今日は情報システム部の
人たちとシステム修正後の
会議だった。
私も参加する。
ユチョンもいる――
久しぶりに
ユチョンを見た。
忙しそうに
電話をしながら
フロアに入ってきた。
忙しいんだ・・
でも耳にあててる
仕事用携帯とは
別に手元にある
プライベート携帯。
電話で話しながら
手元の携帯を
いじってる・・
メールチェックかな?
じゃあ私からの
メールも見てるよね?
いつも返信がないのは
見てないからじゃなくて
見ても返す気がないから
なんだ?
会議が始まる前に
机の上に飲み物が
並べられた。
お茶、お水、フレバーコーヒー、
ジュース・・・
好きなものを
選んでいく。
「はい――」「・・・」
それは同時だった。
左から出てきた
オレンジジュース。
斜め前から無言で
差し出された
キャラメルマキアート。
私の前に
二つの飲み物が
並んだ。
一つは部長から
一つはユチョンから・・
視線が交錯する――
果汁100%の
ストレートな
オレンジジュース。
甘くてほろ苦い
キャラメルが
香ばしく香る
キャラメルマキアート。
どちらも私が
好きなもの―――
選べない・・・
人数分しかない
飲み物が私の前に
二つ置かれているから
手元に行き届いて
いない人が居る。
私の前に
ダブって置いてあることに
気づいた人が
問いかける。
「どっちにしますか?」
え・・・
二人の視線を感じるから・・
「あの・・」
”私はどちらでもいいです。
先に選んでください”なんて
逃げようとした。
私は飲み物だって
決められない。
こんなに優柔不断じゃ
なかったのにな・・
でも部長が私に
言う。
「オレンジジュース
好きだよな?」
「・・はい・・」
オレンジジュースに
手を伸ばそうとしたら
斜め前から声がする。
「キャラメルマキアート
大好きだったよな?」
ユチョン・・・
困り果てた私―――
「私、
こっちもらっても
いいですか?」
横から
キャラメルマキアートに
手が伸びた。
あの子・・
すべてのやりとりを
見ていたのか
挑戦的な目で
私を見ている。
「〇〇のだ。」
ユチョンが彼女の
行動を否む。
「いいよな?
○○はこれで・・」
部長がそれを
遮るようにして
彼女に
キャラメルマキアートを
私にオレンジジュースを
渡した。
ユチョンの苛立ちが
伝わってくる。
でもそのまま
会議は始まった。
彼女は私を
明らかにライバル視
している。
説明の合間に
何度も目が合った。
ユチョンを見ては
私を見る・・
そんなにユチョンが
好きなの?・・
説明が一通り
終わってから
実戦で新システムを
起動させた。
会議に集まった
うちの課の
数人の課員が
パソコンの画面を
実際に触ってみる。
それに対して
情報システムの人たちが
それぞれに
細かく指導してくれる――
私のところに
ユチョンが来た。
間髪入れずに
部長が私の横に
身を寄せる。
!?
「俺もそこが
わからない。
一緒に説明してもらえる?」
本当にシステムが
わからないから・・ですよね?
眉間に皺を
寄せたユチョンが
私と部長に
説明をしてくれる。
低く不機嫌な声――
パソコン操作も
どこか投げやりで・・・
「ここは?」
部長の問いかけに
答えるユチョンは
ちゃんと仕事をしているけど
私と部長の間に
入ったユチョンの手は――
利き手で
キーボードを打ち
右手は私が座る
椅子の背に置かれていた。
背もたれに
もたれかかれば
ユチョンに肩を抱かれる
形になる・・
時折
背中に触れる
ユチョンの手――
だから私は姿勢よく
椅子に座る。
この上ない
緊張感――
「あとは
やってみるよ。」
部長の言葉に
私たちから離れて行く
ユチョン・・
はっきりしない私を
切ない目で見ていた――






