「俺の勝ち――」
部長が笑顔を
見せる。
私・・
どんな顔してる!?!?
「部長!あのっ・・」
「ユノ。
付き合っても
部長って呼ぶつもりか?」
「・・・」
「いつからって
決めておけば
良かったな。
いつからにする?」
部長・・・
本当にこれで
決めちゃうの?
付き合うって・・
困惑する私――
「決められないか?
・・・そろそろ
帰るか。」
車に向かって
歩いて行く部長――
淋しそうな背中に
いつまでの決められない
自分の不甲斐なさを
感じさせられる。
部長はずっと
待っていてくれた。
私の気持ちに
整理がつくまで・・
答えは出ていた
はずなのに
いつもあと一歩の
ところでユチョンがって
言い訳していた。
本当は新しい恋に
進むのが怖いだけ
なんじゃないかって
思う。
部長もいつまでも
待っていて
くれるわけじゃない。
もうわかってる・・・
最後のゴールを決める前に
部長の表情を窺った私――
勝つのを躊躇った・・
挑発されて投げたボールも
外れるように投げたのが
私の本心。
追い詰められて
目に見えてわかったのに
動きだせないのは
まだ勇気が足りないから。
だけど
離れて行く背中を
見ていたら
部長がこんな私に
もう愛想を尽かして
しまうのではないかなんて
不安な気持ちに
苛まれた。
そんなのイヤ!!!
「部長!!」
「ん?どうした?」
呼び止めた私を
振り返った部長は
いつもの優しい笑顔だった――
胸がキュンとなって
目が熱くなってきて・・・
部長が大好きなんだって
自分で自分に知らしめた。
だから言います。
「部長・・好きです。
大好き・・です。」
一瞬天を仰いだ
部長の視線が
すぐに戻って来て
それと同時に
部長の腕に
包み込まれた。
バスケを
終えたばかりで
熱を持った
温かくて逞しい胸に
顔を埋める。
その広い背中に
手を回す――
ずっと
こうしたかったのかもしれない・・
もっと部長に
寄り添いたくて
回した手に力を
入れた。
「苦しい・・」
あ・・ギュッて
し過ぎだったかな・・
引き離された
体はすぐに
戻され部長の顔が
迫ってくる――
キス――
私はゆっくり
目を閉じた。
唇に柔らかい
感触が・・・
部長の唇――
すごくドキドキする。
「〇〇・・」
目を開けると
部長の顔が
間近にあった。
「好きだ――」
部長!・・
またギュッてして
チュってした。
大好き――



