留学から戻って来て
ここで働き始めた。
この課に
配属されて
間もなく
僕は一目惚れした。
横井さん――
という彼女に。
白くて細くて
小さくて
守ってあげたくなる
ような彼女は
まさに天使だった。
普段の仕事では
話す機会は
あまりないけれど
僕の歓迎会――
親しくなる
チャンスだと思った。
近くに座った
彼女は
”お酒が強い人が
好きなんです”と言った。
それから僕は
呑めない酒を
飲み始めた。
でもやっぱり無理かも・・
そう思ったら
やっとの思いで空けた
グラスに注がれる酒――
彼女の目が気になって
僕は飲んだ。
好かれたくて
飲んだ酒なのに
完全に酔いが
回って気分が
悪くなり退席する羽目に・・
最悪だ・・・
好きな子の前で
酔いつぶれるなんて・・・・
どんな顔して
会えばいいんだよ。
会社の自販機
コーナーの前で
凹んでいた僕―
「ジュンス?
おはよう!
大丈夫?」
「〇〇さん・・
おはようございます。」
そうだ・・
昨日酔いつぶれた
僕を○○さんが
介抱してくれたんだった。
「すみませんでした・・
ありがとうございます。」
「ハハハ
いいよいいよ。
それより
二日酔い?」
「あぁ~そうみたいです。
頭がガンガンしてて
まだスッキリしなくて・・・」
○○さんが
ニヤッと笑った。
え?
「ジュンス~!!」
○○さんが
叫ぶように僕の
名前を呼んだ。
「あ”あ゛~・・止めてください」
二日酔いには
つらい声・・
「ハハハ
そんなんじゃ困るよ。
ちゃんと仕事
できる?」
○○さんはそう言うと
買ったばかりの
水を僕にくれた。
「え?・・」
「あげる。
これ飲んで
頑張って?
二日酔いじゃ
仕事にならないでしょ。」
○○さんは
もう一本自分の分を
買うと佇む僕を
置いて課に歩いて行った。
なんかかっこいい・・・
僕より6歳年上って
聞いたけど
彼女は全然そんな風に
見えない。
同じ年くらいに
見える。
決して大きくもない彼女――
昨日は酔った僕を
一人で部屋まで
運んでくれた。
どんな力だよ?
○○さんって
不思議な人――
そう思った。


