近づいていく俺に
〇〇は微動だにしない。
キス・・するよ?
〇〇は俺を
受け入れそうだったのに
もう少しってところで
ザワザワと人の
声が聞こえ始めた。
俺はそんなこと
関係なかったけど・・・
誰かが話す声に
〇〇が反応して
さっと身を引いた。
「もう行こう?」
足早に通りに
向かって歩いて行く
〇〇・・
未遂に終わったキスでも
真面目な〇〇は
気にして余計に
考え込んでしまう気がする。
いっそキスしてしまえば
良かった・・
タクシーに乗ったら
〇〇が言った。
「駅までお願いします。」
俺と目を
合わせようとしない。
「まだ時間あるじゃん?」
完全に意識してるよな?
俺は〇〇が新幹線の
時間を変更している間
後ろに並んで待っていた。
隣に行けばいいと
言う〇〇を無視して・・
それじゃあ意味がないから。
〇〇と同じ窓口で
「彼女の隣の席で――」
そう言いたかったから。
俺たちが会話しているのを
見ているから
窓口の人はそれに応じてくれた。
そうして乗り込んだ
新幹線―――
違う車両から乗って
〇〇の隣の席に
行くまで
走った俺って
変な奴に見えてたかな?
でもいい・・・
〇〇の隣は俺――
驚きながらも
俺の隣に座った〇〇。
〇〇に
触れていたい――
自分で思っているより
もっと〇〇のことを
想っているみたいだ・・・
「体調悪いから・・」
〇〇の肩に
もたれかかった。
「え?・・治ったんじゃ
なかったの??」
〇〇の動揺が
伝わってくる。
だけど・・
このまま居させて――
「ん~?そうだっけ?
着いたら起こして。」
俺は目を瞑った。



