部屋の片づけを

すると言って先に

帰ったジュンス――


私のときは

部屋の片づけなんて

しないのに・・


横井さんは特別だもんね!


年甲斐もなく

嫉妬したりして・・



仕事が終わると

横井さんと

同じ課の後輩一人と

私はジュンスの家に

向かった。



東方神起~妄想ラブストーリー~



「いらっしゃい。」

「お邪魔しまーす」


「わ~広いんですね~!」


初めてジュンスの

部屋に入る2人は

驚いて部屋を見回している。


私も初めて

来たときは驚いたから

気持ちはわかる。


ジュンスは

横井さんの接待に

忙しそうだった・・


そんな皮肉しか

出て来ない私は

早くサッカーが

始まらないかと

時計ばかり

気にしていた。


やっと始まった

サッカー中継――



私は本来の目的を

真っ当したかった。


大画面に

気持ちを集中させる。


それしかここに来た

楽しみなんてないんだから・・


初めは

横井さんに

丁寧に解説をしていた

ジュンスも

次第に試合に熱中しすぎて

彼女の存在を

忘れたみたいに

盛り上がってる。



東方神起~妄想ラブストーリー~


「うぉぁぁぁあ~

ゴォォォォォル!!!」

「キャァァァァァ!!

やったぁ~!!」


思わずテレビの

前でハイタッチする

私とジュンス――


私たち以外の

二人とは明らかに

温度が違った。


前半戦が終わったところで

しばし休憩・・・


私とジュンスは

テレビに流れる

ダイジェストの

ゴールだけで

何度でも盛り上がれた。


だけどサッカーに

興味のない

二人の女の子は

つまらなさそう・・


ジュンスは

そんな横井さんに

気を遣って

後半戦は少しでも

楽しめるようにと

また解説を始めた。


東方神起~妄想ラブストーリー~


優しい顔して

丁寧に教えてあげる

ジュンスに―――


はぁ~・・


試合は勝ってるのに

ため息しかでないなんてね・・


そんな私の元に

タイガーが来た。


タイガーもジュンスを

取られて淋しいの?

タイガーに

心の内を聞いて

もらうかのように

じゃれて

遊んでいた。


「〇〇さんに

懐いてるんですね?」


「あ・・」


後輩の子に言われて

ちょっとドキっとした。


ここによく来てることが

バレちゃう?・・


「〇〇さんは

よく来るんですか?」



空かさずその質問を

したのは横井さん――


動揺したのは

私だけだった。


東方神起~妄想ラブストーリー~


「〇〇さんと行った

販促キャンペーンの

帰りに二人で拾ったんだ。

怪我してたから

獣医に連れて行ったり

二人で世話してたから

○○さんも心配して

見に来てくれてるんだ。」



ジュンスは

包み隠さず話した。


隠さないのは

何とも思ってないから・・

だよね?


わかってたけど

失恋した気分――


そんな正直で

真っ直ぐなジュンスが

好きなのが

横井さんって言うのが

私には納得できないことだった。


他の人だったら

違ったかもしれない・・


横井さんは

ジュンスのことが

好きだなんて

思えない。


最近のジュンスは

横井さんを

誘わなくなったから

気を惹こうとしているだけで

ジュンスの気持ちが

自分に向いていると

確認できたら

また誘いを断るに

決まってる。


それに翻弄される

ジュンスを見るのは

もう嫌だった。


「送って行くよ。」


試合が終わって

終電に間に合わないと言う

横井さんにジュンスが言った。


だけど私は

それを邪魔する。


「私が二人を

送って行くから

大丈夫だよ。」



東方神起~妄想ラブストーリー~


「え?・・」


ジュンスは

狐につままれたような

顔で私を見た。


いい雰囲気になったら

帰ると言っていた

私がそんなことを

言ったから当然だよね。


「タクシー拾うから

平気だよ。この時間なら

全然拾えるから。」


「タクシーなら

僕がみんな送りますよ。」


車のキーを手にした

ジュンスを私は

それでも拒んだ。


だって横井さんの家が

ここから一番離れている。


私と後輩を

降ろした後

二人っきりになってしまうでしょ?


ジュンスが心配だから・・


「いいの。

3人とも送って

戻って来たらすごく

遅くなっちゃうよ?明日も

仕事なんだし。

私が責任もって

二人を送り届けて

帰るから。」


不服そうなジュンスを

残して

私は二人と部屋を出た。


味方になるはずだった

私が邪魔をした。


部屋を出るとき

ちらっと見えた

ジュンスの顔――



・・怒ってた・・