嘘でしょ・・・


これどうするの・・・


引越し屋さんが

どこの部屋ですかって

聞いて来る。


どうしよう・・


「とりあえず

その辺に・・」


東方神起~妄想ラブストーリー~


「ちょっと

何してるんですか?」


「何って・・

荷物受けとらないと。

これ私の荷物なの・・」


「困ります。

ここに住むつもりじゃ

ないですよね!?

持って帰って

もらってください。」


持って帰るって

言ったって

帰る場所ないんだけど私・・

知ってるよね?・・


夜も遅いから

引越し屋さんも

少し気が立っている

気がする。


そこまで

多い荷物じゃないと

思ったから

玄関先に

入れてもらって

引越し屋さんには

帰ってもらったけど

意外と多い・・・


玄関が私の

荷物で埋まった感じ。



東方神起~妄想ラブストーリー~


「明日の朝

僕が出勤するまでには

片付けて置いてくださいね。」


冷たく言って

部屋に入っていこうとする彼――


「待って。

ユチョンの部屋ってどこ?」


「!?・・住むつもりですか!?」

「じゃないけど、

この荷物片付けろって

言ったのはそっちでしょ!?」


「この部屋以外の

どこかに

片付けてくださいという

意味です。」


!?・・何て奴!!


「自分の部屋に

戻れないんだから

仕方ないでしょ!

私と一瞬たりとも

一緒に居たくない

みたいだけど

あなたの同居人の

せいなんだからね!」


私の友達の

せいでもあるけど・・・


とにかく――


「部屋探して

出て行くから

それまで荷物置かせてっ!!!!」


納得したのか

ユチョンの部屋の

位置を指差して

自分の部屋へと

姿を消した。


手伝ってくれたって

いいのに・・・


ちょっとかっこいいからって

何!?


こんな冷たい人と

一緒に住むなんて

こっちこそごめん

なんだからっ!!!


ユチョンの部屋へと

荷物を

運び込む。


ガランとした部屋――


ユチョンが

荷物運び出したのに

気づかなかったの!?

同居してたくせに・・・


って人のこと言えない。


私の荷物も

いつの間にって

あいだにここへ

運ばれてきたから。


引っ越し祝いとか言って

呼び出したときから

もう計画的だったんだよね・・・


あの二人!!!





お風呂上がりに

Tシャツを被りながら

通りすがった彼――



思わず見惚れた

その体・・・


東方神起~妄想ラブストーリー~


「そんなペースで

終わるんですか?」


でも憎まれ口に

またイラッとする。


「終わるよ。

もうすぐ終わる・・ッシュン・・

終わるん・・ッシュン・・だから・・」



荷物だけまとめて

運び出した感じだから

埃が舞っている。


実は埃アレルギーの私――


くしゃみが

止まらなくなってしまう。


ッシュン・・ッしゅんと

くしゃみをする私を

鼻で笑ってまた

部屋に消えていった。




彼への嫌悪感は

募るばかり。


一日も早くこの部屋

出たい!!!


「ッシュン!!あぁぁぁぁ

もっ!!ッシュンッシュン・・」


一度で始めると

本当に止まらなくなるから

厄介なくしゃみ。


さっきから

全然片づけが捗っていない。


まだ玄関に

大きな荷物が

残っている。


ベッドと

本棚と衣装ケース・・・


ッシュン・・


でも止まらないくしゃみ。


はぁ~・・・


深いため息を

漏らしたら

マスクが空を飛んできて

顔面直撃―――


ん!?



東方神起~妄想ラブストーリー~


「うるさいんですよ。」


!?・・


そんな言い方

しなくてもいいのに!!!


でもどうしようもなく

苦しかったから

そのマスクを装着した。


ッシュンってそれでも

止まらないけど

さっきより

マシになった気がした。


このまま一気に

荷物を運び入れようと思って

衣装ケースを

運び始めると

また出始めた

くしゃみのせいで

腕に力が入らなくて

リビングの途中で

ドンっと大きな音を立てて

落してしまった。


見事に足の上―――


「った----・・」


痛い!!!!


痛みに悶える私を

リビングのソファーに

座ってテレビを見ていた

彼が無表情で

見ている。





東方神起~妄想ラブストーリー~



何よその顔・・


バカにしてるんでしょ!?

笑いたきゃ

笑いなさいよ!!!

と凄んでみたけど

全くの無表情過ぎて・・・


何だか恥ずかしく

なってきて

私は一旦部屋に

逃げ込んだ。


何で無表情なの?


もしかして

目開いたまま

寝てたとか!?


じゃあ見られてない?・・・


真相を確かめようと

部屋のドアから

こっそりと顔を覗かせると

ゴンっと頭に衝撃を感じた。


ったい!!痛い・・


見上げたら

リビングに置き去りに

してきた衣装ケースだった。


え?

東方神起~妄想ラブストーリー~



「どこに置くんですか?」


「え・・手伝って

くれるの?・・」



「部屋の前に

置かれると

ドアが開かないんですよ。」


あっそ・・そうゆうことですか・・・


「その辺

置いておいて。」


「その辺って

まだ他のもの

運び入れるのに

いいんですか?」


関係ないでしょ?


「いい。置いておいて。」


なんて

私もぶっきら棒に

応えた。


フンっとわざと

顔を背けながら

彼の前を通って

部屋を出た。


残った荷物を

運ぶため―――


くしゃみのし過ぎで

体力消耗・・・


またリビングで

力尽きる。


今度は足の上には

落さなかったけど・・・


ふぅ~っと一息

ついてまた持ち上げた

荷物を部屋に運ぶと

まだ彼が居た。


重たいから

早く床に置きたいのに

置くスペースが空いていない。


その横を通って

出て行こうとする彼に

縋るしかない。


「ちょ・・ちょっと・・」


大きな目で

私を見た。


「・・・スペース

開けてくれない?」


東方神起~妄想ラブストーリー~


「・・・」


腕組みして

何か言いたげな表情――


今日逢ったばかりだけど

あなたの言いたいこと

わかりますよ・・


だけど・・

腕がちぎれそうだから!!!


「お願いっ!

さっきそう言ってくれたのに

ごめん・・なさい・・

腕が限界なの・・

ちょっとだけ退けて?」


彼はそばにあった

荷物を退けると

私の荷物も

受け取って

床に置いてくれた。


「ありがと・・」


彼は”はぁ~”と

深いため息をつくと

玄関の

本棚のところまで

歩いて行った。


うそ!?


手伝ってくれるの?


私も彼を手伝おうと

慌てて後を追った。



東方神起~妄想ラブストーリー~


「なんですか?」


え?・・


本棚の彼が居ないサイドに

回って一緒に

持ち上げようとしたら

そう言われた。


「一緒に運ぼうと

思って・・・」


「持てるんですか?」

「うん!二人なら・・」


あれ?何か

嫌な顔した!?


二人で持ち上げて

リビングを通って

部屋へと運んで行く。


あぁぁまた鼻が

ムズムズしてきた・・・


ちょうど部屋のドアに

差しかかった時

堪えきれず

くしゃみをした。


「ッシュンっ・・」

「っ痛ーー!!!」


東方神起~妄想ラブストーリー~


ドン!!っと落とされた

本棚―――


ものすごい勢いで

睨む彼―――


私がくしゃみした

せいで本棚が

バランスを崩して

彼の指を部屋のドアと

本棚でサンドイッチしてしまった

みたい・・・


ごごごごごめんなさい!!!!


今日一番の

怒り顔かも!!!


「ごめんなさい!!

大丈夫!?本当に

ごめん・・ッシュン・・な・・

ッシュン・・さい・・ッシュン・・」


「いいです。」


私の手を払うようにして

一人で本棚を

持とうとする彼――


手伝おうと

手を沿える私は

またくしゃみに襲われていた。


そんな私を見て―――

東方神起~妄想ラブストーリー~



「いいです!!

邪魔しないで

くださいっっ!!

そこで見ていてくさださい!!」


うんざりな顔で

言われた。


「はい・・・」


大人しく彼を

見守ることにした。


本棚を運んでくれた彼は

それだけじゃなく

最大の難関

組立ベッドも

運び入れて

適当に置いていた

家具の位置まで

綺麗に配置してくれた。


ひょっとして

良い人?


この人のこと

誤解してたのかな?


「あの・・ありがと!!

助かりました。」



東方神起~妄想ラブストーリー~



「そうですか。

僕は疲れました。」


「・・・ごめん・・ね・・」


「・・・」


「あ・・私

〇〇〇〇です。

よろしくね。」


「そうですか。」


そうですかって!


「あなたは?」


「・・・シム・チャンミン――」


ん?シム・チャンミン?・・


何か聞いたこと

あるような・・・


「ね、どこかで

会った事ある?」


部屋を出て行こうとした

彼に問いかける。


「見ず知らず

ですよね、僕たちは。」

振り向きもしないで

そう言いながら

自分の部屋に戻って行った。


何よ、それ・・・


やっぱり感じ悪い!!!


ドアを閉めて

運んだばかりの

ベッドに倒れてみる。


ふと視線に入った

衣装ケースの上に

並べられた写真立て・・・・


さっきまで床に

散らばっていたはずなのに。


チャンミンが?


・・・やっぱりいい奴?―――