


『あ・・ありがとうございます。』

『キミのこと?期待の

新人って。』


確かに僕は

そう呼ばれていた。


『〇〇さん・・ですよね?』

『ん?私のこと

知ってるの?』


有名です・・・


会話の途中で

○○さんは携帯で

呼び出されて

行ってしまったけど

去り際に

”いつか一緒に

仕事しようね”

そう言われた。


『シム・チャンミンです――』


覚えて置いてください――


叫んだ僕を

振り返り

また笑顔を浮かべた。


その時から

僕の目標は

○○さんと仕事をすることだった。


部署が違うから

普段逢うことは

なかったけど

今度やっと

○○さんの部署と

合同でする仕事が

出来て僕が選ばれたのに・・・


その発表があった日

彼女が会社を辞めたんだ。


僕は悔しくて

人生初めての

自棄酒をした。


それに付き合って

くれたのがユチョンさん・・・


凄い偶然か

奇跡か・・


ユチョンさんの彼女の

ルームメイトが

〇〇さんだったなんて・・



でもこんなこと

いきなりされたら

困ります!!



「ユチョンさんが

出て行くのは

自由ですけど

その場合は

僕はここに一人で

住みます。

誰かと住む気は

ありません。

まして女性とは・・・」


○○さんと

住むなんて

そんなこと・・・


「そうだよ!

見ず知らずの人と

いきなり

一緒に住めるわけ

ないでしょ!?」


僕に同調するつもりで

言い放った○○さんの

信じられない言葉――


”見ず知らずの人”・・・


東方神起~妄想ラブストーリー~


え?今・・何て?


見ず知らずの人って

言いましたか?僕のこと・・



僕はずっと

○○さんと仕事を

することだけを

夢見てきました。


あの時

あなたが言ってくれた

言葉を信じて・・


なのに・・


僕のこと

覚えてないんですか?


フッ・・

そうですよね・・


違う部署の

新入社員との出来事なんて

イチイチ覚えてないですよね。


これまでの

自分が滑稽に

思えてきた。


何年も目標に

頑張って来たのに・・


「・・彼女も

僕とは住みたくないと

言っています。」


僕も無理です・・


ユチョンさん・・

今回の悪戯は

失敗に終わったようですよ。