部屋に入って
電気を点けると
ユチョンが居た。
「どうして
電気点けないの!?
真っ暗じゃん・・」
「・・・」
見るからに不機嫌な
ユチョン――
”お腹空いた~”って
言わない・・
「ユチョン?
どうしたの?」
近寄って行ったら
急に手を引かれて
ユチョンの腕の中に
倒れた。
「!?・・」
「・・・」
倒れた私を
抱きしめるわけでもない。
ユチョンの顔を
覗き込んだら
一瞬だけ私を見て
また目を逸らした。
「部長と何かあるのか?」
やっと口を
開いたと思ったら
そんな質問。
「?何?・・」
「とぼけなくてもいい。
朝の掃除のせいか?
それとももっと
前から??」
「え?・・」
「いつからでもいい・・
好きかどうかが
問題だよな?
好きなのか!?」
ちょっと
何なの!?
何で
怒ってるの!?!?
ユチョンに
責め立てられて
びっくりした。
「ちょっと待ってよ。
どうしたの!?」
腕に置いた手を
払い退けられた。
え!?・・
ショックだった・・・
「答えろよ?」
それでも
まだ私を責め立てる
ユチョン――
私が悪いの?・・
どうしてユチョンが
こんなに感情的に
なっているのか
私にはまったく
わからなかった。
「何もないよ。」
「・・・」
部長とは何もないよ。
私は――
ユチョンこそ・・・
「私も聞きたいことがある。
ユチョンは
あの子と何なの?
何してたの!?」
”あの子”で
すぐに通じた。
「別にあれは・・」
「あの子はユチョンが
好きなんだ?
ユチョンもあの子が
好きなの?」
「好きじゃないよ。」
すでに面倒くさそうに
なったユチョンを
私は問い詰める。
ふたをして
抑えつけていた感情――
一度溢れ出したら
もう止まらない。
「会社の外でも
会ってるの?」
「?・・・」
「二人で歩いてるの
見た人がいる・・・」
「・・・」
深いため息――
ユチョンは
ソファーに倒れこんだ。
「何もないよね?」
”何もない”
そう言ってくれたら
良かった。
優しい嘘って
あると思う・・・
なのにユチョンは
残酷なことをする。
「・・ごめん・・」
酔ってたんだ――
正直に言ったら
許されると思ったの?
私が傷つくと
思わなかった?
隠してくれたら
良かったのに・・・
隠し通してくれたら
私たちまだ
大丈夫だったかも
知れないのに・・
私はバッグを持って
部屋を飛び出した。
酷いよ
ユチョン――
こんな時間に
どこに行こう・・・


